一般に、舌の状態はその人の体調や心理状態をよく表すと言われています。
いわば、顔色と同じようなもの。
「調子が出ない…」「気持ちが沈む」「疲れがとれない」など体が病的な状態になっているときは舌を見ると、現れる変化に気づく人も少なくありません。
無理をしがちな30〜40代は舌苔が増加すると口臭にもつながるでしょう。
ここでは舌苔の原因と対処法をご紹介します。
1.舌苔とは?
舌の表面には、味覚を感じる味蕾(みらい)とい器官がありますが、それを囲むようにして舌乳頭と呼ばれる凹凸があります。
舌の中央部がザラザラしていることからも分かるでしょう。
健康な人の舌には、この舌乳頭がビッシリと存在していて、まるで絨毯のようです。
この舌乳頭についた菌が舌苔です。
舌苔は口の中から剥がれ落ちた粘膜細胞や白血球などの血球成分、食べカスなどのかたまりがついて細菌が繁殖したもの。
舌乳頭はもともと舌の表面に唾液をためる役割がありますが、口の中の汚れや着色などを取り込みやすくなっているのです。
2.舌苔の原因とは?
舌苔は以下のような状態が続くとできやすくなります。
2-1.口の中の洗浄を怠る
口の中にはもともと常在菌がいて、健康的な口腔環境をつくっています。
しかしながら、食事や間食をした後などに歯磨きをしない場合、口の中には細菌が繁殖して微生物が、ガスいわゆる臭気を発生させます。
大きな虫歯や歯周病などの問題がある時も原因菌が増殖するため、舌苔が増えるでしょう。
2-2.胃腸の働きが低下する
胃腸の病気を起こす最大の原因はストレスと言われています。
ストレスは体全体の免疫力を低下させてしまうからです。
暴飲暴食や偏食、動物性脂肪やタンパク質の過剰摂取、睡眠不足や疲労、便秘もあげられています。
胃が消化不良を起こしやすく、腸内の細菌バランスが崩れて働きが低下してしまうため、舌苔が増加してしまうでしょう。
(人気記事→慢性化しやすい大腸炎!ストレスや乱れた食生活でできる腸の潰瘍とは!?)
2-3.ドライマウスや口呼吸による口の中の乾き
口の中の乾きを覚えるようになるのは唾液が不足しているときです。
唾液は殺菌作用や洗浄作用があり、いろいろな菌から口の中を守る働きをしています。
そのため、唾液が不足すると菌の増殖を招くことに。
特に、緊張している時や朝起きた時、加齢によっても唾液の分泌が少なくなり舌苔が増えてしまうでしょう。
3.舌苔の状態から分かることとは?
漢方や内科医などの医師は舌そのものの状態を診て判断し、内科的治療を行います。
そのため、舌につく舌苔がいつもより多い場合、何らかの原因が考えられます。
3-1.健康な人の舌とは?
そもそも、健康な舌についておさえておきましょう。
正常な舌は全体にうっすらと白い舌苔がついています。
舌先1㎝から奥に行くにしたがって付着しており、舌の回りと先端には舌苔はありません。
通常、誰にでも多少の舌苔があり、完全に取り除くことはできません。
細菌バランスを保つ役割もありますので、むやみに取り除いてしまうことはやめた方が良いでしょう。
3-2.舌苔がない人の舌とは?
誤解されやすいのがピンク色できれいに見える舌です。
特に、口臭に悩む人に多いのですが、舌苔つまり舌乳頭が全くないきれいなピンク色が健康な舌と考えています。
しかしながら、これは異常な舌。
健康な舌にあるはずの舌乳頭がないため、舌全体が熱っぽくなって酸っぱい感じの口臭になることがよくあるでしょう。
一般に、東洋医学では紅舌と呼ばれ、良くない舌の典型の1つです。
3-3.白い舌苔がついている人の舌とは?
舌で健康度をチェックした時、白い舌苔が分厚くついていることに気づく人も多いでしょう。
いわゆる、口臭に結びつきやすい舌ですが、それほど心配する必要がない場合もあります。
口臭が容易に発生するのは舌の周辺にまで、過剰な舌苔が四六時中びっしりついているようなときです。
このような状態が長く続く場合、条件次第で容易に口臭が発生しやすくなります。
3-4.黄色い舌苔がついている人の舌とは?
舌の奥の方に、薄っすらと黄色い舌苔が見える舌もあります。
一般に、黄色の舌苔は炎症性の病気があるときです。
軽度の歯周病や虫歯の感染症、あるいは身体に軽度の感染症があることが考えられるでしょう。
他にも、生活習慣病や中程度以上の歯周病などの感染症があると舌苔は黄色くなります。
特に、喫煙が習慣になっている人は要注意。
黄色い舌苔がつきやすくなるでしょう。
(おすすめ記事→虫歯・歯周病・知覚過敏・美白対策!おすすめの歯磨き粉20選)
4.舌苔をゴシゴシとってはいけない理由とは?
舌苔があると口臭を気にする人も多いでしょう。
歯ブラシなどで舌の舌苔をゴシゴシととる人も多くいますが、これは医学的に見て非常に危険な行為と言われています。
口の中は粘膜でできており、舌も同様なのですが、舌の粘膜は他の粘膜とは異なり、非常に鈍感。
つまり、非常にデリケートなのですが、痛みに鈍感なため、歯ブラシでゴシゴシこすっても痛みはあまり感じないのです。
これはいわば、目の粘膜や胃の粘膜をブラシでゴシゴシとこするようなもの。
そんなことをする人はいないですよね。
実際、ゴシゴシとこすられた舌の舌乳頭は簡単に破壊されてしまいます。
ちぎれた舌乳頭の細胞は唾液の中に浮遊するため、唾液は白く濁って唾液自体が強い臭いを帯びてくるでしょう。
また、もともと舌の表面に唾液をためるための舌乳頭が破壊されてしまうため、口の中は乾燥しやすくなって、いつも口臭に悩まされてしまいます。
さらに、あまり頻繁に舌苔の掃除をしてしまうと、味蕾の細胞が破壊されて、味覚障害つまり味が分からなくなってしまう病気になる可能性もあるでしょう。
5.舌苔の対処法とは?
5-1.胃腸の働きを正常にする
毎日の疲労やストレスを軽減して、暴飲暴食や偏食、睡眠不足を避けましょう。
「胃腸が弱っているな…」と感じたら、消化の良い食事を規則正しくとることや、食事の時に噛む回数を増やすことを心がけてみてください。
なによりも、体を休めて気持ちをリラックスさせることが重要です。
一般に、ストレスに弱い人と強い人の特徴があります。
30〜40代は働き盛りで無理をしがちですから、ストレスに負けないように楽観的になるのも1つの方法です。
胃腸への負担を減らすために、疲れやストレスをこまめにリセットして舌苔を減らしましょう。
5-2.口の中をきれいに保つ
食事や間食後の歯磨きをきちんと行って、口の中をきれいに保ちましょう。
仕事などで忙しい時は水を口に含んで飲んだり、うがいをしたりすることも洗浄につながります。
他にも、緊張している時やずっと口を閉じている時などは、睡眠中のように唾液の分泌も少なくなって、舌の動きも止まることが多いものです。
そのような時は口を閉じたまま、なるべく舌を口の天井にスリスリとこすりつけるように動かしてみましょう。
舌を傷めることなく舌苔を取ることができます。
また、舌の血行が良くなって、舌の運動にもなるため、新鮮な唾液がたくさん出てきます。
口の中を自浄作用して、舌苔の増加を抑えることができるでしょう。
5-3.舌苔の掃除をする
ゴシゴシとこすることはしませんが、定期的に舌苔を掃除しましょう。
歯ブラシは強すぎますので、専用の舌苔クリーナーや舌ブラシなどを使用してください。
いくつかタイプがありますが、扇状でヘラが付いているものよりも、先が扇状になってブラシが付いているものの方が、刺激は少ないでしょう。
スポンジや布タイプもおすすめですし、ガーゼやタオル地のハンカチを指に巻きつけて優しくこするのも適切です。
舌のやわらかな粘膜を傷つけないようにしてください。
【参考文献】
「キレイな息のつくり方」/本田俊一 著/明日香出版社
「40代からの気になる口臭・体臭・加齢臭」/五味常明 監修/株式会社 旬報社
「40代からの歯周病をセルフケアで防ぐ」/渡辺秀司 監修/株式会社 旬報社
https://www.philips.co.jp/a-w/about/news/archive/standard/about/blogs/healthcare/vol01-tongue-care-check.html
まとめ
多少の舌苔は問題ありませんが、舌苔が多くなるほど口臭は発生しやすくなります。
仕事などで円滑なコミュニケーションをするためにも、舌苔の増加を防ぐように心がけましょう。
HANA
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