仕事や情報過多など、ストレス要因の多い現代社会ではうつ病は他人事ではありません。
うつ病になってしまった場合、早期の専門機関の受診や休養が必要ですが、大切なのはうつ病を予防すること。
うつ病になりやすい人には、共通する生活習慣があるので、当てはまった人は注意が必要です。
1.うつ病とは
厚生労働省の調査によれば、うつ病の患者数は毎年増加していて、現在では約70万人以上とされています。
うつ病は、誰でも発症する可能性がある病気なのです。
そもそもうつ病とは、どのような病気なのでしょうか。
実はうつ病には様々な種類があります。
うつ病の代表的な症状には「憂うつな気分がずっと続く」「何をする気も起きない」などがあり、これらの状態が長く続いた場合、うつ病と診断されます。
医学的にはこれらの症状がある場合「大うつ病性障害」に分類されますが、うつ病の具体的な原因は今でも特定されていません。
そのため、症状の現れ方や状態は人によってまちまちです。
このように、うつ病は診断も治療も難しい病気です。
典型的なうつ病の場合には、薬による治療が期待できますが、また、性格や環境によって抑うつ状態となっている場合には精神療法的アプローチ、他の病気や、そのために服用している薬が影響している場合もあります。
(関連記事→30代、40代はうつ病になりやすい!?うつと診断された場合の治療法とは?)
2.うつ病の症状
うつ病を診断するときにはいくつかの目安となるものがあります。
たとえば、「何をしていても楽しくない」「興味がわかない」、「自分には価値がないと感じることがある」などといった場合、うつ病の可能性があります。
といっても、これらの気分は、落ち込んだときなどに誰でも感じるもの。
しかし、このような気分が一日中続く、あるいは二週間以上続いているといった場合、うつ病の可能性が高いと言えます。
さらに、気分だけでなく意欲も低下するのがうつ病の特徴。
それまで外出するのが好きだった人が「外に出たくない」と考えるようになったり、ファッションが好きだった人が「着替えるのが面倒だ」などと感じるようになることもあります。
それだけでなく、うつ病になると本や会話、映画などの内容が頭に入ってこなくなることもあります。
これは「頭の回転が遅くなった状態」と表現されることもあります。
たとえば本や新聞を読んでいても、文字を目で追うだけで内容が理解できなくなり、話しかけられたリ質問されても答えが遅れる、適切な返事ができなくなるという形で現れることもあります。
そのほかにも、決断力や記憶力が低下するといった症状も現れます。
何かを選ばなければならない場合、「早く決めなければ」と焦りだけが強くなり、なかなか決定できなくなってしまうほか、買い物に出かけたときに何を買うのか忘れてしまうといったこともあります。
また、うつ病といえば、精神的な落ち込みだけが症状として表れると考えがちですが、実はうつ病は身体的な症状として表れることも少なくありません。
その代表的なものが睡眠障害。
気分が落ち込むと「眠れなくなる」ということは珍しくありませんが、うつ病が原因の場合、寝付けなくなることに加えて、朝早く目が覚めてしまうというのも特徴です。
(おすすめ記事→その睡眠の不調は病気かも?睡眠を専門に治療する病院とは)
しかし、朝目覚めてしまうといっても、身体は疲れているため、疲労が取れずそれが蓄積、症状を一層悪化させてしまいます。
さらに眠りが浅くなり、脳が休めなくなるというのも特徴の一つです。
そのため、身体が一層だるくなり、さらに「動けない」「動きたくない」という状態を進行させてしまいます。
また、うつ病の中には「動悸」「息切れ」「口が渇く」といった症状が現れる場合もあります。
これはうつ病による自律神経の乱れが原因と言われています。
自律神経は、身体の中の期間を調整するための神経ですが、うつ病になるとこの自律神経が乱れ、思いもよらないような症状が現れます。
これらのほかにも、人によっては「めまい」「げっぷ」「貧血」といった症状として現れることもあります。
また、気を付けたいのが「身体の痛み」です。
うつ病は精神の病なので身体が痛むことはないと考えることもありますが、うつ病が身体の痛みを伴う場合もあります。
例えば、「頭の痛み」「首筋の凝り・痛み」「背中が張る」と言った症状はうつ病でなくても、日常的に現れるもの。
そのため、「ちょっと寝違えた」「筋肉痛」などと考えがちですが、それらがうつ病のサインになっていることがあります。
たとえば、症状が長く続いている、検査しても以上がないといった場合、うつ病が原因となっているケースもすくなくありません。
これは、うつ病になるとセロトニンやノルアドレナリンなど、神経物質の働きが鈍ることと関係があるのではないかと言われています。
セロトニンやノルアドレナリンには、身体の痛みを抑える作用があると考えられていますが、うつ病になるとセロトニンやノルアドレナリンの分泌量が極端に低下します。
そのため、うつ病になると痛みを感じやすくなってのではないかと推測されています。
もし、長く続く身体の痛みがある場合や、どれだけ検査しても痛みの原因が分からないといった場合、もしかすると、心と身体がSOSを発しているという可能性があります。
3.うつ病になりやすい人のタイプ
うつ病は誰でも発症する可能性のある病気です。
しかし、うつ病になりやすい人には、いくつかの共通点があります。
まず、もっとも多いのが「真面目な人」。
真面目な人は、他の人よりも目標が高いだけでなく、遊んだり息抜きをしたりといったストレス解消が苦手。
そのため、どうしてもストレスがたまりやすくなってしまいます。
さらに真面目な人は責任感や義務感も強いことから、自分で自分にストレスを与えてしまいます。
こういったタイプの人の場合、周囲からの期待や信頼も高く、仕事で実績も出していること、さらに自分で自分に自信があるため、なかなかうつ病であることを認めようとしません。
また、うつ病であることを認めて休養することが必要だと理解しても、何もせず休んでいる自分に罪悪感を感じることで、さらに症状を悪化させてしまいます。
さらに、「感情表現が下手」という人もうつ病に注意したほうがいいでしょう。
感情表現が下手ということは、怒りや悲しみをなかなか表に出せないということ。
そのため、ストレスを抱えてしまいやすい状態になります。
さらに感情表現が下手な人は、怒ったりわめいたりしないため、周りからは「いい人」「穏やかな人」というイメージを抱かれていることも少なくありません。
そうすると、周りのイメージを壊したくない、自分さえ黙っていれば物事はスムーズに進むなどと考えて、弱音を吐くことがさらに難しくなってしまいます。
また、精神医学の世界では「うつ病になりやすい気質」の存在も指摘されています。
それが「循環気質」「執着気質」「メランコリー親和型気質」というもの。
「循環気質」とは、感情の振れ幅が激しい人で、急に明るくなったかと思えば、すぐに暗くなってしまうといったタイプ。
このタイプは双極性のうつ病を発症しやすい気質と言われています。
「執着気質」というのは、真面目で責任感が高い完璧主義者。
他人への評価も厳しく、周りがいい加減な場合、それが我慢できず、つい尻ぬぐいをしてしまうというタイプです。
このタイプは自分自身を追い詰めることが多く、ストレスをためがちな気質と言われています。
「メランコリー親和型気質」は、憂鬱になりやすいタイプの気質です。
些細な事で落ち込んでしまったり、すべての責任が自分にあると考えたりするため、物事を悲観的にとらえやすく、精神的なバランスを崩しやすいと言われています。
これらの性格や気質は、あくまでも「なりやすい」という目安にすぎませんが、自分や周囲に思い当たる部分が合った場合、少し注意をしてみてもいいかもしれません。
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4.うつ病になりやすい3つ生活習慣
うつ病になりやすいタイプには、性格だけでなく、共通する生活習慣もあります。
まず、うつ病になりやすい生活習慣の中でも、大きな部分を占めるのが「食事」です。
食事は人間の生活に欠かせないものですが、どのようなものを食べるか、どんな状況で食べるかによって、うつ病のリスクを軽減することができます。
4-1.朝食を抜く
まず、うつ病になるやすい生活習慣として、多いのが「朝食を抜く」ということ。
忙しい現代人は朝食を抜いたり、サプリメント程度で済ませたりといったことも多いかもしれませんが、うつ病を予防する観点から言えば、朝食を抜く、軽く済ませるというのは好ましくありません。
うつ病の原因となるのは、生活のリズムが乱れること。
朝食を抜くと、生活のリズムが乱れやすくなってしまいます。
というのも、朝食にはカロリーを補給するという以上の意味があるからです。
人間の身体の中には、「体内時計」と呼ばれるシステムがあり、この体内時計が性格に働くことで、日中は活動状態に、夜になると休息状態に切り替わります。
この体内時計は脳を始め、身体のほぼすべての臓器に存在、自律神経やホルモンの分泌などに大きく関わっています。
しかし、この体内時計は一日25時間という周期で働いているため、どうしても毎日1時間のずれが生まれます。
そのため、人間は生活する上で、このずれを毎日リセットする必要があります。
その役割を果たしているのが朝食です。
朝食を食べることで体温が上昇、身体は活動モードに入り、体内時計のずれを調節します。
しかし、朝になっても体温が上がらないと、体内時計のずれは残ったままになり、それが溜まった結果、体内のリズムが生活リズムと合わず、毎日のリズムが崩れてしまいます。
さらに、人間は眠っている間にもエネルギーを消費しています。
そのため、朝起きたときにはエネルギーが枯渇している状態です。
その影響をもっとも大きく受けるのが脳です。
脳は人間が摂取するカロリーの大部分を使う器官ですが、朝食を抜いてしまうと、脳にエネルギーが回らず、その結果働きが鈍くなってしまいます。
それが続くと、脳が慢性的にエネルギー不足に陥ることで、結果的にうつ病のリスクが高まってしまいます。
4-2.偏った食生活
うつ病を予防するためには、三食の食事によって適切に栄養素を補給することも欠かせません。
特に重要なのがアミノ酸。
アミノ酸は神経伝達物質に重要な影響を与えていますが、それが不足するとどうしても気分が落ち込みがちになります。
特にトリプトファンやメチオニンといったアミノ酸は重要な存在。
これらのアミノ酸は、肉や魚、大豆、乳製品などに豊富に含まれています。
そのため、これらの食品を積極的に摂取することはうつ病予防に効果が期待できます。
さらに重要になるのが脂肪酸。
DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸は、「食べると頭がよくなる」と言われるように、脳内の中枢神経系で大きな役割を果たしています。
これらの脂肪酸は魚類に豊富に含まれていますが、普段の食生活ではどうしても魚類は不足しがち。
そのため、肉だけでなく、魚も積極的に食生活に取り入れましょう。
4-3.不眠
うつ病の初期症状として多いのが「不眠」。
眠れないから、ということをきっかけに専門機関の受診に至る人も少なくありません。
うつ病を予防するためには、規則正しく質のいい睡眠を取ることが必須といえます。
そのためにも有効なのが、適度な運動。
ウォーキングや水泳といった運動だけでなく、毎日こまめに身体を使うことは、夜間の睡眠の質を上げるために非常に高い効果があります。
さらに、睡眠の質を上げる上で注意したいのが、パソコンやスマホなどの使い過ぎ。
眠る直前までパソコンやスマホを見ていると、脳内が覚醒、なかなか寝付けないということになってしまいます。
そのため、パソコンやスマホを使用するのは眠りにつく2時間前程度にとどめ、その後は脳を休めるようにすると、より質の高い睡眠を取ることができます。
さらに注意したいのがカフェイン。
コーヒーや紅茶、緑茶に含まれるカフェインは興奮作用があるため、脳が眠りにつくことを阻害します。
また、カフェインの作用は意外に長く体内にとどまるため、できれば眠りにつく4時間程度前になるとカフェインは控え目にするのがよいでしょう。
まとめ
うつ病は恐ろしい病気ですが、生活習慣を少し気をつけることでリスクを減らすことができます。
また、ストレスをためすぎないこともうつ病を予防する上では非常に重要なポイントです。
T.Ttally
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