体と心の両面に影響を与える飲酒。
「飲酒をコントロールできるかどうか」は人生を左右するといわれています。
本人だけでなく周囲の人も苦悩したり、経済問題を抱えたりすることは避けたいものです。
働き盛りで仕事やストレスが多い30〜40代。
「飲み方を変える」よりも「禁酒する」ことをおすすめする理由や方法をご紹介しましょう。
1.禁酒を難しくさせる理由とは?
気持ちを爽やかにする程度に飲むお酒は楽しいひと時になります。
ですが、飲酒量が増えたり、長期化したりすると身体や精神にさまざまな害をもたらすでしょう。
お酒を飲むことが癖になりやすい3つの理由があります。
1-1.依存性が強い
実は、WHO(世界保健機構)ではアルコールが麻薬同様の「依存性物質」として分類されています。
特に精神よりも身体的な依存の方が強く、依存からの脱却が難しいといわれています。
身体的依存については、カフェインを1とすると、アルコールは32〜64倍にもなり、これは覚せい剤やモルヒネ並みになります。
お酒が習慣性になると「それなしではいられない」と感じてしまうのです。
1-2.脳が学習する
端的にいいますと、依存が生じるのは脳の作用によるものです。
依存性物質は脳に興奮を生じさせます。
最初、脳は異常事態と受け止めますが、すぐに快感になって好むようになり学習してしまうのです。
実は脳は一度学習したものは忘れることがなく、その快感を得るための習慣や方法も消去できるものではありません。
そのため、お酒を長い間やめていたとしても「一口飲むと気持ち良くなる」と感じてしまうでしょう。
1-3.耐性がある
お酒は脳を麻痺させる作用がありますが、脳には自分の生命や身体を維持したり、防衛したりするための強い本能が備わっているため、少々の高揚状態であれば正常に働きます。
同時に、お酒で「楽しく快調だ」と感じている快感体験も学習していますので、飲酒を繰り返すことになります。
徐々に「以前の量では満足できない」という耐性がついてくるため、飲酒の量が増えてしまいます。
2.禁酒する方法とは?
一般に、禁酒する前は「我慢しなければいけない」「楽しみがなくなる」と考える人がよくいます。
ですが、実際に禁酒した人の多くは「飲酒していた時よりはるかに人生が楽しくなった」と感じているといわれています。
続けていた飲酒をやめるためには、まず禁酒の必要性を知ることや動機付けが重要です。
不注意やちょっとした油断が飲酒につながってしまうことは多いものです。
自分の性格や傾向を認識して、実際的な方法をあてはめてみましょう。
2-1.「アルコール依存症気質」に気づく
興味深いことですが、アルコール依存症気質の人は行動や性格に特別の嗜癖傾向(しへきけいこう)がみられます。
嗜癖傾向とは睡眠薬や精神安定剤などの薬、コーヒーや甘いお菓子、特定の物質などに耽溺(たんでき)する傾向のことです。
過剰に求める傾向を物質嗜癖といいますが、アルコールもこの中に含まれています。
また、過程嗜癖と呼ばれるものもあります。
仕事やギャンブル、浪費や貯金、家事や人の世話、買い物や人づきあいなど特定の行動にのめり込む傾向があることを意味します。
正常の人は行き過ぎるとフィードバックが作用するため、自制したり軌道修正したりできるのですが、嗜癖傾向のある人はそのことができません。
自分にそのような傾向があるか正直に向き合ってみてください。
禁酒の必要性を認識するのに役立ちます。
2-2.仕事中毒にならないようにする
嗜癖傾向の中でも、特にアルコール中毒との相関が非常に多いといわれているのが仕事嗜癖です。
仕事中毒は「ワーカホリック」とも呼ばれますが、この語は「仕事=work」と「アルコール依存症=alcoholic」との合成語です。
このタイプは脇目もふらずバリバリ働く人や、あっという間に管理職まで出世する人などに多いでしょう。
職場での特徴として、短期間で大量の仕事をこなすことや、完全欲また支配欲が強く仕事を人任せにできないこと、時間の無駄や空費を避けることや気に入らないことは包み隠さず表現することなどがあります。
周囲から「できる人」「やる気旺盛」と評価されることが多いものです。
ですが、禁酒のために仕事は無理せずマイペースで行いましょう。
2-3.ストレスをためないようにする
ストレスはお酒への強力な誘引力になります。
職場で頑張り過ぎたり、新しい仕事を任されて緊張が続いたりした時などはストレスもため込みやすくなるでしょう。
また、人間関係などで機嫌を損ねていたり、寂しかったり、疲れていたりすると飲酒欲求が起こりやすくなります。
体調や感情がすぐれない時はゆっくり休んで疲れをとってください。
友人とお酒抜きで楽しむことができる共通の趣味などを探すのも良いでしょう。
そもそも、お酒が入らないと付き合えない人は「真の友」といえないかもしれませんね。
スポーツやドライブ、音楽や映画鑑賞、博物館や美術館巡りなどもおすすめですし、時にはひとりでのんびり過ごすこともよいでしょう。
リラックスしてストレスが軽減されると禁酒しやすくなります。
2-4.お酒が出る集まりや機会を避ける
働く男性は仕事や付き合いがあるのは当たり前ですので、「これはなかなか難しい」と感じる人が少なくありません。
よくあるパターンは「ウーロン茶でなんとか過ごそう」と考えることです。
ですが、いったん出席してしまうと、他の人が美味しそうに飲んでいたり、皆で楽しんでいるのを見たりしますし、お酒を勧められたりすることもありますね。
友人たちに「禁酒しているから」と伝えておいても、あるいは「お酒は飲まない」と決意していても、「つい一杯」と気持ちが緩んでしまうことが多いものです。
禁酒のために、できるだけ最初から出席しないことをおすすめします。
2-5.自宅にお酒を置かない
当たり前のことなのですが、「禁酒のためにお酒を置かない」という点もポイントです。
もちろん、自分用に買い置きすることは避けますが、家族が買い置きしていたり、もらったお酒がそのまま起きっぱなしになっていたりするという場合があります。
中には、料理用と書いてはいますが、十分飲むことができるワインや日本酒を置いてあることも。
「健康に良い」とはいえ、アルコールが入っている薬用酒も置かない方が良いでしょう。
特に、空腹時は「アルコールを飲みたくなる」という人も多くいます。
家族がいる場合は禁酒宣言などをして、協力してもらいましょう。
2-6.禁酒の良い変化をイメージする
飲酒している時の体と心は深刻なダメージを受けることが多いものです。
ですが、禁酒すると体が快調になって精神も安定してきます。
「うれしい」「楽しい」と感じることも増えるため、人生の新たな発見やチャンスを逃さずにいられます。
それは禁酒を続ける力になりますし、「禁酒して本当に良かった」と思うようになるでしょう。
以下に、実際に禁酒した人の体と精神の変化をあげてみました。
○肝臓や血圧の数値が大幅に良くなった。
○体調が段違いに良くなった。
○朝の目覚めが良く、気分が爽やか。
○朝ごはんが美味しく、スッキリ歯も磨ける。
○つらい二日酔いがなくなる。
○楽しみや趣味が増えて、新しい発見がある。
○貯金が増えて、経済的に楽になった。
○生き方の選択肢が増えて、より自由な気持ちになれる。
○孤独感が消えて、世界が広がった感じ。
○家族との和が取り戻せて、家族の笑顔が増えた。
○仕事の能率や質が落ちなくなった。
【参考文献】
「アルコール依存症から抜け出す本」/樋口進 監修/株式会社 講談社
「アルコール依存症 治療・回復の手引き」/高木敏・猪野亜朗 監修/株式会社 小学館
まとめ
男性によくある傾向といわれていますが、強さや完璧さ、他人からの評価などを求め続ける生き方は無理をしがちです。
30〜40代は生活習慣病も気になる頃。
実際に、飲酒していた時は「検査値の結果が怖くて検診や病院に行けなかった」という人も少なくありません。
健康になるだけでなく、人生の充実度もアップする禁酒。
途中で挫折した時は「1度や2度の失敗は人並みで当たり前」と割り切って、あきらめずに成功を目指しましょう。
HANA
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