ダイエットに必要な筋力トレーニングや食事制限。
しかし、どれだけ頑張ってもなかなか体重が落ちないというのは珍しいことではありません。
そんなとき、注目したいのが身体のむくみ。
むくみを解消するだけで、劇的に体重が落ちる可能性もあるんです。
1.むくみとダイエットとの関係は?
ダイエットというと、体内の脂肪の量を減らすこと。
そう考えている人も多いことでしょう。
しかし、人間の身体の六割以上は水分で構成されています。
つまり、体重をコントロールするためには、脂肪の量を減らすだけでなく、体内の水分量を減らすことも重要。
もちろん、体内の水分は重要な役割を担っているため、やみくもに減らせばいいというわけではありません。
そこで注目したいのが、「むくみ」です。
そもそも、むくみとはどのような状態なのでしょうか。
むくみとは、身体の中の余分な水分や老廃物が溜まっている状態のこと。
人間の身体の中では、つねに栄養素や酸素などが血液に乗って全身に届けられています。
心臓がポンプのように働くことで、全身に送り出された血液は動脈から毛細血管に乗って身体中のすべての細胞に届けられます。
ただし、小さな細胞のすべてが毛細血管とつながっているわけではありません。
細胞の中には、毛細血管から離れた場所にあるものもありますが、これら血管から離れた場所にある細胞に酸素や栄養を送り届けているのが「血漿」と呼ばれるものです。
血漿は血液の一部が血管からにじみ出たもので、この血漿が細胞の間を伝わり、小さな細胞に届けられます。
この血漿は自分の仕事を終えると水分や老廃物として静脈やリンパ管に乗って運ばれ、やがては体外に排出されますが、もし何らかのトラブルがあった場合、水分や老廃物は静脈やリンパ管に乗ることができず、体外に出ていくことができなくなって、皮膚の下に溜まり続けてしまいます。
むくみとは、この排出されなくなった水分や老廃物のことなのです。
このむくみも時間が経過すれば排出できますが、根本的なトラブルを解決できなければ、また同じように水分が溜まってしまうため、結果的に体重の増加を招いてしまうのです。
2.むくみの原因とは?
それでは、なぜむくみは起きてしまうのでしょうか。
むくみが起きるには、様々な理由があります。
まず、大きな理由としては、身体が圧迫されることです。
たとえば長時間イスに座りっぱなしの仕事をしている場合、太ももやひざの裏の血管やリンパ管が圧迫されます。
その結果、太ももやひざの裏の血液やリンパの流れが悪化、余分な水分や老廃物が流れることができず、それが溜まり続けてしまいます。
また、むくみは筋力不足によっても発生します。
通常、人間の身体は筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことで血管を動かし、血液を流し続けています。
しかし、筋力が弱っていたり、立ちっぱなしや座りっぱなしで動かない状態が続いたりすると、筋肉が収縮や弛緩を行うことができず、血管を動かすことができなくなります。
ちなみに、むくみは男性よりも女性に起こりやすいと言われていますが、これは全身の筋肉量の不足が原因です。
女性は男性よりも筋肉が少ないため、血管を動かす力も弱くなり、むくみができやすくなってしまうのです。
さらに、食生活もむくみの大きな原因となります。
特に影響が大きいのは塩分のとりすぎです。
体内に塩分が入ると、人間の身体は塩分濃度を一定に保とうとする性質から、水分も必要になります。
塩気の強いものを食べると喉が渇くのはこのためですが、塩分が高い食事を続けていると、どうしても水分も補給しなければならないため、結果的に体内の水分量は上昇します。
それに加えて、アルコールもむくみには悪影響を及ぼします。
アルコールを摂取すると、血管の透過性が高くなり、血管から血漿が出やすくなり、結果としてむくみの元になってしまうのです。
(人気記事→実はお酒は肝臓よりも別の臓器に負担をかけてしまうことを知っていますか?)
そのほかにも、ストレスが原因で起きるむくみもあります。
体内の血液の流れは自律神経によってコントロールされ、交感神経が優位になっているときは血液が流れやすく、副交感神経が優位の場合には血液は緩やかに流れるようになっています。
通常の場合であれば、この交感神経と副交感神経は交互に働いていますが、自律神経がストレスの影響でバランスを乱してしまうと正常な働きができなくなり、その結果血行が悪化、むくみが起きやすくなってしまうのです。
3.むくみを解消するには
それでは、実際にむくみを解消するためにはどうすればよいのでしょうか。
まず、むくみを解消するときに行いたいのは、水分を多めに補給するということです。
むくみとは体内に溜まった水分なので、それを解消するために水分を補給するのは矛盾しているようですが、実は水分補給は非常に重要です。
というのも、体内の水分が不足してしまうと、人間の身体はさらに水分を貯めこもうとして、余計にむくみがひどくなってしまうことがあるからです。
また、むくみの原因となっている水分や老廃物の排出を促すためにも、水分補給は効果的です。
水分補給を行うときには、一度に水を飲むのではなく、何度かに分けてこまめに補給するのがおすすめです。
もし一度に大量の水を補給しても、水が身体に滞留しやすくなるだけでなく、消化の能力を落としてしまうことから、胃の膨満感の原因にもなります。
また、水分補給にはカフェインの含まれているお茶やコーヒーではなく、水を飲むことも重要です。
カフェインには利尿作用があるため、飲んだ分以上に水分が失われてしまうこともあります。
なお、茶葉を原料としているため、ウーロン茶や緑茶にもカフェインが含まれているため、お茶で水分を補給しているという方は注意しましょう。
水分補給といえば、スポーツドリンクが思い浮かぶ方もいるかもしれませんが、一般的なスポーツドリンクの場合、大量の糖分が含まれています。
言うまでもなく、糖分の取りすぎはダイエットには逆効果。
血糖値が上がりやすくなるため、太りやすい体質になってしまうというデメリットもあります。
すでに溜まってしまったむくみを解消するときには、塩分の多く含まれる食事を控えることも必要になります。
塩気の多い加工食品や塩味のお菓子、調理済みのお惣菜、調味料の使い過ぎは塩分の取りすぎにつながります。
それ以外にも、缶詰やレトルト食品を控えるというのも塩分を減らすのに効果的。
缶詰やレトルト食品の場合、保存の意味で強い塩分が含まれていることもあります。
また、市販のドレッシングやソースといった調味料も塩分が強い場合があります。
もし家庭で食事を作っているという場合には、出汁をしっかり使う、塩分を補うのではなくハーブやスパイスを使用するといった方法で塩分を減らすことができます。
塩分を減らすのがなかなか難しいという場合は、カリウムを豊富に含んだ食品を積極的に取り入れるという方法もあります。
カリウムは体内に入るとナトリウムと結合するため、塩分の排出を促してくれます。
カリウムはアボカドや豆類、ココナッツ、バナナなどに豊富に含まれています。
また、ナッツ類もカリウムを豊富に含んでいます。
ナッツ類は良質の脂質の宝庫なので、ダイエットには役立つ食材ですが、その場合は塩分の添加されていないタイプのものを選ぶとよいでしょう。
カリウムと同じように、栄養素の中では食物繊維の摂取がおすすめです。
食物繊維は腸内環境を整えるためには非常に有益な栄養素のひとつですが、体内の老廃物の排出を促進する効果もあるため、むくみ解消にも効果が期待できます。
なお、食物繊維には水溶性の食物繊維と不溶性の食物繊維の二種類があります。
水溶性の食物繊維は水に溶けるタイプの食物繊維で、リンゴやミカンといったフルーツ、キャベツやトマトなどの野菜類に多く含まれています。
また、海藻類も水溶性の食物繊維が豊富な食品です。
一方、不溶性の食物繊維は水に溶けず、腸内の老廃物や水分を絡め取ってくれるもので、豆類やイモ類、根菜、きのこといった食品に含まれている食物繊維です。
これらふたつのタイプの食物繊維は異なる働きがあるため、バランスよく摂取することが必要です。
栄養面では、たんぱく質やビタミン、ミネラルもむくみの解消に効果が期待できます。
たんぱく質は、筋肉を形成する材料となる物質ですが、同時に血管の壁を強化、血液中の水分が血管から染み出すことを防いでくれます。
たんぱく質を十分に補給することは、筋肉量のアップにも効果的なので、積極的に補給するとよいでしょう。
(おすすめ記事→現代人は栄養不足ぎみ!?意識して摂りたい栄養素3選)
4.むくみ解消に効く生活の改善
食べるものや飲むもの以外の方法でも、むくみを改善することができます。
まずおすすめしたいのが、汗をかく習慣を身につけること。
汗は体内の水分を排出するための重要な方法ですが、汗をかくための汗腺は使わなければ衰えてしまうという特徴があります。
つまり、普段から汗をかく生活を続けておかないと、より水分を排出しにくい体質になるということです。
特に現代の生活は、夏場は冷房などの影響でなかなか汗がかきにくくなるだけでなく、身体が冷えてさらに体内の水分量が増えてしまいがちです。
また、普段から汗をかいている人の場合、水分と老廃物をスムーズに排出することができますが、汗をかきなれていない人の場合、身体の活動に必要なミネラルも多く失われてしまいます。
汗腺のトレーニングにはサウナなどが効果的ですが、近くに利用できるサウナがない場合、43度前後の比較的熱めのお湯にひじから先と、ひざより下の部分をつけておく、「手足高温浴」や、35度から36度程度のぬるめのお湯に下半身だけ入浴する「半身浴」などが効果的です。
手足高温浴は約五分間と短時間で効果があり、半身浴は約十五分程度ゆっくりリラックスできるため、その日の都合などによって使い分けるとよいでしょう。
このときも、しっかり汗をかいたあとは十分に水分を補給することに注意しましょう。
また、体内の水分の排出には運動も効果があります。
すでに説明したように、体内の筋肉は血液の循環に大きな役割を果たしています。
そのため、運動量が少なく、筋肉が衰えていくとどうしてもむくみができやすくなります。
運動を行うとき、特に注目したいのはふくらはぎにある「ヒラメ筋」や「腓腹筋」です。
足は第二の心臓とも言われ、血液の循環に非常に関係が深い部分ですが、特にふくらはぎの筋肉を鍛えておくと、しっかりと血液や水分の循環を行ってくれます。
そのため、ウォーキングやジョギングといった有酸素運動はもちろん、ふくらはぎをはじめとする下半身のトレーニングもむくみ解消には非常に効果があるといえるでしょう。
おすすめは「シーテッドカーフレイズ」と呼ばれるトレーニング。
シーテッドカーフレイズは、イスやベンチに背筋を伸ばして浅めに座り、しっかりと足の裏を床に接地した状態からゆっくりとかかとを上げていくトレーニング。
このトレーニングは、ヒラメ筋をピンポイントで鍛えることができるだけでなく、座っていてもできるため、仕事中の空き時間などに気軽に行うことができます。
もし運動の習慣がない、運動する時間が取れないといった場合、ストレッチだけでもむくみを解消することができます。
ストレッチでむくみを解消するときには、イスの背中などに片手を置いて、腰を落としながらゆっくりとふくらはぎとふとももの裏側の筋肉を伸ばしていきます。
これだけでも筋肉が大きく動くため、むくみを解消することにつながります。
(人気記事→身体を整えるには股関節ストレッチ!健康的な5つの効果!)
5.むくみ解消のときの注意点
むくみを解消し、体内の水分量をコントロールすることはダイエットに非常に効果的ですが、実際に行うときには注意するべき点もあります。
まず、やりすぎには注意しましょう。
水分を落とすと、体重があっという間に減っていくため、ついついどんどん水分を減らしてしまいたくなりますが、水は人間の身体にとって非常に重要な存在。
1%の水分が失われただけでも、身体に大きな影響を与えます。
そのため、水分量を極端にカットすることは健康上、逆効果になってしまいます。
たとえむくみを解消するときでも、しっかりと水分を補給することが重要になります。
むくみの解消はダイエット効果だけでなく、溜まった老廃物のデトックスによる効果も期待できるもの。
無理せず、自分のペースで続けてみるよい結果が生まれるでしょう。
まとめ
むくみがなくなるだけで、身体が一回り引き締まって見えることもあります。
ダイエットに行き詰まったときは、身体がむくんでいないか確認してみましょう。
T.Ttally
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