アレルギーによる咳は突然起きることが少なくありません。
近年、30代からアレルギー性の咳に悩まされる人が増えています。
発症すると治療が長引くケースが多く、上手に付き合ってコントロールしていくことが重要になります。
ここではアレルギーの咳の特徴や対処法についてご紹介します。
1.アレルギーによる咳が起こる仕組みとは?
空気の通り道である気道で炎症が起きると、咳が出ます。
通常、気道の壁には気道を収縮させたり、広げたりする平滑筋があり、その内側は粘膜になっています。
健康な状態であれば粘膜の厚さは一定で、中の空間もきっちり保たれています。
しかしながら、アレルギーによる咳が出る人は気道が常にむくんでいたり、分泌物が増えたりしているため、空気の通り道は狭くなっているのです。
そこへ、アレルギーの原因となる物質が入ってくると平滑筋が収縮。
さらに気道は狭くなり、それが刺激となって粘膜もむくみを増していきます。
気道はますます狭くなるため、咳はひどくなり悪循環になってしまうのです。
2.アレルギーによる咳の症状とは?
アレルギーによる咳が起こっている時、気道の粘膜には好酸球と呼ばれる白血球が増加します。
症状の程度の差はありますが、典型的なアレルギーの咳には息苦しさや喘鳴が伴うでしょう。
これら3つの症状が起こることを喘息発作といいます。
アレルギーによる咳は突然起こることが多く、非常に激しくなることも少なくありません。
周囲の人は咳に注目してしまうため、止まらない咳に本人にとってはつらい時になります。
3つの症状は以下のとおりです。
2-1.夜起こる咳
止まらない咳や痰、特に粘りっ気のある痰がたくさん出ることもあるでしょう。
咳をしても痰がからんだ感じはなくなりません。
夜、特に明け方など寝ている時でも咳が出て、目が覚めてしまいます。
2-2.息苦しい
咳だけでなく息苦しさも伴います。
これは気道が狭くなることによって呼吸が難しくなるため。
十分な呼吸ができず、息切れしてしまいます。
息を吐く時が苦しいという人が多いのですが、吸う時のほうが苦しいという人もいます。
寝ている時、横になっていると呼吸ができないので体を起こして座り、肩を上下に動かすとやっと呼吸ができるという人もいるでしょう。
2-3.喘鳴(ぜんめい)
咳や息苦しさのほかに、喉や胸がゴロゴロとする感じがあります。
またゼイゼイやヒューヒューといった音もします。
これは「喘鳴(ぜんめい)」と呼ばれており、大人の場合はその多くが喘息と考えられます。
3.アレルギーによる咳の特徴とは?
3-1.症状が治まっている時期がある
興味深い点ですが、いつも3つの症状が必ずあらわれるというわけでもありません。
普段は健康な人と同じ状態で咳も息苦しさも治まり、気づきにくい時期もあります。
実は、アレルギーによる咳は「症状がない時期がある」ことが特徴です。
これはリモデリングと呼ばれています。
咳などの発作が治まった後、炎症を抑えるための治療を怠ってしまう人に多く見られるでしょう。
粘膜や筋肉が少しずつ厚くなって内部が狭くなり、気道内が過敏な状態になっています。
自覚症状があらわれないため、「年のせいかも」「そのうち治るだろう」と思ってしまう人も。
ズルズルと悪化させないために、しっかり治療することが重要です。
3-2.鼻の病気と関係していることが多い
鼻や喉、気管やその奥の肺は空気の通り道となってつながっています。
そのため、空気の通り道に沿って炎症性の病気が起きることが多く、アレルギーによる咳が出る人は鼻の病気をもっていることが少なくないのです。
また鼻づまりがあると、口呼吸をしてしまいますよね。
口を開けて呼吸すると、乾いた空気や刺激物が直接気管支に入り、咳が起こりやすくなるでしょう。
実際、アレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎によって喉が刺激され、咳が誘発されることもしばしば。
喘息の患者の6〜8割はアレルギー性鼻炎があるという報告もあります。
どちらもアレルギーによる炎症のため、互いに影響し合っていると考えられています。
(おすすめ記事→もしかして病気のサイン?睡眠中のいびきに隠れた深刻な病とは)
4.アレルギーの咳と間違われやすい病気とは?
アレルギーによる咳に似た症状が起こる病気も多くあります。
咳は気道の症状ですが、息苦しさもある時は肺の病気が考えられるでしょう。
例えば以下のような3つの病気です。
・慢性気管支炎
気道に慢性的な症状が起こります。
・肺気腫
酸素と二酸化炭素を交換する肺胞が壊れます。
・肺水腫
肺に血液から漏れ出した水分がたまってしまいます。
※一般に、慢性気管支炎と肺気腫を総称してCOPD(慢性閉塞性肺疾患)といいます。
5.夜間に起きる咳で見分ける他の病気とは?
アレルギーの咳は夜間に起きやすいのが特徴の1つ。
咳だけで病気を判別することは難しいのですが、ある程度は似ている症状の病気を推測することもできます。
考えられる病気は以下のとおりです。
・咳ぜんそく
昼間や寝入りは落ち着いているのですが、夜中から明け方になると突然咳が出て目が覚めてしまうでしょう。
・風邪などの感染症
いつも咳が出ていて、夜もなかなか寝つけないことが多くあります。
・COPD(閉塞性慢性肺疾患)
夜寝ている間に痰などが喉にたまるため、明け方に痰を伴う咳が出ます。
・アレルギー性鼻炎
特に朝、症状がひどく、寝ている間にたまった鼻水が喉に刺激となり、目が覚めてから咳が出ます。
6.アレルギーによる咳の原因とは?
アレルギーの咳を引き起こす原因の中には、特定の原因物質であるアレルゲンがあります。
血液検査や皮膚反応テストで、アレルゲンを特定することができます。
また、喀痰検査や呼気NO検査では、気道に炎症があるかどうかがある程度推測できます。
主なアレルゲンは以下のとおりです。
(おすすめ記事→長引くアレルギー症状はハウスダストが原因!?6つの有効対策とは?)
✔︎ペット
✔︎ダニ
✔︎ハウスダスト
✔︎花粉
✔︎カビ
✔︎食べ物
7.アレルギーによる咳の対処法とは?
アレルギーの咳は専門医院で受診することが重要です。
基本となる治療は、薬物治療と生活改善の2つです。
特に喘息の場合は長く付き合うことになるでしょう。
重症度に応じて治療の方法が決められますが、根本的に治すというよりは気道の炎症を抑えて症状をコントロールし、発作を起こさないようにすることを目標にします。
日常生活で役立つポイントが7つあります。
7-1.こまめに掃除する
ハウスダストなどアレルゲンとなる物質を取り除くことができます。
7-2.風邪を予防する
気道の炎症を悪化させてしまう上気道感染症を防ぐためです。
7-3.天候や季節の変わり目は特に注意する
悪天候や低気圧などの天候と喘息には密接な関係があるので、発作を未然に防ぐのに役立つでしょう。
7-4.無理をしない
過労によって体力が低下し、発作が起きやすくなるのを防ぐことができます。
7-5.ストレスを避ける
体と心のバランスを乱してしまう強いストレスを防ぐためです。
7-6.飲酒を避ける
飲酒によって、体内でアレルギーに関係する細胞を刺激するのを防ぐことができます。
7-7.薬を正しく使う
医師によって決められた量や回数などを守って、正しく治療するなら回復も順調になるでしょう。
8.アレルギーによる咳が出る前のサインとは?
少しの体調の変化に気づいて、早めに対処することは役立ちます。
ささいな変化と感じることでも体調を整えるなら、発作を抑えて重症化しないで済むからです。
以下のような体調の変化は症状が起こるサインになります。
✔︎空咳がでる。
✔︎微熱が出る。
✔︎鼻水やくしゃみが出る。
✔︎喉から胸にかけてムズムズしたり、違和感があったりする。
【参考文献】
「『ぜんそく』のことがよく分かる本」/松瀬厚人 監修/発行所 株式会社 講談社
「からだとアレルギーのしくみ」/上野川修一 著/発行所 株式会社 日本実業出版社
「名医のわかりやすいぜんそく」/堀江孝至 著/発行所 株式会社 同文書院
「これでぜんそくを治そう」/足立満 著/発行所 株式会社 法研
まとめ
大人になって起こるアレルギーの咳は突然始まったり、気づきにくかったりします。
いつのまにか気道の炎症が進んでしまうことを避けるために、なるべく早めに対処しましょう。
また、市販の風邪薬などは含まれている成分によって咳を誘発してしまうこともあります。
気になる咳はきちんと診断してもらう方が良いですね。
HANA
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