健康診断などでコレステロールが問題として指摘されたことはありませんか?
コレステロールは身体にとっては非常に重要な成分で、数値が高い場合(脂質異常症)も低い場合も問題となります。
ここではコレステロールとはそもそも何なのか、数値が高い場合・低い場合の危険性を紹介します。
1.実は身体にとって重要な成分。コレステロールとは?
コレステロールとは体内に存在している脂質の1種です。
細胞膜、男性・女性ホルモンや副腎皮質ホルモンの材料になったり、人体にとって非常に重要な役割を果たす成分の1つになります。
1-1.コレステロールは免疫系に大きく関与している!
コレステロールは身体の免疫系に欠かすことのできない存在です。
免疫系が十分に活躍するには古い細胞が新しい細胞へと入れ替わる、細胞の新陳代謝は非常に重要です。
新しい細胞を造るには細胞膜が必須となるため、この細胞膜の材料であるコレステロールは免疫系では外すことのできない存在となっているのです。
しばしば高コレステロールが問題として取り上げられていますが、医師によっては少し高い程度であればそれほど問題視をする必要はないとも言われています。
1-2.コレステロールは善玉(HDL)と悪玉(LDL)に分類される
コレステロールは善玉(HDL)と悪玉(LDL)の2種類に分類され、それぞれが異なる働きをしています。
善玉(HDL)は体内に過剰となったコレステロールを排出する働きがあり、悪玉(LDL)には必要な個所にコレステロールを運ぶ働きがあります。
1-3.コレステロールの基準値
コレステロールの基準値は以下のようになっています。
・総コレステロール:120~220mg/dl
・善玉(HDL):40~70 mg/dl
・悪玉(LDL):70~139 mg/dl
2.コレステロールと脂質異常症
血液検査でコレステロールが高い状態と判断されると、脂質異常症という診断がつきます。
(オススメ記事→脂肪肝は怖かった!知っておくべき症状と治療方法)
以前は高コレステロール血症と言われていたのですが、2007年より高コレステロール血症と高脂血症を総称して高脂血症として扱われるようになりました。
2-1.脂質異常症の診断基準
脂質異常症のコレステロールに関する診断基準は以下のようになっています。
・善玉(HDL):40 mg/dl未満
・悪玉(LDL):140 mg/dl以上
(他数値に関しては中性脂肪150 mg/dl以上)
これらが1つでも該当していれば脂質異常症と診断されます。
2-2.脂質異常症は自覚症状なし!しかし血管はボロボロ
脂質異常症に自覚症状はほとんど現れません。
そのため健康診断での血液検査によって気づかされるという場合が多くあり、そして自覚症状がないからこそその状態は軽視される傾向にあります。
しかし脂質異常症は自覚症状がなくとも、体内では大きな変化が生じています。
体内に蓄積されていった過剰なコレステロールは行き場を失って、血管の内部に付着していき血流は悪化させます。
また血管内部の付着物が大きくなって何らかの拍子でこの付着物がはがれてしまうと、付着物は細い血管箇所で詰まってしまい血流を止めてしまいます。
この詰まりが脳であれば脳梗塞、心臓であれば心筋梗塞となります。
年齢を重ねていればこのような病気に対する心配から健康を気遣う人もいますが、働き盛りの30代、40代であれば「こんな病気とは無縁だ」と思われがちで生活に配慮がなされない場合が多くあります。
しかし若い世代であってもこのような病気を発症する人はいます。
脳梗塞や心筋梗塞は命を落としてしまったり、また命が助かっても後遺症が残ることがあります。
後遺症は軽度の場合もあれば、片手・片足が動かない状態や重度であれば若くしてほぼ寝たきりということもあります。
脂質異常症は自覚症状がなくとも気を付けなければならない状態なのです。
2-3.脂質異常症を改善させる方法
・食事
食べ過ぎに注意しながらバランスのとれた食事をとるように心がけましょう。
食事をするときは一汁三菜、腹八分目を念頭に置くだけでも食事の仕方が変わってくるでしょう。
また大豆製品や食物繊維、不飽和脂肪酸(青魚など)にはコレステロールや中性脂肪を下げる働きがあるため、意識して食事に取り入れると良いです。
一方で飽和脂肪酸(バター、脂身、スナック菓など)、コレステロール(卵、鶏の皮など)、糖質(特に砂糖を使った製品や果物)には悪玉コレステロール、中性脂肪を上げる働きがあるため、控えるようにしましょう。
・運動
適度な運動は善玉コレステロールを増加させ、中性脂肪を下げる働きがあります。
ガイドラインでは毎日30~60分の運動、もしくは1週間で合計180分以上の運動を行うと良いとされています。
もし運動を始めることに対して抵抗を感じることがあれば、ウォーキング、ランニング、水泳、筋トレなど推奨される時間より短くても良いので、まず運動に取り組むことを目標としましょう。
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・禁煙・減煙
タバコは善玉コレステロールを下げて、悪玉コレステロールを上げる働きがあります。
また血液を凝固させやすくする働きもあるため、血栓ができるリスクを高めます。
スパッと禁煙をする、もしくは1日○本までと決めて減煙をするようにしましょう。
・ストレス対処
ストレスを感じると様々なホルモンが作用してコレステロール値を高めてしまいます。
ストレスを感じない生活は無理ですが、ストレスを避けるにはどうしたらよいかを考えることは重要です。
またストレスを避けられない場合は、そのストレスをどう発散するかという方法を考えると良いです。
運動、カラオケ、食事、旅行、ゲーム、掃除など色々と試してみましょう。
・薬物療法
病院を受診すればコレステロールを下げるために薬が処方されることがあります。
基準値を大幅に超えるようなコレステロール値であったり、動脈硬化が進行している状態であれば薬物療法はやむを得ないと言われています。
しかし薬に副作用はつきものです。
コレステロールを下げる薬には肝機能低下、末梢神経障害、筋肉の融解などの副作用があります。
また糖尿病に罹患するリスクが1.5倍になったという報告もあります。
コレステロールの治療は食事、運動、タバコ、ストレスなど生活習慣の見直しが基本となります。
薬は無理やり数値を下げているだけであって、やはり根本からコレステロールを改善させるには規則正しい良い生活習慣が必要です。
3.コレステロールが低い場合
コレステロールは高い場合をよく問題として取り上げられていますが、低い場合も大きな問題となります。
コレステロールは免疫系に深く関与しているため低ければ免疫力が低下し、またホルモンの材料にもなっていることから低いと自律神経系にも乱れを生じさせてしまいます。
さらにコレステロールは脳内にあるセロトニンの伝達を担っており、このセロトニンには心を落ち着かせる作用があります。
そのためコレステロールが低下すると精神面にも影響を与え、落ち込みやすかったりイライラしやすかったりなどの症状を招き、うつ病を引き起こすこともあります。
3-1.コレステロールが低いとガンの発症リスクが上がる
コレステロールが低いとガンの発症リスクが上がるとされています。
総コレステロールが基準値より低い人は、280mg以上の人よりも肝臓がんによって死亡するリスクが5倍になるという報告もあります。
コレステロールの低下は免疫力の低下を引き起こし、そのためガンの発症リスクが上がるのではと考えられています。
3-2.コレステロールを上げる方法
コレステロールを上げるには食事の見直しが効果的とされています。
特に野菜中心のヘルシーな食事を意識している場合は栄養素に偏りが生じやすく、コレステロールが低くなってしまうことがあります。
野菜はもちろん重要ですが、その食事にタンパク質やカルシウム、コレステロールを含む卵や乳製品などをプラスしてみましょう。
まとめ
多くの人は、LDL(悪玉)コレステロールについて指摘される場合が多いと思います。
しかし、過剰なダイエットなどにより栄養が偏りコレステロールが低いと言われる人も増えているようです。
身体にとってコレステロールは必要な成分です。
バランスのとれた食事と規則正しい生活を心がけましょう。
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