働きざかりの30代~40代は、睡眠時間を削って仕事に励んでいる人も多くいるでしょう。
しかし今の睡眠不足が、後に認知症としてあなたを襲う可能性があることをご存知ですか?
睡眠は脳に休息を与える大切な時間です。
将来の自分のために質のよい睡眠をするポイントを知り、睡眠不足にならないように気をつけましょう。
1.先進国で最短!?日本人の平均睡眠時間
日本人の平均睡眠時間は7時間29分(15歳以上)で、先進国の中でも最も短いと言われています。
(出典:平成 23 年社会生活基本調査(総務省統計局))
先進国のフランスの睡眠時間は8時間50分にもなり、アメリカ、スペイン、ニュージーランドと続きます。(出典:経済協力開発機構(OECD)の調査(09年))
睡眠時間は20代から徐々に減っていき、40代後半でピークになり7時間弱となってしまいます。
さらに日本人の場合は、眠っていても疲れがとれていなかったり、夜中に何度も目が覚めるといった悩みがあったりして、睡眠不足になっていることがあります。
7時間というと、23時に就寝して6時に起きるというようなサイクルです。
仕事に余裕がある時なら可能かもしれませんが、残業や付き合いで帰りが遅くなった場合は厳しいのが現状です。
2.睡眠の役割
睡眠不足が続くと頭がぼーっとして、仕事効率が下がったり、イライラしたり気持ちが不安定になります。
睡眠には精神と身体を癒やし、維持する働きがあります。
精神面では気持ちを落ち着かせたり、記憶の整理をしたり、仕事の効率がアップするように整えてくれます。
身体面では、ホルモンを分泌して疲労回復をしたり、病気から身体を守るため免疫力を維持したりします。
2-1.レム睡眠
睡眠中は身体を休めるレム睡眠と、脳を休めるノンレム睡眠を繰り返しています。
レム睡眠時は、脳が起きていて膨大な情報の処理をしています。
その情報が必要か不要かを判断し、記憶として定着させたり消失させたりします。
また急速眼球運動「Rapid Eye Movement」と呼ばれる左右に眼球を動かすのもレム睡眠時の特徴です。
2-2.ノンレム睡眠
ノンレム睡眠は脳が休息をしている状態で、記憶を定着させたり、怒りや悲しみなどの感情を緩和したりして、ストレスを和らげています。
身体のメンテナンスをする成長ホルモンもノンレム睡眠時に分泌されます。
人の睡眠はレム睡眠、ノンレム睡眠を80分~110分で1セットとしそれを3~5回繰り返しています。
睡眠不足時はノンレム睡眠が優位となり身体のメンテナンスを行いますが、日中に眠気やだるさを感じる場合、睡眠による身体の回復が間に合っていない状態です。
2-3.睡眠は脳の休息時間
脳は大量の情報を処理し、感じたり、考えたり、記憶したりと忙しく働いています。
その間、老廃物の処理は後回しで溜め込み、睡眠時に老廃物を排出しています。
身体にたまった老廃物の場合は、リンパなどで運ばれ汗や尿となって排出されますが、脳にたまった老廃物を排出する働きがある脳脊髄液は、寝ている間にしか働かないのです。
つまり睡眠不足になると、脳は老廃物をうまく排出できずに蓄積していくことになります。
その老廃物をアミロイドβといいそれが蓄積して変性し、認知症やアルツハイマー病の原因となるのです。
3.睡眠不足が認知症の原因!?
3-1.認知症とは
65歳以上の認知症患者数は2012年で462万人、現在では約600万人弱、2025年には700万人に増えると予想されています。
10年でおよそ1.5倍も増え、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になる計算となります。
認知症患者の増加は日本だけでなく、アメリカや世界でも深刻視されていて早急に対策が必要とされています。
3-2.睡眠不足と認知症の関係
認知症の1つであるアルツハイマー病は、脳機能が低下して起こる病気です。
脳の老廃物であるアミロイドβは、通常であれば脳機能を低下させることはありません。
しかし、アミロイドβが蓄積していくと、タウタンパク質という物質も蓄積を始めます。
このタウタンパク質が、脳の神経細胞を圧迫し死滅させる物質であり、アルツハイマー病を発症する原因となるのです。
アルツハイマー病はすぐに発症するわけではありません。
アミロイドβが10年ほど蓄積したのち、タウタンパク質の蓄積が始まり、それから15年ほど経過すると発症するリスクが高まります。
約25年間の蓄積で発症するということは、65歳で発症する可能性がある場合、40歳からアミロイドβの蓄積が始まっていることになります。
睡眠不足の人だけなく、寝ていても目が覚めてしまう睡眠が浅い人も注意が必要です。
熟睡して脳がしっかりと休息できていないと、アミロイドβがうまく排出できません。
疲れやストレスが溜まり過ぎると、睡眠の質が落ちてしまいます。
どうしても睡眠時間がとれない場合は、睡眠の質を意識して、短い時間でもしっかりと脳が休息できるようにしましょう。
(人気記事→仕事に追われている貴方に。短時間睡眠でも元気でいられる方法)
4.その他の睡眠不足による症状
睡眠不足は、身体面、精神面で多くの病気を引き起こします。
身体面では、アルツハイマー病やがん、心疾患、脂質異常症、糖尿病、高血圧、脳卒中、骨粗鬆症、免疫力の低下、肌荒れ、など様々な病気を引き起こします。
これは、睡眠により身体のメンテナンスが十分に行われていないため、脳や心臓、他の臓器に負担がかかっているためです。
精神面では、感情の起伏が激しくなる、記憶力の低下、うつ、食欲増進、やる気や興味がなくなるなどの症状が出てきて、重症化すると活動する気力さえもなくなります。
5.睡眠の質を上げる3つポイント
5-1.リラックスする
睡眠の質を上げるために、眠る前に心身を緊張から開放しましょう。
疲れていてもなるべく湯船に浸かり、血行をよくすることが大切です。
入浴は睡眠の1時間前に済まし、入浴後に軽くストレッチをしたり、マッサージしたりするのも効果的です。
時間がない人はぬるま湯で半身浴をしてもよいでしょう。
気持ちを落ち着かせるために、心地よい音楽を聞いたり、好きな香りで芳香浴をしたりしましょう。
(人気記事→アロマキャンドルは癒し効果大!香りと炎のゆらぎでリラックス)
5-2.軽い運動を心がける
週に2、3回程度、30分~1時間の有酸素運動を行うことが心身の健康につながります。
ポイントは心地よい程度に運動することです。
通勤時に1駅分歩いてみたり、休日はウォーキングやスイミングなどしてみたり、無理のない運動で適度に身体が疲労し、よい睡眠へと誘ってくれます。
5-3.日の光にあたる
朝、太陽に光を浴びることで、脳からセロトニンと呼ばれるホルモンが分泌され、心身の体内時計をリセットし覚醒させてくれます。
セロトニンがしっかり分泌されることで、夜に眠気を促進するメラトニンがセロトニンから生成され、スムーズに眠りにつけます。
また、セロトニンはストレスを緩和する働きもあるので、朝、日光にあたることを習慣にしてほしいところです。
6.寝る前にしてはいけないこと
睡眠の質を下げるものに、寝る前のテレビやパソコンやスマホなどがあり、脳が覚醒状態になってしまいます。
またカフェインやアルコール、タバコは身体を興奮状態にするので眠りの妨げになります。
考え事や心配事などで気持ちが落ち着かない場合は、夢を見て途中で起きたりと眠りが浅くなったりする場合があります。
あまり深く考えこまないようにするか、リラックスした状態で眠れるようにしましょう。
まとめ
今の頑張りが大事と思って仕事をしている人もいるでしょう。
家族など守るもののために寝る間も惜しんで働いている人もいますね。
しかし、将来の自分の健康が危ぶまれても同じことを思い続けるでしょうか。
仕事を急に変えることはできませんが、ちょっとしたことで睡眠の質をあげることができます。
それによって仕事効率が上がるだけでなく、病気のリスクも減らせるのです。
今からでもできることを試してみてください。
Yuruu
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