運動をしたわけでもないのに突然心臓がどきどきする、そんな症状はありませんか?
動悸があるのは年のせい、ちょっと体調が悪い、そんなふうに考えがちですが、実はそれはストレスが原因かもしれません。
もしそのままの状態を放置すると、大変なことになってしまう可能性もあります。
今回はストレス性動悸の危険性についてご紹介します。
1.そもそも「動悸」ってなに?
身体の不調を表すことばとしてよく聞く「動悸」。
そもそも動悸とはどのような状態のことを言うのでしょうか。
動悸とは、簡単に言えば心臓の動きである心拍に異常を感じたり、不快感を覚えたりすることで、特にその中でも思い当たる原因がないものをいいます。
たとえば、激しい運動をした場合、誰でも心臓の動きが速くなりますが、これは原因がはっきりしている自然なこと。
しかし、特に泳いだり走ったりしたわけでもないのに、突然心臓が速くなったり遅くなったりする、不規則な感じがある、いつもより強いような気がするといった場合で、特に不快感が強いものを「動悸」と呼びます。
2.なぜ「動悸」は起きる?
ではなぜ動悸は起きるのでしょうか。
実は動悸が起きる原因には様々なものがあります。
動悸の原因として代表的なものが心臓のトラブル。
心臓は血流を司る非常に重要な臓器ですが、もし心臓に異常がある場合、それが動悸の形で現れることもあります。
また心臓に異常がない場合でも、薬剤による副作用や血糖値の変動、心臓以外の病気といったことでも動悸は現れます。
ただし、こういった異常がない場合でも動悸が起きることは珍しくありません。
その大きな原因が「ストレス」です。
3.ストレスと動悸の関係
ストレスと動悸には実は密接な関係があります。
それでは、ストレスと動悸とはどのような関係にあるのでしょうか。
ストレスと動悸の関係について説明するとき、まず重要になるのが自律神経です。
そもそも神経とは、身体の組織と脳とを結んでいる存在。
脳から伝達された命令や情報は、すべてこの神経を通して身体の各部に伝わります。
身体の組織はその命令を受けてそれぞれの仕事を行うため、神経がきちんと働かなければ人間は生命を維持することはできません。
神経には、人間の脳やせき髄といった中心的な部分にある中枢神経と、全身に散らばっている末梢神経の二種類があります。
この末梢神経の中で、身体を動かす役割を持っているのが体性神経と呼ばれるもの。
体性神経は、自分で身体を動かそうというときに反応する神経で、手足や指といった筋肉を動かすときに働くのが体性神経です。
4.自律神経とは?
そして体性神経の正反対の役割を果たしているのが自律神経と呼ばれるものです。
自律神経は、人間が自分の意志ではコントロールできない神経のこと。
心臓を動かしたり、食べた食べ物を消化・吸収したり、体温調節をしたりといった機能はすべて自律神経が担当しています。
どれほど自分の身体をコントロールしている人でも、「今から心臓を動かそう」「消化しよう」と考えて内臓を動かせる人はいません。
また、もし自分の内臓をコントロールできたなら、眠っている間はその機能がストップしてしまうため、人間は眠って心や体を休めることができません。
いわば自律神経は人間が休んでいる間、代わりに働いてくれる非常に重要な存在です。
4-1.交感神経と副交感神経
この自律神経は、交感神経と副交感神経の二つの種類に分けることができます。
交感神経と副交感神経の役割は、簡単に言うとアクセルとブレーキ。
たとえば、身体を活発に動かしたいという場合には交感神経が優位となり、逆に身体を休めたいという場合には、副交感神経が優位になります。
また、それぞれの神経は内臓の器官に働きかけて、活動期と休息期に必要な準備を行います。
たとえば、活発に動きたい場合には身体に酸素と栄養が必要になりますが、そのときに働かなければならないのが心臓。
心臓から送り出された血液によって、身体の各地に酸素と栄養を運ぶことが必要です。
そのため、交感神経が優位になり、心臓が活発に働き始めます。
逆に身体が休息に入り、食べ物を食べたり、それを消化・吸収したりする場合に働くのが副交感神経。
副交感神経が胃腸を動かすことで、人間は食べたものをしっかり栄養に変えて生命を維持することができます。
4-2.活動時には交感神経が活発に
このように交感神経と副交感神経にはそれぞれ異なる役割が与えられています。
また、それぞれの神経が働いているときには、身体の状態も変化するもの。
たとえば交感神経が働いているときには、脳の血管は収縮、動いているものをとらえやすいように瞳孔は開き、心拍数は増加。
活動によって上がった体温を下げるため、血管は収縮して、汗が出やすくなるように汗腺が働きます。
逆に副交感神経が働くときには、心拍数は低下、脳の血管は拡張して瞳孔は閉じるようになります。
これは人間が狩猟を行っていた時代に獲得したもので、狩りをする日中には交感神経が、休みの時間である夜は副交感神経が優位になるというのが一般的です。
(おすすめ記事→自律神経を整えて太りにくい体質を作ろう!)
5.交感神経が動悸の原因?
このように、人間の身体が活動期になるとき交感神経が働くのは自然なことです。
ただし、それは交感神経と副交感神経のバランスが保たれている場合に限られます。
もし副交感神経が働かず、交感神経が働きっぱなしになったとしたら、どのようなことが起きるのでしょうか。
すでに説明したように、交感神経は人間の身体を活動的に導く存在。
心臓は大量の血液を送り出すため、常に働き続けることになってしまいます。
もし副交感神経が正常に働いていれば、一定時間交感神経が働いたあと、心臓は普通の状態に戻りますが、何らかのトラブルによって副交感神経が働かなくなると、常に交感神経の優位な状態が続いて、心臓はオーバーワークに陥ってしまいます。
実はこれが動悸の正体です。
6.ストレスが交感神経を高める
では、自律神経はどのようなことが原因でバランスを崩してしまうのでしょうか。
その大きな原因となるのが「ストレス」です。
実は人間の身体はストレスを感じると、「危険が迫っている」「活動的にならなければいけない」と判断、交感神経が優位になります。
通常であれば、ストレスが去ると交感神経の働きもクールダウン、代わりに副交感神経が優位になります。
しかし、ストレスが連続的にやってきたり、ストレスを感じる機会が長くなったりという場合、交感神経は常に優位な状態を保つことになります。
それだけではなく、交感神経が優位な状態が長続きすると、副交感神経の働きは衰え、常に交感神経が優位な状態になってしまいます。
そうすると、心臓は常にフル稼働の状態に。
血液を常に多く送り出そうとするため、脈拍も早い状態が続いてしまいます。
当然、心臓といえども常に働き続けているわけにはいきません。
また、働き続けているうちに疲労が溜まり、不具合も起こりやすくなってしまいます。
それが動悸として現れるのが、いわゆる「ストレス性の動悸」と呼ばれるものです。
7.ストレス性の動悸の危険とは
ストレスによって交感神経が優位な状態が続き、心臓がフル稼働の状態になっているストレス性の動悸。
その状態が続くことは、心臓にとっても好ましいものではありません。
しかし、ストレス性の動悸にはさらに大きな問題点があります。
それは心臓をはじめ、身体の異常による動悸が起きても、それを見逃してしまうということ。
たとえば、ストレス性の動悸が起きていない状態では、心臓の働きがおかしいと感じれば、すぐに専門機関を受診するはず。
しかしストレス性の動悸が続いていると、多少具合が悪いと思っても「いつものことだ」と考えて、重大な病のサインを見逃してしまうことにつながります。
7-1.動悸が告げる重大な病とは
それでは、動悸が起きる重大な病にはどのようなものがあるのでしょうか。
動悸が症状となる病の中で、もっとも深刻なのが心不全。
心不全とは、心臓の機能が極端に低下した状態のことで、その状態を放置するとやがては命の危険も生まれることになります。
心不全の代表的な症状としては、息切れや疲れやすさ、足のむくみなどがありますが、中でも重要なのが動悸。
動悸がする場合、まずは心不全を疑う必要があります。
また、ストレスを常に感じて、交感神経が優位な状態が続いている人の場合、どうしても心臓が過労気味。
心不全になるリスクも非常に高いと考えられます。
(人気記事→高血圧が突然死を招く!?知っておきたい症状とは?)
7-2.糖尿病を見逃す危険も
動悸は低血糖の状態でも起きることがあります。
低血糖とは、血液中の血糖値が極めて低い状態のこと。
特徴としては、空腹感や手の震え、冷汗、頭痛などがあります。
ただし、この低血糖は食事を取らないことでも起こります。
しかし、低血糖で見逃せないのは、糖尿病の危険があるということ。
糖尿病は、身体の中の糖の処理がうまくいかない病で、様々な症状が現れますが、低血糖もその一つです。
もし低血糖の状態で糖尿病を早期に発見することができれば治療もできますが、ストレス性の動悸を感じている人の場合、それを見逃してしまう可能性も高いと言えるでしょう。
もし糖尿病の発見が遅れると、失明や壊疽による足の切断、さらに重篤な合併症などの危険が高まることになります。
このほか、動悸は甲状腺の異常や脱水症状などでも起こります。
これらの症状を見逃さないことが重要といえます。
8.ストレス性の動悸を見分けるには?
それでは、ストレス性の動悸か、それ以外が原因の動悸かを見分けるにはどうすればよいのでしょうか。
それらを見分ける方法のひとつは、動悸のタイプを分析するということです。
動悸の中には、実は様々なものがあります。
たとえば、単にいつもよりも心拍数が速いというものや、鼓動が大きいというもの、一拍だけ脈が飛ぶといったものです。
この動悸のタイプを見分けることで、ストレス性の動悸かどうかを判断することができます。
たとえば、一拍だけ脈が飛ぶタイプの動悸の場合、不整脈が原因だと考えらえれます。
また、いつもより脈拍が速いという場合、心臓そのものがトラブルの原因となっているものが少なくありません。
一方、鼓動が大きいという場合、精神的な原因で動悸が起きている可能性があります。
といっても、これらはあくまでも自己診断の範囲。
動悸が気になる場合、すぐに専門機関の受診をおすすめします。
9.動悸を抑える生活習慣とは
動悸は大したことがないと考える人もいますが、油断は禁物です。
それでは、できるだけ動悸を抑えるためにはどのような生活習慣が必要なのでしょうか。
9-1.動悸を抑えるにはストレスを自覚すること
ストレスが原因となる動悸の場合、ストレスを解消することがベスト。
といっても、仕事や家庭など、ストレスを感じる機会は多いもの。
ひとつのストレスを解消してもすぐに次のストレスを感じることもあります。
また、人によっては小さなことでストレスを感じる、ストレス解消の方法が見つからないというケースも珍しくありません。
そんなときに必要なのが、まずはストレスを自覚すること。
ストレスは無視しようとしてもどうしても蓄積されていくもの。
まずは何がストレスの原因になっているか、どんなタイミングでストレスを感じるかを自覚しましょう。
もしストレスを感じる瞬間が分かったら、ゆっくり深呼吸をしてみましょう。
この際、鼻から吸って口から吐く、腹式呼吸が効果的。
というのも、腹式呼吸には副交感神経を活性化するという効果が期待できます。
副交感神経が優位になると、身体がリラックスして心拍数も低下、心臓にかかる負担を最小限に抑えることができます。
たとえば怒りを感じたときは大きな声を出すよりも、ゆっくり深呼吸をすることでストレス性の動悸を抑えることができます。
(人気記事→リフレクソロジーは癒しのマッサージ!!ストレスが溜まった時のマッサージ法)
9-2.カフェインやタバコには要注意
生活の中でカフェインを多く摂取する、タバコを吸うという人の場合は要注意。
カフェインやタバコには、自律神経に作用して脈拍を早める効果があります。
そのためカフェインやタバコはできるだけ避けたほうが無難。
なお、アルコールにも同様の効果があるため、飲みすぎには注意しましょう。
まとめ
ストレス性の動悸は軽視していると深刻な病を隠してしまうこともあります。
もし動悸を感じた場合や、気になった場合には、すぐに専門の病院を受診するようにしましょう。
T.Ttally
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