胃の痛みを感じやすい人は多忙で生活が不規則、また人間関係のストレスを感じことがよくあります。
痛みを紛らわそうとして消炎鎮痛薬などを服用し、一次的に症状を抑えようとする人も多いですが、これは症状を悪化させるケースです。
胃の痛みの原因に合わせて対策をしましょう。
1.急性胃炎とは?
医学的には「急性胃粘膜病変(AGML)」と呼ばれている急性胃炎。
胃粘膜に急性の炎症が起きて、発赤や浮腫、びらんと呼ばれるただれができる病気です。
ストレスや科学的な刺激で起こる一過性のものです。
原因はさまざまですが、最も多い順に3つあります。
1つは長時間の緊張状態や強いショックを受けるなど過度のストレスを受けた時、2つ目はアスピリンなど非ステロイド系消炎鎮痛薬の服用した時、3つ目はお酒を飲みすぎた時などです。
急性胃炎の症状は胃の痛みの他にも胸やけや悪心、嘔吐などがありますが、特に胃の痛みと一緒に下血や吐血が起きた時は胃粘膜の広範囲にただれが起きている状態です。
炎症がそれほどひどくなくても、徐々に出血することがありますので、「もしかして急性胃炎かも…」と感じたら、早めに受診しましょう。
2.慢性胃炎とは?
慢性胃炎も胃に炎症が起こる病気です。
「急性胃炎がひどくなると慢性胃炎になる」と考えている人も多いですが、慢性胃炎は急性胃炎とは成り立ちがまったく異なるため、急性胃炎から慢性胃炎に移行することはありません。
通常、慢性胃炎は病変部の形態によって3種類に分けられます。
1つは胃粘膜の表面に炎症が起こっている状態の「表層性胃炎」、2つ目は胃粘膜が萎縮して薄くなっている状態の「萎縮性胃炎」、3つ目は萎縮した胃粘膜の一部が盛り上がってしまった状態の「肥厚性胃炎」です。
また、特殊なタイプとして、免疫の異常で慢性胃炎が起こることもあります。
これは「A型胃炎」と呼ばれており、それ以外の慢性胃炎は「B型胃炎」と呼ばれています。
A型胃炎とB型胃炎の比率は1:9。
慢性胃炎は圧倒的にB型胃炎が多いことが分かります。
慢性胃炎の原因は免疫異常の他にヘリコバクター・ピロリと呼ばれるピロリ菌の感染があります。
自然に治る病気ではありませんので、適切な治療を受けた方が良いでしょう。
胃がチクチクと痛むなど、「度々、胃の不快な症状がみられる」「いつも食欲がない」と感じる時は消化器内科を受診してみてください。
(おすすめ記事→慢性化しやすい大腸炎!ストレスや乱れた食生活でできる腸の潰瘍とは!?)
3.胃潰瘍とは?
一般に、中高年の男性に多く、女性の約2倍を占めている胃潰瘍。
消化性潰瘍とも呼ばれています。
本来、食物を食べると胃粘膜に分布する胃線から、胃酸やペプシン(タンパク質を分解する酵素)が分泌されて消化されますが、胃潰瘍は自分の胃の粘膜を消化してしまい、組織の欠損が起きる病気です。
通常、胃粘膜には粘膜を守る「防御因子」と粘膜を障害してしまう「攻撃因子」がありますが、これら2つの因子がバランスを崩す時に消化性潰瘍ができてしまいます。
防御因子となるのは粘膜を覆っている粘液や粘膜そのものの抵抗力、粘膜内の血液循環などです。
一方、攻撃因子に含まれるのは喫煙やアルコール、心身のストレスやピロリ菌、胃酸やペプシンなどの消化液があるでしょう。
2つの因子は自律神経によって調節され、バランスを保っていますが、緊張や不安を感じるなど強いストレスを受けると自律神経が影響を受けるため、胃の調節機能が正常に働かなくなります。
防御因子の働きは低下して攻撃因子が強くなるため、消化性潰瘍が発生してしまうでしょう。
また、胃潰瘍の人の約9割にピロリ菌の感染が見られますが、ピロリ菌を完全に除去するなら80〜90%の人は再発しないことも報告されています。
3-1.急性胃潰瘍・慢性潰瘍とは?
急性胃粘膜病変とも呼ばれている急性潰瘍。
ただれなどのびらん状の潰瘍ができる病気です。
一般に、胃潰瘍はピロリ菌の感染や他の原因があげられていますが、急性潰瘍はピロリ菌の感染とは関係なく起こる胃潰瘍のことです。
原因は消炎鎮痛薬の服用や暴飲暴食、強い肉体的・精神的なストレス。
特に、頭痛や風邪、腰痛や関節痛などの治療薬をよく服用する人は胃が痛むことがあるでしょう。
そのような治療薬は非ステロイド系消炎鎮痛薬が多く、胃粘膜にただれを起こしたり、胃酸分泌を亢進させてしまう作用があるからです。
急性潰瘍は原因がはっきりしているため、その原因を取り除いて薬物療法などの治療を行えば、基本的に短期間で完治し、再発しません。
一方、慢性潰瘍は原因がわからずに繰り返し再発する潰瘍ができてしまうため、維持療法を行う必要があります。
4.十二指腸潰瘍とは?
一般的に、20〜30歳代の若い男性や胃酸過多の人に多い十二指腸潰瘍。
特に、十二指腸の入り口である十二指腸球部にできる潰瘍のことです。
十二指腸の入り口は胃から流れてくる胃酸にさらされやすい部位のため、粘膜が傷つけられてただれが起きてしまいます。
通常、ただれはしばらくすると治るのですが、もともと胃酸過多の人は繰り返すことが多く、長期間にわたって胃酸の影響を受けることに。
胃粘膜にいたピロリ菌が胃酸とともに流れ込むため、感染して定着してしまい十二指腸炎になってしまいます。
その後、防御機能が低下した十二指腸粘膜のただれが徐々にひどくなって、潰瘍ができてしまうでしょう。
十二指腸の原因は胃潰瘍と似ていますが、十二指腸潰瘍になる原因で特に増えているのは肉類中心の食生活です。
肉類の摂取はご飯などの糖質の食事と比べて胃酸の分泌が高まるからです。
実際、欧米人には十二指腸潰瘍が多く見られるとの報告もあります。
肉類中心の食事を続けていると、胃酸過多の状態になって十二指腸潰瘍が起こりやすくなるでしょう。
また、十二指腸潰瘍の人にも約90%にピロリ菌の感染が見られますが、ピロリ菌を完全に除去するなら100%再発しないという結果が出ています。
5.胃がんとは?
早期に発見して治療すればほとんどが完治する胃がん。
他の多くのがんと同じように初期症状はほとんどありませんし、胃の痛みがあったとしても激しい痛みではないでしょう。
そのまま放ってしまい、広がっていたというケースが多いため、一年に一度の定期検診が重要になります。
胃がんの原因としてあげられるのは肉や魚の焦げた部分、炭水化物の過剰摂取や食塩などです。
遺伝的要素もありますが、その程度はそれほど高くありません。
家族に胃がんになった人がいる場合、そうでない人に比べて胃がんになりやすい傾向があるというくらいでしょう。
また、胃がんの患者さんに多くみられるのが「萎縮性胃炎」と呼ばれる病気です。
これは、胃酸や粘膜を分泌している胃線が萎縮している状態で、しかも萎縮の程度が強く、胃の粘膜が腸ほどではないにしても、吸収機能を持ってしまった状態です。
そのため、発がん物質なども取り込んでしまいがんが発生しやすくなります。
萎縮性胃炎は日本人に多く、50歳以上の人の5〜6割に見られます。
原因として、加齢にともなう変化や食習慣、ピロリ菌が指摘されています。
6.胃の病気の対策とは?
胃の病気の対策として共通していることは、三度の食事を規則正しく、よく噛んでゆっくり食べて、腹八分に抑えることです。
また、食事は薄味を心がけ、刺激物やアルコールの飲み過ぎは避けて、喫煙をやめましょう。
特に、潰瘍の場合はストレスと細菌感染が原因になります。
そのうち最大の原因はストレスですから、忙しい中でも上手に気分転換して、心身をリラックスさせたいものです。
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ピロリ菌の感染経路についてはまだ不明ですし、ピロリ菌に感染した人誰もが潰瘍になるわけではありませんが、40歳以上の日本人の約70%は感染していると言われています。
若い世代でピロリ菌を退治しておくなら、高齢になって胃がんにかかる確率は下がりますので、早めに検査して除菌すると良いでしょう。
まとめ
三度の食事を規則正しく食べているなら、胃はちょうどその時刻に合わせて消化液を分泌してくれます。
一方、食事と食事との間隔が空きすぎると、胃が直接消化液にさらされるため、胃粘膜を傷つけてしまいます。
朝食を食べなかったり、昼食後、深夜まで何も食べなかったりというのは避けた方が良いですね。
また、しっかりよく噛んで食べることで食べ物が唾液に含まれる消化酵素と混ざり合って消化されやすくなります。
腹八分目に抑えるなら、食べ過ぎを防いで胃の負担を軽減できます。
胃を元気に保つために、規則正しい食事とストレス解消を心がけましょう。
HANA
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