「トイレに行ったら、突然血尿が…」
とても驚きますよね。
赤色の尿は、尿の中に赤血球がたくさん混じっている状態です。
血尿は体のどこかで出血が起きているサイン。
尿の異常の中でも特に重要な意味があります。
血尿が出た時、考えられる病気についてみていきましょう。
1.血尿の色で判断できる病気とは?
血尿があらわれる病気はさまざまです。
一般的に泌尿器系の病気が多いでしょう。
特に、腎臓と関係の深い病気が多いのですが、腎臓と関係がない病気の場合もあります。
例えば、直腸がんや白血病、薬物中毒や外傷、女性であれば子宮がんなど。
病気以外にも、生理的なものや他の病気を治すために服用している薬の影響なども考えられるでしょう。
血尿は赤色ですが、病気によって見た目に少し違いがあります。
例えば、濃い赤色や鮮やかな赤色、茶色っぽい赤色や黒っぽい赤色、オレンジっぽい赤色など。
この違いは尿が作られて血液が混ざったタイミングによるもので、ある程度どのあたりで異常が起きているかが分かります。
一般的に、色が黒ずんでいる血尿ほど排泄までに時間が経っていて、ワイン色のような鮮明な血尿ほど尿路の出口に近いあたりで出血していることが多いでしょう。
茶色っぽい赤色や黒っぽい赤色…腎臓の異常
急性腎炎・慢性腎炎・腎臓結石・腎臓がん・腎盂腎炎・慢性腎不全など
濃い赤色やオレンジっぽい赤色…腎臓・膀胱・前立腺など尿管の異常
膀胱がん・腎臓がん・前立腺がんなど
鮮やかな赤色…膀胱や尿道の異常
腎炎・膀胱炎・尿路結石など
1-1.尿の出始めは赤、その後普通の色になる血尿の病気
排尿の始めが血尿で、そのうちいつもの尿の色になる場合もあります。
これは、膀胱から下の尿路の病気が関係していることが多いでしょう。
男性の場合、前立腺肥大や前立腺がんなどが考えられます。
また、他に症状がなく血尿のみがあらわれる場合は、前立腺以外の尿路のがんの可能性があるでしょう。
血尿と誤解されやすいものに濃い黄色やオレンジ色の尿があります。
これは血液ではなく胆汁の色によるもの。
ビリルビン尿と呼ばれており、肝臓や胆管の異常が考えられます。
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2.血尿が原因として考えられる主な病気とは?
通常、尿は腎臓でつくられた後、腎盂→尿管→膀胱→尿道の順で排泄されます。
このような腎盂から尿道までを尿路と呼びます。
一般的に、血尿は泌尿器系の病気に多くみられるでしょう。
主な病気8つは以下のとおりです。
2-1.無症候性血尿
そもそも、血尿は4種類に分けられます。
① 肉眼的血尿…血尿が出たとはっきりわかる
② 顕微鏡的血尿…検査して初めてわかる
③ 無症候血尿…血尿以外の症状が何もあらわれない
④ 症候性血尿…血尿以外の症状として熱や痛み、頻尿や残尿感などがある
このうち、無症候性血尿には2種類あります。
① 無症候性顕微鏡的血尿
② 無症候性肉眼的血尿
重大な病気の可能性が考えられるのは無症候性肉眼的血尿です。
特に、50歳以上の人は膀胱がんの可能性があるでしょう。
2-2.膀胱炎
膀胱炎は細菌などが尿道から膀胱内に侵入して繁殖している状態です。
急に起こる場合を急性膀胱炎といいます。
男性よりも女性に多く、頻尿や排尿痛、残尿感などがみられるでしょう。
慢性膀胱炎は急性膀胱炎の治療が不完全であったり、再発を繰り返したりすることで起こります。
慢性膀胱炎に伴う病気には膀胱結石や膀胱がん、神経因性膀胱などがあります。
2-3.膀胱がん
泌尿器科の中でも前立腺がんに次いで多いといわれる膀胱がん。
突然、血尿や血のかたまりがあらわれます。
進行すると排尿痛や排尿困難、わき腹や腰の痛みが起きてくるでしょう。
最初は痛みがなく、そのまま自然にとまることが多いため、放っておく人も少なくありません。
2-4.急性腎炎・慢性腎炎
細菌に感染して免疫反応が起こり、腎臓に炎症があらわれるのが腎炎です。
急性腎炎は感染してから2〜3週間で血尿や高血圧、むくみがあらわれ、悪化するとタンパク尿もみられるでしょう。
慢性腎炎は急性腎炎が長く続いた状態です。
腎機能が低下するため、重症化すると人工透析の必要が生じることもあります。
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2-5.腎盂腎炎
腎盂に細菌が入って繁殖し、炎症を起こすことを腎盂腎炎といいます。
急性の場合は腎臓のあたりに痛みを感じたり、悪寒や高熱、震えや冷や汗の症状がみられたりします。
慢性の場合は自覚症状のない場合がほとんどです。
尿路に病気があって、侵入した細菌が繁殖しやすくなっている複雑性のものが多いでしょう。
2-6.腎臓結石・尿路結石
腎盂や腎杯にできるものを腎臓結石、尿管にできるものを尿路結石と呼びます。
結石が動くたびに腰や背中、わき腹に激痛が走ります。
結石は尿管を通って膀胱へ移動し、さらに尿道に下りてきて尿とともに排出されます。
結石が膀胱におさまっている時に血尿や排尿痛、残尿感があらわれるでしょう。
2-7.腎臓がん
腎臓にできる悪性腫瘍を腎臓がん、または腎がんといいます。
いくつか種類がありますが、最も一般的なものは腎細胞がんです。
初期症状は突然あらわれる血尿。
しかしながら、数回で自然に治ってしまうため、安心する人も少なくありません。
がんが大きくなるにつれて、わき腹全体の痛みや高熱、貧血や倦怠感、体重の減少や食欲低下などがみられます。
この時には、がんはかなり進行しているでしょう。
2-8.前立腺がん
男性ホルモンが関係している前立腺がん。
早期の自覚症状はほとんどないのに、小さな段階で進行がんになってしまいます。
症状は尿道の出血や頻尿、排尿困難や尿が途切れることなどがあげられます。
初期症状がほとんどないため、これらの症状があらわれる時には、がんが進行している場合があります。
3.血尿が起きたらすぐ受診したほうが良い理由とは?
血尿に関して油断禁物なのは、血尿以外に何の症状もなく健康な場合があることです。
血尿が長期間続く場合は「体に異常があるのでは…」と気になって受診するでしょう。
しかしながら、血尿が一時的で他に何の症状もあらわれないと、「治ったのかも…」「気にするほどではない」と思いがち。
実は後者の方が、がんなどの重篤な病気の可能性が高いのです。
仕事で忙しく時間をとれない人ほど、そのまま放置することが少なくありません。
特に男性に多いのは尿路結石や膀胱がんといわれています。
一度でも血尿があったら、原因をはっきりさせるため、すぐに受診しましょう。
4.血尿の検査を定期的に受けた方が良い理由とは?
集団検診などでは試験紙を使って潜血反応を見るという検査があります。
潜血とは、尿にわずかな赤血球が混じっている状態。
これは、見た目には分からない透明な血尿です。
つまり、いつも通り透明の尿でも、実際は血尿が出ていることに気づかないことがあるのです。
検査で潜血反応が見られた場合、さらに顕微鏡による検査が行われます。
その際、レンズの視野に赤血球が5個以上見えるとなんらかの病気があると考えられるでしょう。
特に、40〜50代以降の人にとって、血尿はがんである可能性も考えられます。
がんでなくても、出血が起きる原因があるはずですから、きちんと検査を受けた方が良いでしょう。
4-1.尿潜血反応の値から分かる病気の程度とは?
腎臓や尿路に異常がある場合、わずかに赤血球が混じります。
尿潜血反応では尿に混じる成分から、腎臓の働きや尿路の障害を診断することができます。
尿潜血反応の値で見分ける病気の程度は以下のとおりです。
⚪︎陰性(−)… 基準値です。異常ありません。
⚪︎疑陽性(±)… 軽度の上昇です。心配ありません。
⚪︎陽性(+)… 中程度の上昇です。再検査受けて生活習慣を改善しましょう。
⚪︎陽性(2+以上)… 高度の上昇です。精密検査を受けましょう。
尿潜血反応があった時に考えられる病気は腎臓や尿管、膀胱や尿道の炎症、結石や腫瘍など。
疑陽性反応は陽性でも心配のない場合です。
再検査を行なって見分けておくと良いでしょう。
【参考文献】
http://www.saitama-med.ac.jp/lecture/materials/80-H2402-2.pdf
「あなたの医学書 腎臓病」/富野康日己 著/株式会社 誠文堂新光社
「腎臓の病気を防ぐ、治す」/酒井紀 監修/株式会社 講談社
「ひと目でわかる!健康診断」/船津和夫 監修/株式会社 小学館
「『排尿』の悩みさようなら」/本間之夫 著/成美堂出版
まとめ
腎臓や尿の通り道である尿路の働きが低下するとさまざまな病気が起こります。
病気が進行してしまう前に早期発見で予防しましょう。
働き盛りだからこそ健康でいたいもの。
定期検診を忘れずに受けてくださいね。
HANA
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