痰がからむ咳は長く続くことが多く、咳き込むほど腹部が痛み、つらくなります。
吐き出そうと思っても、痰がうまくきれないことも少なくありません。
「仕事中に痰が絡んだ咳がでて困る」などの心配を抱えることもあるでしょう。
痰は色や量、粘り気などからある程度病気を推測することができます。
ここでは痰がからむ咳の種類や特徴、原因や対処法についてご紹介します。
1.咳や痰の役割とは?
通常、人間の体の気管や気管支のあたりからは粘液が分泌されます。
普通の分泌量は1日100ccくらい。
この粘液があるおかげで、気管や気管支は乾燥から守られ、外から入ってきた異物などは体の外に排出されます。
そして痰は、この粘液に外から入ってきた細菌などの異物や、気道の内側で古くなった細胞などを包み込んで出しやすくしたもののことです。
驚かれる人も多いのですが、一般に健康な人でも1日10回くらい痰を出していると言われています。
これは痰が口の方に排泄されても無意識に飲み込んでしまって、痰が出たという自覚があまりないためです。
実際、健康な気管支が分泌する痰はそれほど量が多くありません。
そのため専門医からすると、咳や痰は非常に日常的な症状であると言われるほどです。
特に年配の人に多いのが、「咳もち、痰もち」と言われる症状。
風邪が治った後などに、気管支周辺が過敏になって咳や痰だけがいつまでも長引くというケースです。
特に異常はないのに常習的になっている状態です。
このような場合は、病気が関係しているわけではないので心配するほどのことではありません。
また、部屋の空気が汚れていたり乾燥していたりすると咳が気になることもあります。
突然むせるように咳き込んだ場合、刺激性のガスやたばこの煙などを吸い込んでいるケースもあります。
2.痰がからまった咳の原因とは?
咳や痰は呼吸器に関係しているので自己判断で軽く考えるのは禁物です。
特に気道周辺に炎症が起こると分泌物が増えて痰も多くなるでしょう。
意識せずに飲み込むことはできず、気になる排泄物を出すために咳が起こります。
痰がからまった咳はゴホンゴホンという湿性の咳と言われています。
原因として最も多いのは風邪です。
また、しつこい咳が長く続く場合は気管支炎、熱が出る場合は肺炎、血痰が出る場合は進行性肺がんや気管支拡張症などが考えられるでしょう。
炎症によってはかなりの痰が出るようになり、何度も咳き込む辛さを訴える人もいます。
特に冬の季節に多いのは慢性気管支炎です。
もし痰がからんだ咳が3ヶ月以上続いているという人や、ここ2〜3年冬になると同じような症状で悩まされるという人は呼吸器科や内科での受診をおすすめします。
中には、最初は痰がからまった咳が出ていたのに、次第に痰がからまない乾いた咳が出るようになったり、その逆に痰がからまない乾いた咳から痰がからまった咳が出たりするようになる人もいます。
この場合、病気の診断も変わりますので早めに診てもらった方が良いですね。
病状によって早急な処置が必要な場合もありますのでなるべく早めに受診しましょう。
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3.痰の特徴で見分けることができる病気とは?
先ほど述べたとおり、痰に混じっているものは体外からの異物や気管支や肺の粘膜からはがれた細胞や細菌などです。
通常よりも痰の量が増えたり、色がついたり、血が混じったりする場合は呼吸器のどこかに異常があるサイン。
痰を調べるなら外から見えない気管支や肺の状態をほぼ正確に知ることができるでしょう。
痰は原因となっている病気によって色や性質が異なります。
正常な痰は白色透明、やや粘りがあるでしょう。
これ以外の場合は呼吸器に何らかの異常が考えられます。
それぞれの特徴や疑われる病気は以下のとおりです。
3-1.無色透明または半透明でサラッとした痰
風邪をひいた時に出ることが多く、細菌感染のない気管支炎の時に出ることもあります。
3-2.無色透明または半透明で粘りのある痰
気管支喘息の時に出ることが多く、切れにくい痰です。
他にもゼイゼイという喘鳴があったり、呼吸が苦しくなったりします。
3-3.粘り気の強い痰とは?
気管支炎や肺炎、気管支喘息が考えられます。
3-4.サラサラして泡が生じる痰
肺水腫が考えられます。
3-5.黄色い痰
細菌感染を起こしており、白血球や細菌などを多く含んでいます。
特に濃い黄色の痰は肺化膿症などの細菌感染が考えられます。
3-6.緑色の痰
細菌感染によるものです。
特に、慢性気管支炎につくことがあるインフルエンザ桿菌(かんきん)や一度感染すると治りにくいと言われている緑膿菌(りょくのうきん)の可能性もあります。
3-7.赤色の痰
痰に血が混じっている状態です。
血の色が鮮やかな赤色だけでなく、さび色や茶色、黒ずんだ色の痰が出ることもあります。
細い糸をひいたような血が痰に混じっている場合と口の中の出血や鼻血が痰に混じっているだけの場合があり、前者のようなものを血痰と言います。
血痰が出る場合は注意が必要です。
考えられる病気として一番多いのは気管支拡張症。
次に多いのは肺炎や肺がん、肺結核となっており、重い病気の可能性が考えられます。
特に、喫煙者の人で咳や痰、血痰などの症状が早くからあらわれるのは肺がんです。
気管支や肺の入口あたりにできる「中心型肺がん」が多いでしょう。
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3-8.ドロッとした痰
細菌感染があり、慢性気管支炎や気管支拡張症、細気管支炎や肺炎などが疑われます。
3-9.量が多い痰
痰がたくさん出た時は気管支拡張症や気管支炎、肺炎や肺がんなどが考えられます。
4.痰を出やすくする咳の効果的な出し方とは?
咳や痰は肺を守ろうとして起こりますので、我慢せずに出すことが重要です。
きちんと痰を出す効果的な方法があります。
少し前かがみになって腹筋をゆるめるような姿勢をとりましょう。
横隔膜の動きを良くする状態だと痰が出やすくなるからです。
また、肺の奥にある出にくい痰の場合は横になって上半身が低くなるように斜めに寝ます。
これは医師が指導する体位性ドレナージと呼ばれていて、重力によって押し出す方法です。
しかしながら、咳は起こるたびに体力を消耗する激しい運動と同じようなもの。
腹筋も使いますので腹部の筋肉痛を起こすこともあるでしょう。
そのうち息切れがしたり、食欲が低下したりすることもあります。
何度も起こる咳が長期間にわたる場合は、特に胸や肋骨あたりに痛みを感じるほど辛いものになるでしょう。
実際に、咳き込んで肋骨にひびが入ったという人もいるほどです。
5.咳と痰がひどい時の対処法とは?
痰を出したいのに出ない時は痰をやわらかくすると出やすくなります。
例えば、蒸しタオルの湯気を吸ったり、加湿器などの蒸気を吸ったりすることができます。
他にも、咳や痰がひどい場合はかかりつけの医師に相談すると良いでしょう。
咳を止める働きのある鎮咳剤(ちんがいざい)や痰を出しやすくする働きがある去痰剤(きょたんざい)を処方してくれるかもしれません。
日常生活のポイントもあります。
室内の換気をこまめに行って、空気の汚れに注意しましょう。
特に冬は暖房を使いますね。
なるべく空気を汚さないタイプの器具、例えば汚れた空気を室外に排出する機能がついているスチームや電気のものを選びましょう。
避けた方が良いのはガスや灯油を使うタイプです。
空気の乾燥を予防するために加湿器を使うこともできます。
起床時や外出先から戻った時など1日何度もうがいをしましょう。
痰が切れて出やすくするために気管に潤いを与える蒸気吸入もおすすめです。
【参考文献】
「気になるからだの異常と検査」/日本放送出版協会 編集/発行 日本放送出版協会
「これだけは知っておきたい呼吸器の病気」/福地義之助 総監修/発行 日本放送出版協会
まとめ
咳き込むと薬を飲もうと悩みますが、まずは咳の出そうな環境にいるかどうか確認しましょう。
一方、痰は肺や気管支からの分泌物ですので、咳で痰を出すことはいわば肺の防御反応です。
働き盛りの30〜40代は仕事などで疲労がたまったり、季節によって痰がからむ咳が出やすくなったりします。
呼吸器が関係していますので早めに受診しましょう。
HANA
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