「ガツガツ食べたい」。
特に30〜40代の働き盛りはストレスも増大するため、食べ過ぎてしまうことが少なくありません。
ここでは、ストレスと食欲の関係について詳しくご紹介します。
⒈ストレスと食欲の関係とは?
空腹を感じて食べたくなるのは、体内のホルモン分泌によるものです。
中でも、食欲をコントロールしているのは、レプチンとグレリンというホルモンといわれています。
しかしながら、ストレスを受けている時、脳内の青斑とよばれる部位からホルモンが分泌され、このホルモンの分泌を抑えるために、体は食べ物を食べようとします。
ストレスという感情的反応によってドカ食いになる人が多いのはそのためです。
その時の気分によって、食べたいものが違うという人も少なくありません。
これは、気分がホルモンに作用して特定の食べ物が欲しくなるからです。
例えばそれぞれの感情によって、以下のような傾向が多く見られるといわれています。
✔︎ストレスがある時は塩っ辛いものが欲しくなる。
✔︎落胆している時は甘いものが欲しくなる。
✔︎心配事がある時は柔らかくて甘いものが欲しくなる。
✔︎怒っている時は固いものやかみごたえがあるものが欲しくなる。
✔︎嫉妬している時はとにかくなんでも欲しくなる。
⒉ストレスで食欲が増してしまう理由とは?
では、脳と感情はどのようにつながっているのでしょうか。
脳には満腹を知らせる視床下部の近くに、脳下垂体と呼ばれる部位があります。
脳下垂体は体の残りの部分に指示を伝えるホルモンを分泌。
そのため、食べたいという体の欲求と心の欲求がつながることになるのです。
特に感情的になっている時は衝動的に食べることが多いでしょう。
例えば、でんぷん質の甘いものやしょっぱいもの、脂肪がたっぷり含まれているものなどです。
衝動的に食べる時の感情に大きな影響を与えているホルモンが5つあります。
① セロトニン
心地良い気分になるホルモンです。神経伝達物質のひとつで、鬱々した気分を和らげます。
② ドーパミン
満足するホルモンです。特に中毒性があり、痛みを和らげる働きもあります。
③ ギャバ
抑制性のあるホルモンです。神経伝達物質のひとつで、γ-アミノ酪酸と呼ばれています。
④ ノルエピネフィリン
攻撃的になったり、逃避したくなったりするホルモンです。
⑤ 酸化窒素
落ち着いてくるホルモンです。強力な神経ペプチドで、血管を弛緩させる働きもあります。
(人気記事→テストステロンは男の必須ホルモン!知るべき働きと筋トレで増やす方法)
⒊ストレスがあると食べ続けてしまう理由とは?
通常、脳の中には何百万という神経伝達物質があり、互いにメッセージを送っています。
ストレスから甘いものが欲しくなって、糖分をたっぷり含んだ食べ物を食べると、セロトニンの分泌が促されます。
脳内ではインシュリンがセロトニンを作り出して、心地良い気分にさせてくれるので、ストレスが薄れていくでしょう。
しかしながらその後、セロトニンが脳細胞に吸収されて分解してしまうと、心地よい気分が失われてしまうため、すばやく気分を高揚させてくれるものを欲してしまいます。
この衝動を満足させようとして、すぐにまたセロトニンを分泌してくれる糖分たっぷりの食べ物に手を伸ばしてしまうのです。
脳内では他にも多くのホルモンがメッセージを送り合っていますが、全体としてセロトニンやドーパミンなど前向きな感情を促すホルモンが高い場合は気分がハイになります。
一方、落ち込んだり心配したりしている時は低下するため、不安になります。
つまり、体はハイな状態を保とうとしたり、不安になるのを避けようとしたりして、そのホルモンを分泌してくれる炭水化物などを欲することになるでしょう。
興味深いことに脳のセロトニンレベルが低下した場合、体は「飢餓がくる」と感じて自分を守ろうとし、むしょうに炭水化物を欲することがわかっています。
長い間食べない状態が続くなら、セロトニンの量が急に低下するため、体は食べ物を要求することになるのです。
⒋ストレスがあると衝動的に食べてしまう理由とは?
脳の視床下部には、空腹を知らせるホルモンのNPYと満腹を知らせるホルモンのCARTがありますが、そのすぐ隣には乳頭状器官と呼ばれる部位があります。
乳頭状器官には食べ物の記憶がしまわれており、一対の乳首に似た突起のようになっています。
実はこの突起、空腹というメッセージを受け取ると、記憶にアクセスして以前むちゃ食いしたものを思い出すようになっているのです。
体に悪いと分かっていても無性に食べたくなって、ドカ食いしてしまった物も思い出してしまいます。
また興味深いことに、太っている人と痩せている人では、舌や唇、口の動きを制御する脳のセンターが異なる反応を示すことも明らかになっています。
実際、体重の重い人が甘い物などに誘惑された時はこの領域が起動するのですが、痩せている人が誘惑された時は静かなままで起動しなかったのです。
糖分が多く含まれている食べ物は、肥満の人ほど感情的な食べ方につながってしまうでしょう。
⒌ストレスで食欲が増す人に睡眠が大切な理由とは?
睡眠が不足するとセロトニンやドーパミンが足りない分を補おうとして、脳がすぐにこれらのホルモンを分泌させる甘い物を欲してしまいます。
また、胃から空腹を訴えるホルモンであるグレリンの分泌が高まり、満腹を知らせて脂肪の吸収を抑えてくれるホルモンであるレプチンの分泌は低下するため、食欲が増していくことに。
そのようにしてエネルギーをため込むことで、自分を守ろうとするのです。
実際、体が眠気を訴えている時に何かを食べると、味覚で脳が刺激されたり、体内の消化活動が活発になったりして、一時的な覚醒効果があるでしょう。
眠気が吹き飛んだように感じてそのまま頑張ってしまい、しかもそれがクセになっている人は少なくありません。
体が再生するためには、7〜8時間の睡眠が必要であると言われています。
特に、年齢とともに脳の中にある松果体とよばれる器官が分泌している睡眠ホルモンのメラトニンが減少し、その結果炭水化物が欲しくなってしまいます。
忙しい毎日の中でも睡眠はきちんととりましょう。
(おすすめ記事→どうすれば返済できる?睡眠負債を解消する4つの方法)
⒍ストレスで食欲が増す時に摂りたい食べ物とは?
神経ペプチドYと呼ばれるストレスホルモンは、過酷なストレスや長期間続くストレスによって増加すると言われています。
そのため、慢性的なストレスを抱えている人が太りやすい理由の一つとなっています。
また、男性は男性ホルモンであるテストステロンがNPYの分泌を促すため食欲が増してしまうでしょう。
さらに、年齢とともに脳の視床下部にあるレプチンの受容器官が減るため、「満腹だ」と感じさせるメッセージが少なくなって体重が増加してしまいます。
体に悪い食べ物は空腹感を倍増させて体を疲れやすくしたり、栄養分が少ないため体を老化させたりします。
ストレスで食欲が止まらないという問題に対処するために、体内の化学作用を少しづつ変えることはできます。
セロトニンの分泌を増やすようにして気分を上向きにし、食欲を落ち着かせましょう。
ストレスを感じた時ほど、感情ではなく胃を満足させるために、食べるものを選んでください。
✔︎鶏むね肉
必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンが多く含まれています。
セロトニンを増加させるため気分は前向きに。
落ち込みを和らげて、炭水化物が欲しくなる衝動を抑えてくれるでしょう。
✔︎青魚
魚に含まれているオメガ3脂肪酸はうつ状態を抑える作用があります。
特にサバやサンマ、マグロやブリ、イワシといった青魚の脂肪分に多く含まれています。
実際にオメガ3脂肪酸の摂取が少ない人ほど、幾つかのうつ状態に関わっているでしょう。
【参考文献】
「食べてやせる人 食べないでやせる人」/マイケル・F・ロイゼン、メフメト・Cオズ 著/発行所 東京書籍株式会社
「食欲フリーDiet」/夏目祭子 著/発行所 WEVE出版
「正しい食欲のつくり方」/西邨マユミ 著/発行所 株式会社ワニブックス
まとめ
ストレスによって食欲が増すのは、感情に影響を与える脳やホルモンのシステムといった体の変化からです。
加えて、自分の心や意志の力、自制心や動機なども見直してみましょう。
ホルモン作用の変化を助けて衝動食いを避けるのに役立ちます。
HANA
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