肺の機能のピークは25歳と言われています。
その後は、健康な人でも加齢とともに徐々に低下していきます。
肺の病気の主な原因は喫煙や生活習慣です。
不健康な食生活や慢性的な疲労などで免疫力が低下していたり、風邪やインフルエンザなどで呼吸器の炎症を起こして、こじらせたりしても肺に悪影響が及びます。
肺の主な病気について気になるポイントをみてみましょう。
1.肺炎
肺炎は肺が口や鼻から入ったウイルスや細菌に感染して、肺胞腔の内側に炎症が起きる病気です。
基本的に微熱や高熱、咳やたんなど風邪に似た症状が1週間以上続くと肺炎の可能性を考えます。
肺炎には2種類ありますが、若い人がかかりやすいのは「非定型肺炎」で、高齢者に多いのは「定型肺炎」です。
非定型肺炎の原因はウイルスや細菌以外の微生物による感染です。
例えば、マイコプラズマや肺炎クラミジアなどの微生物、インフルエンザウイルスやレジオネラ菌などがあります。
季節柄、職場や学校で流行って感染することが少なくありません。
特に、ハードワークでストレスや疲れがたまっている時は注意しましょう。
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症状は微熱または高熱が出て、頑固な空咳が長く続きますが、重症化しにくいのが特徴です。
一方、定型肺炎は風邪をこじらせることで発症することが多く、重症化しやすい病気です。
症状は38℃以上の高熱や膿性のたん、激しい咳や胸の痛み、息苦しさや倦怠感などがみられます。
高齢者の場合、誤嚥による肺炎や症状がないために発見が遅れて、死につながるといったケースも多いでしょう。
2.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
現在、患者数や死亡者数が日本だけでなく世界中で急増している慢性閉塞性肺疾患(COPD)。
2001年WHOにより、慢性的に気流閉塞を起こす「慢性気管支炎」や「肺気腫」などの病気を併せて、「慢性閉塞性肺疾患」と呼ぶことが国際的に統一されました。
長年の喫煙から起こるため、肺の生活習慣病とも言われています。
たばこの煙で肺に炎症が起きて、空気の通りが悪くなることで発症し、心臓病や肺がん、精神的な病気など全身の病気が併存するという特徴もあります。
慢性閉塞性肺疾患は60〜70代で急増するため高齢者に多いのですが、長期間の喫煙で発症することから、40歳代からの発症が徐々に増え始めていることが分かっています。
実際、過去に行われた疫学調査では、潜在患者数は40歳以上の8.6%に当たる530万人を超えることが推測されていると報告されています。
慢性閉塞性肺疾患は早期に治療を始めることで、重い病気を和らげて生活の質を保つことができます。
しかしながら、症状が咳やたん、息切れなど風邪に似ているため、「風邪をひきやすい体質だから」「歳のせいだ」と思ってしまい、早期に受診する人が少ないのが現状です。
そのまま放っておくと、病気は徐々に進んで、将来的には外出ができなくなって、寝たきりになることもあります。
一方、早期に受診して禁煙や運動療法など適切な治療を受けた人の約9割は症状を改善できたことも分かっています。
慢性閉塞性肺疾患の患者さんの約90%以上が喫煙している人、または以前喫煙していた人ですから、喫煙している人は早めに受診しましょう。
他の原因として遺伝的なものもありますが、最近の研究では血縁の親族に慢性閉塞性肺疾患やぜんそくなどがある場合、喫煙を続けていると発症する危険性が高いことも報告されています。
まずは、かかりつけ医に相談してみてください。
もし検査が必要だと判断された場合は病院の専門医を紹介してもらえるでしょう。
3.間質性肺炎
成人の病気と言われ、特に40〜60歳で多く発症するのが間質性肺炎です。
肺炎は肺胞腔内に炎症が起きますが、間質性肺炎は肺胞腔を包み込んでいる隔壁(かくへき)に炎症が起きる病気です。
隔壁を構成しているのは総合組織と呼ばれる成分や毛細血管、コラーゲン繊維などです。
これらは肺胞の伸縮性を保って、肺胞腔の空気の出し入れを可能にしたり、酸素と二酸化酸素の交換を行って、肺の機能を正常に保っています。
しかし、炎症が起きると細胞は損傷して変性し、肺の中の繊維が異常に増えてしまうことに。
そのため、間質性肺炎は肺線維症とも呼ばれています。
一般的に、原因は粉塵や喫煙、薬やカビ、ウイルスや放射線などがあげられますが、ほとんどは原因不明です。
症状は頑固な空咳や息切れ、呼吸困難や全身の倦怠感、体重の減少などがみられ、約半数の人はばち状指になることも特徴です。
一度、間質性肺炎になると、炎症が治まっても変性した細胞は元に戻りません。
全体として硬くなってしまった肺では、完治後も機能障害が続いてしまいます。
4.肺結核
年々、患者数が減って昔の病気と考えられている肺結核。
しかしながら、今でも感染と発病が続いている現役の病気と言われています。
原因は結核菌による感染です。
結核菌が肺に入って増殖するため、細胞が壊死して肺が広範囲に壊れてしまいます。
特に、若い人は結核菌に感染するとすぐに発病しますが、初期症状が微熱や咳、たんなど風邪と似ているため、そのまま気づかないこともよくあります。
元気そうに見えても、実は重症化していることもあるでしょう。
また、感染しやすい人の特徴には結核菌の免疫がない若い人や不規則な生活を送っている人、免疫機能が低下している人や免疫抑制薬を使っている人などがあります。
というのも、結核菌が咳で飛び散ったたんやくしゃみなどによって人から人へ感染した場合、免疫力が低下した時に発病しますが、一度治っても体力が低下すると再び感染して発症することが明らかになっているからです。
年齢が進むほど、感染した後、時間が経過してからゆっくり発症します。
特に、高齢者は数十年の潜伏期間があった後、再発するというケースもあります。
5.肺がん
急激に増加し、がんの死亡者数第1位になっているのが肺がんです。
肺がんの治療を難しくし、死亡率を引き上げている理由は自覚症状がほとんどなく、かなり病気が進行してから発見されることが多いからです。
原因は高脂肪・高カロリーなどの食生活や体質、タバコやディーゼルガスなどの大気汚染や加齢など。
生活習慣病とも言われる病気です。
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肺がんはがん細胞の形状や組織の形態、配列によって4つに分類されています。
日本人に最も多いタイプは全体の45%を占めている「腺がん」です。
初期症状が出にくく、がんが胸腔内に広がってから発見されることが多いでしょう。
2番目に多いタイプは30%を占めている「扁平上皮がん」です。
たばことの因果関係が強いと言われています。
3番目に多いタイプは15%を占めている「小細胞がん」です。
がんの進行が早く、早期から転移することがあります。
4番目は5〜10%を占めている「大細胞がん」です。
脳や骨、肝臓などに転移しやすいでしょう。
また、がんができた部位によって2つに分類されます。
1つは、肺の入り口付近にできる「中心型肺がん」です。
扁平上皮がんや小細胞がんができやすいでしょう。
早期から咳やたん、血たんの症状がみられ、1ヶ月以上続き、がんが進行するほど息苦しさもあらわれます。
もう1つは、枝分かれして細くなった肺の抹消部分にできる「抹消型肺がん」です。
腺がんの発症が多く、早期には自覚症状がありません。
がんが進行してから咳やたん、息切れなどがあらわれます。
定期検診が不可欠ですので、忙しい時でも時間を割いて受診することをおすすめします。
まとめ
体の中で最大の容積を持ち、外気に直接触れる唯一の臓器である肺。
空気の汚れで病気になるなど環境や生活習慣の影響を受けやすいので、予防をして症状を悪化させないように生活を改善することが重要です。
発病を予防するために最も効果的なのは禁煙です。
また、免疫力を高める食べ物を摂って、細菌やウイルスをシャットアウトしましょう。
HANA
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