あせもには自覚症状がなかったり、強いかゆみを伴ったりと様々なタイプがあります。
悪化すると全身に広がり、改善に時間がかかる場合があります。
あせもと間違いやすい病気もあるので、あせもの症状を知っておきましょう。
1.あせもができやすい部位とは?
一般に、あせもは頭や髪の生え際、額や首筋など、皮膚や毛がこすれる部分に多く発生します。
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あしの付け根やおしり、膝の裏側や肘の内側など汗が乾きにくい部分にもできやすいでしょう。
他にも、わきの下やお腹周り、胸や背中全体にできることがあります。
2.あせもが悪化するメカニズムとは?
汗は汗管という管を通って皮膚の表面に出ます。
発汗が少なければ、少々汗管が詰まってもあせもになることはありません。
ただし、高温のために発汗量が多くなると、あせもになる可能性も大きくなります。
汗管の出口の周囲に角質細胞があり、角化が増えたり水分を多く含んでふやけてくることがあります。
汗管の出口がふさがれると汗が皮膚の中にたまってしまいます。
その後、量が増えていく汗が周囲の皮膚組織にしみ出していき、あせもが悪化してしまいます。
3.あせものタイプとは?
何種類かの症状があるあせもですが、大きく分けると3つのタイプがあります。
水晶性汗疹(すいしょうせいかんしん)・紅色汗疹(こうしょくかんしん)・深在性汗疹(しんざいせいかんしん)です。
3-1.水晶性汗疹
症状が最も軽いタイプです。
「白いあせも」とも呼ばれています。
顔や手足、胸や背中など広い範囲に、また皮膚が露出した部分に小さな水ぶくれができます。
大きさは直径1〜2mmで、名前のとおり透明な水疱が密集したようにみえます。
ふつうは痛みやかゆみはありません。
自覚症状がほとんどないため、気付かないことが多いでしょう。
数日のうちに皮膚が細かく剥がれて治ります。
皮膚の表面の最も外側の部分、角質層に汗がたまった状態です。
3-2.紅色汗疹
最も普通にできるあせもがこのタイプです。
肥満で汗をかきやすい人などに多くみられでしょう。
衣服や帽子など着用しているものがこすれる部位に、名前の通り赤色のぶつぶつが多くできます。
大きさは栗粒くらいから米粒の半分くらいです。
急に発生することが多く、熱感やチクチクと刺すような感覚もあるでしょう。
3つのタイプのうち、かゆみがあるのは紅色汗疹だけです。
かゆいとついかいてしまいますが、さらにかゆみが広がります。
またこすったりひっかいたりして皮膚が傷つくと、そこにいろいろな菌やウイルスが侵入してくるため二次感染を招いてしまいます。
紅色汗疹は角質層のすぐ下の部分に汗がたまった状態です。
3-3.深在性汗疹
紅色汗疹がさらに悪化したタイプです。
色が青白くなって鳥肌のような状態になるでしょう。
白っぽい扁平な丘疹がみられこともあります。
かゆみはありませんが、全身に熱射病のような症状があらわれます。
倦怠感や悪心、めまいや動悸などです。
汗が出にくくなる代わりに尿量が多くなるという特徴もあります。
紅色汗疹よりもっと深い部分、表皮下層や真皮の部分に汗がつまっています。
幸い、亜熱帯地方に多いため、日本ではほとんど発生しないでしょう。
4.あせもが悪化して起こる炎症とは?
4-1.とびひ
伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)とも呼ばれています。
あせもをかきむしったり、汗をかき続けることによって、黄色ブドウ球菌や連鎖球菌などの細菌が皮膚表面で繁殖することにより起こります。
かゆみがあるため、かいてしまうとできた水ぶくれが破れて、体の他の部位や周囲の人にもうつってしまいます。
(おすすめ記事→あせもは早めに薬を塗ろう!でき始め、かゆみが強い時におすすめの薬とは?)
4-2.あせものより
エクリン汗孔炎とも呼ばれています。
あせもをかきむしると、黄色ブドウ球菌が汗孔から皮膚の奥深くまで侵入して、汗孔の周囲に小さな膿瘍ができてしまいます。
小豆より少し大きいくらいの硬いしこりができて徐々に大きくなり、赤く盛り上がった状態です。
5.あせもと間違いやすい症状とは?
あせもと間違いやすい症状に汗荒れがあります。
汗をよくかく部位にできたぶつぶつです。
汗をかいた後、そのままにしておくと水分が蒸発して皮膚の表面にはミネラルやアンモニアなどの成分が残ります。
それらが皮膚を刺激するため、かゆくなったり、炎症を起こすことがあります。
おなか周りや首回りなど、着用しているものでこすれることが多かったり、皮膚が乾燥している部分に発生しやすいでしょう。
汗によるかぶれの一種で、あせもとは異なる皮膚の疾患です。
6.皮膚の働きとあせもとの関係とは?
皮膚は体の外界と直接触れる臓器とも言われています。
皮膚にはあせもができる汗線の他、脂腺や神経、血管やリンパ管、表皮細胞や真皮の結合繊維などたくさんの組織があります。
その中には白血球やリンパ球、組織球や免疫グロブリン、ホルモンやさまざまな酵素などがあり、生体機能を調整したり外部からの異物の侵入に対して防衛反応として働いたりします。
6-1.生体バリアーで保護する
体の表面を覆っている皮膚はさまざまな種類の刺激や攻撃にさらされています。
暑さや寒さ、紫外線や電磁波、外傷や出血、細菌やウイルスなど他にもあります。
皮膚はこれらの刺激や攻撃から体を守ってバランスを整えるために働いています。
また同時に体内にあるものが外へ逃げないようにも保護しています。
皮膚の内部にある細胞には約80%の水分や栄養分が含まれています。
それらを角層や表皮で覆って、水分の蒸発を防いで体内環境を守っています。
自分の体を一定に保とうと復元する力を恒常性といいますが、体表層の皮膚も重要な役割を果たしているでしょう。
そのため、皮膚のバリアーが弱くなるとあせもができやすくなってしまいます。
6-2.新陳代謝を繰り返す
皮膚組織は重層構造です。
表皮の下層には汗腺のある真皮や皮下組織があります。
表皮には角層をつくる角化細胞やメラニンを生成する色素細胞、免疫を司るランゲルハンス細胞などがあります。
また、表皮の最も下層にあるのが基底層、順に有棘層、顆粒層、角層と上層になっていき、約28日のサイクルで新陳代謝を繰り返しています。
健康な体は新陳代謝も活発で一定に働きますが、老化などさまざまな原因で新陳代謝が低下してサイクルが乱れてしまうと、あせもにもなりやすいでしょう。
6-3.湿気調節
成人の皮膚の重さは体重の約16%、面積は約1.6㎡といわれています。
分かりやすく表すと、畳約1畳分の広さに相当する皮膚面積です。
この皮膚表面の表皮にある毛孔と汗孔で湿気調節を行っています。
毛孔とは毛が生えているところで、付属している脂腺から皮脂が分泌されることによって肌が潤います。
また、あせもと関係のある汗孔は温度変化に対応した水分調整も行なって皮膚の潤いを保っています。
6-4.体温調節
体温調節に関係しているのが皮膚の血管と汗腺です。
体温の上昇にともなって皮膚の血管が拡張して熱を放散します。
また、汗腺から出た汗は蒸発するときの気化熱で体温を奪います。
一方、体温が低下するときは皮膚の血管は収縮し熱の放射を抑え、発汗が減ります。
発汗量が少なければ、あせもになることはないでしょう。
6-5.知覚作用
暑さや寒さ、痛みやかゆみなどの知覚を認知するのも皮膚の働きのひとつです。
知覚するときは真皮にある神経末端で感じたことを察知します。
特に、あせもは皮膚の知覚のなかでも痛みとかゆみが関係しています。
痛みとかゆみを感じ取るのは皮膚の表面です。
また、かゆみは痛みの感覚の一種とも言われ、強い刺激は痛みとして感じられ、弱い刺激はかゆみとして感じると考えられています。
まとめ
暑い季節、誰でもなりやすいあせも。
皮膚に起きるぶつぶつやかゆみやを感じて初めて気づくことが多いでしょう。
皮膚に生じる症状は何らかの体の変化のサインです。
皮膚病で最も多いのは発疹ですが、さまざまな種類がありますので安易に自己診断しないように気をつけましょう。
正確な判断は専門の医師に任せましょう。
HANA
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