良質な植物性たんぱく質として健康に良い大豆。
大豆を原料とする食品には豆腐や油揚げ、湯葉や豆乳、みそなどがありますが、発酵過程を経る納豆は特に優れた効果があります。
仕事などで疲労が溜まり、生活習慣病が気になっている人には特におすすめ。
「食べるクスリ」といわれる納豆が、体に作用する驚きの8つの効果をご紹介します。
1.生活習慣病を予防する
生活習慣病の土台と言われる高血圧。
原因はさまざまですが、特にあげられるのが塩分の摂り過ぎです。
塩分を摂り過ぎると、血液中の中性脂肪の割合が高くなります。
血管の壁には悪玉コレステロールが付着して、血管が狭くなってしまうことに。
動脈硬化を招く可能性が大きくなります。
納豆に豊富に含まれているレシチンとよばれる脂質は、悪玉コレステロールを押さえる重要な働きをします。
また大豆に含まれているリノール酸やリノレン酸などの不飽和脂肪酸は、悪玉コレステロールを溶かして血液の流れを促進します。
(人気記事→動脈硬化に直接関係!LDL(悪玉)コレステロールの基準値を知ろう!)
リノール酸やリノレン酸は体内で合成することができないため、食品から摂る必要がありますが、大豆の脂肪酸は50%以上がリノール酸という代表食品。
欠乏すると欠乏症状が現れるため、必須脂肪酸とされています。
さらに、大豆が納豆へと発酵する過程で増殖する「アンジオテンシン変換酵素阻害ペプチド」。
この物質は、血圧上昇を抑える働きがあります。
しかも、熱にも強いという特徴があるため、納豆を加熱しても効果は失われません。
納豆天ぷらや納豆はさみ揚げなど、いろいろな料理に使っても効果は下がらないのです。
濃い味付けや塩っ辛いおかずが好きな血圧高めの人は、納豆をおかずに一品加えてみてください。
生活習慣病にかかりやすい人は肉類中心の傾向になりがちです。
なるべく肉類を減らして、魚料理や大豆製品などの植物性たんぱく質を増やしましょう。
魚と植物性たんぱく質の組み合わせなら、さらに生活習慣病予防になります。
おすすめは、あじと納豆のたたきやまぐろ納豆、さばの納豆揚げなどです。
もちろん、一緒に野菜や食物繊維もたっぷり摂りましょう。
2.心筋梗塞・脳梗塞を予防する
心筋梗塞や脳梗塞の原因になるのが、血管を詰まらせてしまう血栓です。
血液をサラサラにする食品と言えば玉ねぎやにんにくがありますが、実はすでに血管の中にできてしまった血栓を溶かすことができるのは、今のところ納豆だけなのです。
例えば、50gの納豆を食べた場合、約2時間後から血栓が溶け始めます。
持続力が長い人で、8〜12時間も続くこともあるほど。
この納豆の酵素は納豆キナーゼと呼ばれ、直接的また間接的に血栓を予防してくれます。
1988年岡山県立短期大学の須見洋行助教授が発見しました。
また納豆キナーゼという呼び名は、心筋梗塞や脳梗塞の治療に使用される血栓溶解剤「ウロキナーゼ」にちなんだものです。
大豆や豆腐にも含まれていない納豆キナーゼ。
一般に売られている納豆1パック100g中に、通常病院で投与されるウロキナーゼ一回量と同等の血栓溶解効果があると言われています。
ある研究では、血栓ができやすいタイプの人は血栓を溶解する作用が低いという結果がでています。
血栓を溶かすためには血液中にあるプラスミンという酵素が必要ですが、納豆キナーゼはこの酵素の合成を促進する働きがあります。
一般に、血栓症を発症することが多い時間帯は明け方です。
特に、血栓ができやすいのは深夜の2〜3時とも言われています。
納豆キナーゼが血栓を溶かし始めるのは食べて2時間後から、また持続時間は8時間〜12時間ということからすると、7時か8時の夕食に食べた方が予防の効果が高まります。
血栓予防を期待する人は、なるべく1日100〜200g以上食べたほうが良いですね。
納豆キナーゼは70℃以上の高温になると活性力が失われるため、加熱せずに生のまま食べた方が効果を期待できるでしょう。
また、納豆には血液を凝固させるビタミンKも含まれています。
興味深いことに納豆に含まれている血液を溶解させる納豆キナーゼと血液を凝固させるビタミンKは、体内で別個に働いていてどちらかが一方の邪魔をすることはありません。
食品から摂取する場合、ビタミンKの過剰摂取もありません。
ただし、心筋梗塞などの治療で使用される血栓溶解約の「ワーファリン」を服用している場合は、納豆を控えたほうが良いでしょう。
納豆に含まれているビタミンK2が薬の効果を弱めてしまうからです。
3.糖尿病を予防する
国民病とも言われるほど多くの人が発症している糖尿病。
糖尿病ではないにしても、注意を要する糖尿病予備軍の人も急増しています。
糖尿病の治療方針にあげられるのが、「バランスの良い食事を規則正しく、腹八分目で摂る」というものです。
働き盛りの人は仕事で多くのエネルギーを消費するため、食欲があって満腹になるまで食べてしまいがち。
ハードなスケジュールで、不規則な食習慣になることもあるでしょう。
納豆に多く含まれているビタミンB2には、血糖値を下げる高い作用があります。
納豆菌によって発酵する過程で増えるため、大豆と比較すると約5倍もの効果があります。
また、糖尿病治療にとって重要なのが食物繊維です。
納豆キナーゼには水溶性食物繊維が大豆の1.5倍も含まれています。
水溶性食物繊維は水に溶けないため、腸内で水分を吸収してかさを増やします。
また、腸内を移動しながら、コレステロールやまだ吸収されない栄養分と付着して排泄を促すため、エネルギーをコントロールできるでしょう。
納豆に含まれる食物繊維は100g中なんと6.7g。
これはゴボウに含まれている食物繊維の多さに匹敵します。
豊富な食物繊維は、小腸の中を移動する食物のスピードを遅くさせます。
ブドウ糖が血管中へ吸収される速度が適度になって、インスリンの分泌も正常な速度で対応できます。
糖尿病の人が気をつけたい血糖値の急激な上昇を防いでくれるでしょう。
また、糖尿病はインスリンの減少や機能の低下によってブドウ糖が分解されず、血液中に糖分が残ってしまった血液粘度の高い状態です。
このままでは血管内にさまざまな物質が滞りやすく、無理に血液へ流そうとすると、心臓と血管に大きな負担をかけて高血圧を招く可能性があるでしょう。
納豆に含まれているたくさんの食物繊維が血液をサラサラにして、流れやすい状態にしてくれます。
納豆のエネルギーは40gで80Kcal。
良質なたんぱく源としてもぜひ摂りたい食品です。
4.脳の老化を予防する
「健脳食」として広く知られている納豆。
実際、世界で最も高いIQの持ち主である少年も好きな食べ物は納豆でした。
特に脳の働きを活発にするのは、納豆に含まれているレシチンです。
脳の神経細胞のグループであるニューロン同士が、つながる部分をシナプスと言いますが、レシチンはシナプスで分泌される神経伝達物質の合成に必須。
脳細胞を活性化して記憶力を高めてくれます。
実際に、アメリカの研究報告があります。
レシチンを豊富に含んでいる食品を食べた人とそうでない人たちを比較したところ、食べた人たちの方が25%も記憶力がアップしていたのです。
レシチンは、ビタミンEなどの脂溶性ビタミンと一緒に摂ると相乗効果があります。
もちろん、納豆自体にもビタミンEが豊富に含まれています。
高齢でなくても、増えている若年性認知症。
女性よりも男性に多く、発症年齢は平均51歳といわれています。
(人気記事→今の睡眠不足が認知症の原因になる!?睡眠の質を上げる3つのポイント!)
「忘れたことを指摘されても、予定を組んだこと自体忘れている」「計算ができなくなった」「車のブレーキが遅くなって、危険な運転になる」など、仕事や生活で困難を感じることが多くなります。
脳の中は血管の流れが悪くなって、栄養分が脳細胞に十分届かず、日常生活に支障が出るほど記憶力が低下している状態に。
一方、納豆は血栓を溶かして血流を良くするだけでなく、脳の栄養となるレシチンを豊富に含んでいるため、記憶力が向上します。
仕事のケアレスミスや物忘れが多くなったと感じたら、納豆で脳を活性化させましょう。
納豆に組み合わせると良い薬味の中に青じそがあります。
青じそは特有の香りが食欲をそそります。
また、ビタミンAやビタミンB群、ビタミンCやミネラルがたくさん含まれており、消化を促進し、健康効果が期待できます。
納豆に卵を落とす食べ方が好きな人は多いでしょう。
実は、この組み合わせは美味しいだけではなく栄養もアップします。
そもそも、レシチンは卵黄から発見されました。
つまり、卵と納豆の両方から同時にレシチンを摂ることができるのです。
卵自体もアミノ酸スコア100の完全食と言われています。
30代から始まるメタボリックシンドロームには、卵のコレステロールは多少気になるかもしれません。
ですが、特に高脂血症でなければ、1日卵一個は問題ないでしょう。
それに、納豆に含まれているリノール酸や食物繊維が血中コレステロールを下げてくれます。
5.骨粗鬆症を予防する
気をつけて摂っていても不足しているカルシウム。
日本の食事情の現実として指摘されています。
カルシウムを体内に摂り入れるためには、ビタミンDが必要です。
また、血液中に取り込んだカルシウムから骨をつくるためには、糊の働きをするビタミンK2が欠かせません。
そもそも、人間の腸内細菌によって作り出されているのがビタミンK2。
残念ながら、加齢とともに腸内細菌が減るため、必然的にビタミンK2も減って骨が弱くなります。
骨を強くする仕組みに必須のビタミンK2ですが、実は大豆には含まれておらず納豆にしか含まれていないのです。
さらにうれしいことに、納豆に含まれているビタミンK2は人間の腸内細菌が作り出す量の7倍という多さ。
納豆に含まれるカルシウム成分。
中高年以降になると骨がもろくなっていくため、予防のためにカルシウムをとった方が良いと言われています。
おすすめは、ちりめんじゃこなどのカルシウム源と組み合わせることです。
例えば、納豆とちりめんじゃこと野菜などを炒め合わせると、夕食の立派なおかずになりますね。
骨を強くし、いつまでも元気に仕事やスポーツに励みたい人は納豆がおすすめです。
6.若々しさを保つ
見た目年齢を左右するものの一つに、肌のはりや美しさがあります。
納豆には美肌効果を促す成分がたくさん含まれています。
大豆が発酵する過程で新たに合成されて以前よりも量が増えるものの一つがビタミンB群です。
納豆に含まれているビタミンB2。
「美容のビタミン」とも呼ばれ、皮膚や粘膜を保護し、皮膚の分泌を調整して肌をなめらかにします。
特に、納豆はいろいろな消化酵素が分泌されていますが、一番たくさんの酵素と関係するのがビタミンB2です。
1食分あたりで比較すると、ゆで大豆の4.6倍にもなります。
納豆には巨赤芽球性貧血を予防するビタミンB12も含まれています。
ビタミンB12は本来、植物性食品には含まれていませんが、納豆には豊富に含まれています。
また、納豆に豊富に含まれているビタミンE。
「若返りのビタミン」とも呼ばれており、抹消血管の血流を促進して新陳代謝を活発にし、若々しい肌を保つことができます。
(おすすめ記事→デキる男は美容も必須!30代男性だからこそやるべき美容ケア)
ビタミンEはゆでるよりも、油で炒めた方が良いでしょう。
損失が少なく、吸収がアップします。
おすすめは、ビタミンやミネラルが豊富で、体力強化の働きもあるニラとの組み合わせです。
食物繊維が豊富な納豆。
ビタミン不足による便秘にも効果があるため、肌荒れを改善してくれるでしょう。
さらに、納豆に適量含まれているのが「カリクレイン」と呼ばれる物質。
血管を拡張させて、血流を促進する作用のある酵素と同じ働きをします。
他にも、納豆に含まれているのが新ビタミンと呼ばれる「ピロロキノリンキノン」。
ようやく発見されたビタミンB群の一つで、不足すると皮膚状態が悪化してしまいます。
特に、仕事や人間関係などの悩みや心配事があると、疲れて肌にも影響がでますね。
はつらつとした爽やかな印象をアップさせるために、納豆効果を試してみましょう。
7.免疫力をあげる
昔は「食べる薬」として知られていた納豆。
風邪や下痢の妙薬として、民間療法に活用されていました。
実際、病原性大腸菌O-157に対しても、その発育を抑えて体外に排泄する作用を発揮したため、納豆の優れた抗菌力が明らかになっています。
病気になると処方されることが多い抗生物質は、人間に本来備わっている抵抗力を低下させてしまいます。
一方、納豆には抗生物質ほど即効性はありませんが、腸内で抗菌効果を長時間発揮します。
その結果、善玉菌が活発になって幅広くさまざまな菌に対して効果を及ぼすため、免疫力がアップします。
また、国際的に研究途中ですが、納豆には放射能を人体から除去する作用があることも明らかになっています。
納豆菌は耐熱性に優れていて、数分間100℃の熱湯に入れても生存していますが、130℃以上になると活性力がなくなるため高温での加熱は注意しましょう。
以前よりも風邪をひきやすくなったり、流行性の病気にかかりやすくなったりした人は納豆菌の抗菌力が効きますよ。
特に、寒い季節は風邪もひきやすくなりますね。
おすすめはねぎたっぷりの納豆汁です。
体を温めるねぎと病原菌などを殺す抗菌作用で、ひき始めの風邪によいでしょう。
作り方はとても簡単です。
納豆にお湯を注いで良くかき混ぜて、たっぷりの刻みねぎを入れるだけ。
またはみそ汁に包丁で叩いた納豆と、たっぷりの刻みねぎを入れる方法です。
夜食べると体が温まりますので、そのままお布団に入って眠ると翌朝調子が良くなっていることも少なくありません。
ねぎを刻むのもめんどくさいと言う人は、すでに刻んでいるねぎがパックで売っています。
カップのみそ汁もありますので、手軽に作ってみてください。
8.悪酔いを予防する
仕事の後や家族・友人と飲む楽しいお酒。
適度に飲むことはストレス解消になりますが、日本人はあまりお酒に強くない人種です。
遺伝的にアルコールを分解するときの酵素が少ないからです。
昔から、納豆を食べると悪酔いしないといわれてきました。
納豆がアルコールの代謝を高めて、二日酔いのもとであるアセトアルデヒドの毒性を消すからです。
そもそも、アルコールは肝臓で分解されて中性脂肪に合成されます。
中性脂肪はタンパク質と結合して肝臓の外へ排出されますから、どうしてもたんぱく質が必要になります。
もし、たんぱく質が少ないと中性脂肪が肝臓で滞って、アルコールの分解が進まなくなってしまうでしょう。
納豆に含まれている良質のたんぱく質が肝臓のアルコール分解能力を高めてくれるでしょう。
発酵食品である納豆のねばねばは、ムチンと呼ばれるたんぱく質の一種です。
疲れたときは特にうれしい強壮剤の成分です。
納豆は良く糸を引いているのが良品です。
豆と豆の間の粘着が強いものを選びましょう。
ネバネバ食品といえば山芋やオクラ、モロヘイヤなどもありますね。
お酒のおつまみに納豆やそれらの食品を加えてみましょう。
ねばねば食品を摂りながらお酒を適量飲むなら、悪酔いせずにリフレッシュできますよ。
特に、山芋は昔から精がつくと言われています。
強精効果があるアルギニンが豊富に含まれているからです。
デンプンの消化を助けるジアスターゼも多いため、納豆との相乗効果があります。
すりおろした山芋を納豆にかけても良いですし、細かく刻んで納豆に混ぜても美味しいでしょう。
悪酔いを予防するために、梅干しと納豆との組み合わせもおすすめです。
梅干しは昔から疲労回復や食あたりに効果があると愛用されてきました。
アルコールのつまみに多い塩分を抑えるのにも役立ちます。
納豆の薬味として加えてみてください。
果肉を包丁でたたいて納豆と軽く混ぜ、醤油を少々で味を整えると美味しくいただくことができます。
ちなみに、「悪酔いしたくないし、血栓も予防したい」「アルコールで食欲増進、でも太りたくない」と言う人も、夜の晩酌のつまみに納豆料理を加えてみてください。
納豆の磯辺揚げや納豆の包み焼き、納豆餃子やにら納豆などもおすすめです。
まとめ
発酵でうまみも栄養もアップする納豆。
100g中なんと1000億個もいる納豆菌は、さまざまな酵素を分泌しながら、大豆の栄養成分を分解して増殖を繰り返しています。
消化吸収が良いため、胃腸の不調も治してすっきりさせてくれるでしょう。
暑さでバテ気味の体を納豆パワーで乗りきりましょう。
HANA
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