チョコレートの原料になるカカオ豆の学名は「テオブロマ・カカオ」。
18世紀にスウェーデン人の科学者リンネによって命名されました。
実は、「テオブロマ」とはギリシャ語で「神の食べもの」という意味があります。
その名にふさわしく、カカオ豆の成分には健康に良い成分がたっぷり。
特に働きざかりの人に嬉しい効果を発揮します。
1.老化を予防する
チョコレートにはポリフェノールが豊富に含まれています。
食品中のポリフェノール含有量の比較
○緑茶(100cc)…0.1g
○赤ワイン(100cc)…0.3g
○ミルクチョコレート(100g)…0.8g
ポリフェノールの強い抗酸化作用は活性酸素を除去する働きがあります。
活性酸素とは体内に取り入れた酸素が変化して、活性の高い構造を持ち、体内の酸化作用を活発にするものです。
体の細胞を破壊するため、病気になったり、老化の原因になったり、不調になったりします。
体内では抗酸化物質がつくられますが、活性酸素を発生させるさまざまな原因が多いため不足します。
抗酸化物質の中でも特に高いのがポリフェノールの抗酸化作用。
チョコレートは体のサビを防いで、老化を抑える働きがあります。
2.動脈硬化を予防する
2-1.コレステロールの沈着を予防する
動脈硬化の主な原因のひとつはコレステロールの沈着です。
一般に、ミネラルや資質が動脈壁に沈着すると、動脈壁の弾力が低下してしまいます。
カカオマス・ポリフェノールにはこれらの沈着を予防する、きわめて高い効果があることが分かっています。
実際、ラットを使った実験でも、カカオマス・ポリフェノールを与えた方が、リンやカルシウムなどが動脈に沈着する割合が少なかったのです。
チョコレートに含まれているカカオマス・ポリフェノールはコレステロールの沈着を防いで、動脈硬化を予防することができるでしょう。
2-2.コレステロールの酸化を予防する
コレステロールそのものは動脈硬化を起こしませんが、悪玉のLDLコレステロールに活性酸素が作用してできた酸化LDLが原因になります。
(おすすめ記事→善玉(HDL)・悪玉(LDL)コレステロールって何?脂質異常症や値が低い場合の危険性)
つまり、動脈硬化を予防するためにはLDLコレステロールの量を増やさないこと、酸化LDLに変化させなよう活性酸素を抑えること、また発生した活性酸素をすぐに消すことが重要です。
チョコレートのポリフェノールに酸化を予防する効果が本当にあることを証明する報告があります。
12人の健康な男性に実験を始める12時間前から絶食してもらい、お腹を空っぽにした状態でなるべく脂分を取り除いたチョコレートを35g食べてもらいました。
そして、チョコレートを食べる前と食べた後、2時間後と4時間後にそれぞれ血液を採取して、採取した血液に酸化促進剤を加えて、LDLが酸化するまでの時間をはかったのです。
チョコレートを食べる前、LDLが酸化す時間は約61.2分かかったのに対し、食べた後2時間後は約70.12分と遅くなっていました。
もう一つ分かったことは、食べた後4時間後には約64.2分になっていたため、抗酸化作用は元に戻るという特徴があることです。
確かに、チョコレートにはコレステロールの酸化を防いで、動脈硬化を予防する効果があることが分かります。
2-3.コレステロール値を下げる
チョコレートは脂肪であるカカオバターが30%以上も含まれています。
カカオバターに含まれている3種類の脂肪酸のうち、最も多いのがステアリン酸です。
通常、ステアリン酸は飽和脂肪酸と呼ばれ、コレステロールを上げる健康に悪い脂肪。
ただ、興味深いことにカカオバターに含まれているステアリン酸は例外です。
飽和脂肪酸でありながら、コレステロール値を下げてくれるのです。
実際の研究報告があります。
若い男性にバター・ココアバター・オリーブ油・大豆油のほか、何種類かの脂肪分を摂ってもらい、その後総コレステロール値をはかりました。
結果は、最も高い順から、バター・牛脂・カカオバター・オリーブ油の順です。
このように、ココアバターはバターと同じくらい飽和度が高いのですが、高コレステロールを引き起こす可能性が低く、コレステロール値を上げない脂であることが証明されています。
3.中性脂肪を減らす
肥満の元凶というイメージがあるチョコレート。
実は、メタボリック体型の人に多い中性脂肪を減らす効果があります。
チョコレートの脂肪分であるカカオバターの脂肪は普通の油脂に比べて吸収率が低いことが確認されています。
また、カカオマスの中には脂肪消化酵素リパーゼの活性を阻害する物質があることも証明されています。
おやつに食べることが多いスナック菓子やチョコレート。
実際、一つのグループの人に板チョコを食べてもらい、もう一つのグループの人に同じカロリーで高炭水化物のスナック菓子を食べてもらいました。
悪玉コレステロール比率の低下が見られたのは板チョコのグループだったのです。
おやつを食べるなら、スナック菓子よりも板チョコのほうが健康に良いですね。
4.がんの発生・増殖を抑える
チョコレートのカカオマス・ポリフェノールにはがんの発生を抑えるだけでなく、がん化した細胞の増殖を抑える作用もあることが証明されています。
(人気記事→大腸がんは早期発見で完治できる!大腸がんの初期症状とは?)
通常、ガンが発生する第一段階は「イニシエーター」と呼ばれる初発因子が、細胞のDNAを傷つけて突然変異させることで始まります。
第二段階は「プロモーター」と呼ばれる促進因子が、がん化した細胞を活性化させてがんが形成されていきます。
実は、イニシエーターはそのままでは活性化されず、プロモーターがあって初めて活性化されるのです。
イニシエーターと呼ばれる物質は化学物質や放射線、ウイルスや紫外線のほか、自動車の排ガスや防腐剤、殺虫剤や除草剤、カビなどから発がんします。
食べ物では食品などの焦げた部分や食品添加物などです。
カカオマス・ポリフェノールとがんの発生に関するラットの実験でも、高い確率でがんが発生したのはカカオマス・ポリフェノールなしのグループで、発生率は約90%。
5mgのカカオマス・ポリフェノールを与えたグループは約50%。
10mgのカカオマス・ポリフェノールを与えたグループは約20%とがんの発生が低いことが明らかになりました。
イニシエーターとプロモーター、この段階でがん細胞の増殖が抑えられなければ、次の段階である「プログレッション」へ進み、急速に増速してがん病巣がつくられます。
カカオマス・ポリフェノールはがんの発生と増殖という最初の段階で作用し、がんを予防します。
5.アレルギーを予防する
チョコレートのカカオマス・ポリフェノールはさまざまなアレルギー疾患を予防します。
年々、花粉症やアトピー、喘息などアレルギー症状に悩まされる人が増えていますね。
食品添加物や大気汚染、ハウスダストやストレスなどアレルギー疾患の原因が増えているため当然でしょう。
アレルギー症状は免疫系の乱れを健全に整えることが重要です。
カカオマス・ポリフェノールにはアトピー性皮膚炎の原因となる抗体の生成を抑える効果があります。
また、アレルギー疾患の原因の一つに炎症を起こす物質であるヒスタミンが、細胞から離れて動き出すことがあげられますが、カカオマス・ポリフェノールにはその割合を著しく抑える働きもあります。
実際、チョコレートを食べた1時間後の人の抗体の生成やヒスタミンの遊離を調べたところ、抗体は大幅に低下し、ヒスタミンの遊離はかなり減少していたのです。
このことから、すでにアレルギー症状がある人もチョコレートを食べると症状が軽減することが分かります。
6.胃潰瘍を予防する
チョコレートには胃潰瘍を予防する働きもあります。
しかも、胃潰瘍の薬に匹敵するほど高い効果があることが分かっています。
同時に、胃潰瘍を進ませる酵素のエロペルオキシターゼの活性を抑えることも明らかになっています。
活性酸素を大量発生させるものの一つにアルコールがありますが、お酒を飲むときはチョコレートを一緒に摂ると良いでしょう。
7.便秘を予防する
チョコレートに含まれている豊富な食物繊維。
便通を良くして排泄を促してくれるだけでなく、善玉の腸内細菌が活性しやすい環境にする働きがあります。
カカオマスの約17%が食物繊維ですが、他の食品ではみられないほど多量です。
また、食物繊維は種類がさまざまで、セルロースやヘミセルロース、ペクチンやマンナンなどがあります。
チョコレートに含まれている食物繊維はリグニンやヘミセルロース、セルロースなど。
特にリグニンは52.9%も含まれており、これほど多量のリグニンを含んでいる食品も珍しいでしょう。
厚生労働省が定めている食物繊維の摂取量の目安は成人一人あたり1日約20〜25g。
実際の摂取量は1日15g以下となっており、5〜10グラム不足しています。
これは板チョコ2枚分に含まれている食物繊維の量です。
チョコレートは単に量を補うだけでなく、リグニンなどの良質な食物繊維を補うことができるでしょう。
8.ストレスに強くなる
チョコレートはストレスよる健康上の障害を予防したり、障害を回復させる効果があります。
ストレスは万病の元と言われている通り、活性酸素を大量に発生させるため、さまざまな病気や不調につながります。
肉体的ストレスにも精神的ストレスにも効果があるカカオマス・ポリフェノール。
ストレス反応を抑えるために、生理的な仕組みそのものを調整する働きがあることも分かります。
チョコレートは肉体的・精神的なストレスのダメージを抑えたり、回復させたりする効果があるでしょう。
9.集中力・記憶力を高める
濃厚で甘い香りを放つチョコレート。
チョコレートの香りには集中力や記憶力を高める効果があります。
実際、チョコレートを食べた後、やる気や集中力に関係していると言われる脳波の一種を測定する実験では、約30分は活発でした。
頭の働きを良くする効果があるチョコレート。
勉強や仕事をしていて頭の疲れを感じたら、香りを楽しみながら味わってみてください。
10.イライラをしずめる
チョコレートの原料であるカカオ豆に含まれているミネラルは豊富で良質。
カルシウムや鉄分、マグネシウムや亜鉛などたっぷり含まれています。
体に必要な量は微量ですが、バランスよく摂ることが重要なミネラル。
カルシウムとマグネシウムのバランスは2:1となっています。
チョコレートにはさまざまなミネラルがバランスよく含まれているため体内の吸収率もアップします。
イライラしたり、怒りっぽくなったら、チョコレートをつまんでひと息つきましょう。
まとめ
医学的な効果が次々と明らかになっているチョコレート。
はるか昔、アステカ皇帝の不老長寿の秘薬でもありました。
中米ではカカオと薬草を混ぜて病気の治療に使われることもあったほどです。
健康食として科学的にも明らかなチョコレートを楽しんでみてください。
HANA
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