「筋肉の緊張を和らげる薬物療法よりも効果的」といわれているストレッチ。
毎日仕事で忙しい人ほど重要です。
正しい方法で体を柔らかくして、ストレスや疲労感をとり、体力を向上させましょう。
ここでは、体の重みやひねりを利用した効果的な背中のストレッチをご紹介します。
⒈背中のストレッチをした方が良い理由とは?
背中を覆っている僧帽筋や広背筋。
これらの筋肉が硬くなることが原因で現代人に多い首や背中、肩のこりが起こるといわれています。
実際、僧帽筋は首の裏につながっている上部や肩甲骨を覆っている中部が各部位のこりに関係しています。
特に、上部はストレスで硬くなることも証明されているのです。
ストレッチによって伸びるのは筋肉だけではありません。
それに付随する軟部組織、つまり筋肉の周辺にある腱や筋膜、靭帯や関節包など結合組織も伸びてきます。
ストレッチを定期的かつ継続的に続けると、それまで以上に関節の可動域が広がるため、限界を超えて柔軟性が向上することに。
こりや痛み知らずの体に近づきます。
(おすすめ記事→肩こりは意識的にストレッチを!!リラックスできて仕事効率もアップ!)
2.効率を上げるストレッチのポイント
後述のストレッチ方法は簡単でシンプルなものばかりですが、しっかり成果を出すためにはきちんとポイントを押さえることが重要です。
2-1.痛気持ち良いと感じる程度にする
ストレッチはどこを伸ばしても気持ち良く感じます。
強い痛みを感じない適度な伸びを感じる「痛気持ち良い」感覚を目安にしてください。
もし気持ち良く伸びているのを感じられないなら、やり方が間違っていることが考えられます。
よくあるケースは、自分の体に合ったポーズではないために、目的の筋肉が伸びていないことです。
一方方向に伸ばすというよりも、筋肉のつき方や形状によって伸ばす方向を変るなど、気持ち良く伸ばすための工夫をしてみましょう。
2-2.ゆっくり静かに30秒キープ
以下に挙げたストレッチは静的ストレッチです。
しっかり伸ばした状態の姿勢で、30秒間保ってください。
一般的に筋肉は20〜30秒伸ばし続けると、緊張が抜けて縮んだ状態から解放され伸びやすくなるからです。
また、一カ所行なった後は別の箇所を行いましょう。
「30秒以上続けて伸ばしても効果はあまり変わらない」という研究報告もあるからです。
「あともう少し」と思っても、静かにゆっくり伸ばしてください。
筋肉は瞬間的に伸ばされると反射的に縮もうとし、緊張して硬くなる性質があります。
反動をつけるとかえって逆効果になるでしょう。
2-3.ゆったりと呼吸する
筋肉を伸ばしている時も、姿勢をキープしている時も、呼吸は止めないようにしてください。
できるだけ吐く時間を長くすると効果が上がるでしょう。
副交感神経が刺激されて、呼吸が自然と深くなり、筋肉がリラックスするからです。
よくあるケースは、自分では気づかないうちに体に余計な力が入っていたり、伸ばしている時に息を止めがちになったりすることです。
より楽に筋肉の伸びる感覚を深めて、緊張感を抜くためにゆったりと呼吸しましょう。
2-4.週に5〜7日続ける
効果をより早く実感できるのは、週に一回長時間の全身ストレッチをするよりも、こまめにストレッチすることです。
なるべく硬いと感じる部位や硬くなりやすい部位を重点的に行う方が効果的。
そうすれば、左右の筋肉の柔軟性を同じくらいに保つことができ、体のアンバランス改善できるでしょう。
また頑張り過ぎたり、欲張ったりして、最初から飛ばし過ぎてしまう人も少なくありません。
30〜40代の働き盛りは仕事で忙しい毎日。
時間の余裕がある時や物足りないなと感じる時に種目を増やしてみてください。
ストレッチの気持ち良さがくせになり、だんだん「ストレッチをしないと落ち着かない」と思うようになりますよ。
3.背中の僧帽筋中部を伸ばすストレッチとは?
僧帽筋中部は肩甲骨を覆っている筋肉です。
特に、猫背の人はいつも緊張していて硬くなる傾向が多いので、ぜひこのストレッチをやってみてください。
効率良く伸ばす方法は肩甲骨と連動させたポーズをとることです。
3-1.床に座ってストレッチする方法
① まずあぐらをかきます。
② 一方の手を前に出して、手のひらが外側を向くように手首をひねりましょう。
③ そして強く引いても動かないもの、例えばテーブルの脚などをつかみます。この時、肘が曲がらないように座る位置を調節します。
④ そのまま息を吐きつつ、背中を丸めながら腰を後ろに引き、頭を自然に下げてキープしましょう。この時、体重を使って腰を引きながらストレッチすることになりますので、つかんだ後も動かないようにすることが大切です。
⑤ そのままの姿勢を30秒保ち、左右行います。
ポイント…手首をひねらず、手のひらが内側に向いたままですと、ストレッチの効果は弱くなります。
手首をひねって手のひらを外側にして行ってください。
また、背中を丸めることでいっそうストレッチ感が強くなります。
体重を操ることを忘れないようにしましょう。
3-2.椅子に座ってストレッチする方法
① まず椅子に浅く腰掛けて、両足を大きく開きます。
② そのまま両腕を前に伸ばして、手首を内側にひねり、手のひらを合わせます。
③ 息を吐きながら上体を前に倒して、首から背中全体を丸めるようにします。
④ そのままの姿勢を30秒保ちます。
ポイント…このストレッチは腰が痛い人でも行うことができます。
腕の重みが背中にかかるため、いっそう楽に伸ばせるでしょう。
3-⒊椅子に座って太ももを使ってストレッチする方法
① まず椅子に浅く腰掛けて、両足を大きく開きます。
② 上体を前に倒して、一方の前腕の外側を逆側の太ももにつけましょう。この時、息を吐きながら肘を伸ばしたまま、肩を床に近づけるようにします。
③ その姿勢で30秒保ち、左右行います。
ポイント…腰に加えて、膝も痛い人ができるストレッチです。
4.背中の広背筋を伸ばすストレッチとは?
広背筋は背部から腰部に広がる体の中で最も大きな筋肉です。
特に、疲労感や背中の張りを感じている人、猫背や腕が上がりにくいといった傾向がある人はこのストレッチを行ってみてください。
効率良く伸ばす方法はねじる動作を加えることです。
4-1.床に座ってストレッチする方法
① まずあぐらをかきます。
② 両腕を頭の上に伸ばして手首をつかみ、つかまれた方の手首をひねって正面に向けましょう。
③ そのまま息を吐きながら、つかんだ方の手で手首を上に引っ張って上体を斜めに倒します。この時、下半身が動いてしまう人が多いので動かないようにしてください。
④ そのままの姿勢を30秒保ち、左右行います。
ポイント…上体を斜め前に倒した時、腕につられてお尻が浮いてしまうと、目的の広背筋は伸びません。
腕を引っ張る力でお尻が浮いてしまわないように、左右の坐骨を床につけたままストレッチしましょう。
4-2.タオルを使って立ってストレッチする方法
① タオルは肩幅よりも長さのあるものを準備してください。立って、両足を肩幅または腰幅くらいに開き、体の前でタオルの両端を握ります。
② タオルがたるまないように、両腕を頭の上に上げて伸ばしましょう。
③ そのまま息を吐きながら、上体を斜め前に倒します。この時、上体を真横に倒すと体の側面の筋肉を伸ばすことになりますので、斜め前に倒してください。
④ そのままの姿勢を30秒保ち、左右行います。
ポイント…上体をひねりながら倒した時、腰が一緒に動いてしまうと、目的の広背筋は伸びません。
なるべく下半身をしっかり安定させて行いましょう。
4-3.タオルを使って床に座ってストレッチする方法
① タオルの両端を持って正座します。
② そのまま一方のお尻が床につくように、お尻を横にずらします。
③ 両手で持ったタオルを頭の上に上げて、息を吐きながら床につけたお尻とは逆の方の斜め前に上体を倒しましょう。
④ そのままの姿勢を30秒保ち、左右行います。
ポイント…体重を操ることができるため、立ってストレッチするよりも、目的の広背筋をもっと伸ばすことができます。
4-4.壁を使ってストレッチする方法
① まず壁の前に立ちます。
② 一方の手は胸の高さあたりの壁につき、もう一方の手は頭の上に伸ばして壁につきます。
③ そのまま息を吐きながら、上体を斜め前に倒しましょう。
④ その姿勢を30秒保ち、左右行います。
ポイント…腰が痛い人でもできるストレッチです。
両手を壁につけることで体が固定されるため、ラクに行うことができるでしょう。
(おすすめ記事→プレダイエット!「ストレッチ」で痩せる身体作り!)
【参考文献】
「世界一伸びるストレッチ」/中野ジェームズ修一 著/発行所 株式会社サンマーク出版
「スポーツのための筋力トレーニング」/有賀誠司・石井直方 監修/発行所 株式会社池田書店
「椅子deストレッチ」/野口克彦 著/発行所 株式会社主婦の友社
まとめ
仕事で忙しくなると運動量は低下します。
走ったり、跳んだり、投げたりといった大きな動きをともなう運動量が減って、生活に必要な動きばかりになってしまうからです。
だんだん体力が低下し、休日は家で過ごすことが多くなって活動量がさらに低下。
こうなると筋肉は硬く縮む一方になります。
また、長時間のデスクワークや同じ姿勢での作業の繰り返しなど、毎日の仕事でその姿勢を維持する筋肉に負荷が集中してしまうと、積み重なって筋肉は硬くなってしまいます。
痛みや不調をケアにも効果がある静的ストレッチ。
特に、仕事などでストレスや疲労感を感じている方は背中の気持ち良い伸び感を体感できるでしょう。
HANA
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