
腎機能の低下につれて積み重なる症状。
腎臓の濾過機能は一度障害を受けるとほとんど回復しません。
早めの対処が必要となってくるのです。
体内に溜まっている老廃物のサインである、クレアチニンが高いと食事を調整することが必要です。
クレアチニンが高いときにおすすめの8つの食事療法をご紹介します。
1.腎障害の食事療法!始めたほうが良いのはいつ?
さまざまな生活習慣が要因となって起きる腎臓の機能低下。
腎臓の機能が徐々に低下すると、クレアチニンが高くなって腎不全になります。
(関連記事→腎臓の異常を見つけるクレアチニンクリアランスの基準値と計算式とは!?)
腎不全の程度を表すクレアチニンクリアランスでは、60㎖/分を下回った段階、つまり腎機能が約60%以下に下がり始めた時が「ごく初期」の段階です。
この段階から、腎臓に負担をかける食品の摂取量を減らすことが必要です。
腎機能を悪化させないために、すぐに食事療法を行いましょう。
2.怖い腎臓病の合併症。症状が現れるのはいつ?
実は、腎不全の原因である腎臓病は、腎臓そのものに起きる炎症と他の病気が引き金となって起きるものがあります。
意外にも、急増しているのが他の病気、特に糖尿病の合併症によるものです。
腎不全には他にもさまざまな合併症があります。
病状に合わせた適切な食事療法が必要になるでしょう。
腎臓の悪化にともなって起きる異常に合わせて、その都度対処していくことが大切です。
やっかいな慢性の腎機能障害は、腎機能が60%以下になっても自覚症状を感じない場合が多いため、必要な食事療法ができません。
さらに、20%以下にまで下がると、腎機能障害のさまざまな症状が現れだしてやっと気づくことになります。
やはり大切なのは、日頃から腎臓に負担をかけない生活習慣を心がけることですね。
できるだけ早期に発見できるように定期的な検査も忘れずに行いましょう。
3.腎機能の維持!食事療法の効果とは?
腎機能の低下によって行う食事療法は本当に効果があるのでしょうか?
腎機能は一度障害を起こすと治りません。
食事療法を行なっても完治することは難しいですが、早期に発見して行うことで腎機能を維持することができます。
つまり、ごく初期の段階を保つことができるのです。
しかも、腎機能の低下速度を緩やかにすることもできます。
実際、腎機能が約10%にまで低下しても、低タンパク食事療法を行うことによって、現状を維持し透析に入る時期を遅らせることができます。
では、低下した腎機能を維持する8つの食事療法をご紹介しましょう。
3-1.タンパク質!制限しましょう
腎臓の糸球体の濾過機能が低下すると、血液中に老廃物が溜まります。
タンパク質を分解した後の窒素化合物もその一つで、糸球体の濾過機能に障害を招きます。
老廃物が溜まりにくくするためにも、タンパク質は控えたほうが良いでしょう。
症状によって異なりますが、基本的に標準体重1kgあたり、タンパク質0.8gを制限します。
つまり、体重60kgの人はタンパク質を48g摂ると良いでしょう。
これは、肉や魚そのものの重さではなく、含まれているタンパク質の重さです。
例えば、豚もも肉100g食べたとしても、摂っているタンパク質は20.5gになります。
ただし、タンパク質制限が0.6g/kg以下になると、栄養障害などがでてしまいます。
タンパク質には肉や魚、卵などの動物性食品の他にも、穀類や野菜、大豆や豆腐などの植物性食品があります。
3-2.必要なエネルギー!しっかり摂りましょう
タンパク質を制限するとエネルギー不足になります。
しかも、エネルギーが不足すると、体はそれを補おうとして、筋肉や内臓を形成しているタンパク質を取ってしまいます。
その際、生じる多量の窒素化合物も腎機能に悪影響を与えてしまいますから、必要量なエネルギーは摂りましょう。
主食を普通の白米ではなく、低タンパク米や低タンパク麺に置き換えるのもおすすめです。
混ぜご飯やお好み焼きなど主食と副食を一緒にすると、高エネルギーになりやすいでしょう。
3-3.塩分の摂取量!制限しましょう
腎機能の低下はナトリウムなどの排泄が滞り、体液が増加します。
それによって血圧が上がり、高血圧を招きやすくなるでしょう。
高血圧は腎臓をさらに傷めてしまいます。
塩分=ナトリウムですから、塩分を控える必要がありますね。
腎不全の場合、理想は7g以下です。
健康な人は10g以下が目安です。
日本人の一般平均は、塩分摂取量が1日12〜13gですから、7gはかなり厳しいかもしれません。
そもそも、塩辛い食品が多い日本食は気づかないうちに塩分を摂取しています。
1日3食ですから、1食の塩分量は2g程度に抑えたいですね。
ただし、塩分の調整は2日にまたがって行うことはできません。
一度に多量の塩分を摂ると腎臓への負担も大きくなるからです。
どうしても塩分量の多いものが食べたくなったら、1日3食のうち1食だけにして、他の2食はあっさりしたものを選びましょう。
3-4.カリウム!摂り過ぎないようにしましょう
腎機能の低下によって、カリウムの排泄が滞ります。
血液中にカリウムが増えると、不整脈や心臓麻痺などを起こしやすくなりますので、カリウムを摂り過ぎないようにしましょう。
幸い、タンパク質の制限にともなって、カリウムも減らすことができます。
カリウムはピーマンやニンジン、レタスやホウレン草などの生野菜、イモ類や豆類、海藻類に多く含まれています。
また、リンゴやバナナなどの果物にも多く含まれています。
カリウムを除くために、生野菜は茹でたり煮たりして食べましょう。
水に溶けやすいカリウムは、水にさらすと約25%、茹でると50〜60%も減らすことができますよ。
また、缶詰めなどの果物も、シロップにカリウムが溶け出していますので、果肉だけ食べましょう。
3-5.リン!摂り過ぎないようにしましょう
カリウムと同じように、リンも腎機能の低下によって排泄されにくくなります。
血液中にリンが増えると、骨の異常を招きやすくなりますので、摂り過ぎに注意しましょう。
リンが多く含まれているものには、大豆や卵、小魚や乳製品があります。
また、リン酸塩などが添加されているベーコンやハムなどの加工食品も避けましょう。
3-6.プリン体!摂り過ぎないようにしましょう
細胞の核にある物質がプリン体です。
プリン体は体内で作られるものと食べ物から摂ることができるものの2種類あります。
体内にプリン体が多くなると、プリン体が分解されてできる老廃物も多くなって、血液中の尿酸が増えてしまいます。
腎臓で結晶化しやすくなった尿酸は腎機能を低下させてしまうでしょう。
そもそも、プリン体は細胞の中にあるため、細胞数の多い食品に多く含まれています。
レバーなどの内臓類や肉類、魚卵や内臓もそのまま食べる小魚などです。
ただし、プリン体が多く含まれている食品でも、尿酸を溶かしてしまう野菜や海藻などと一緒に食べると腎臓の負担が軽くなりますよ。
3-7.外食!メニュー選びに気をつけましょう
塩分やタンパク質の摂り過ぎが気になる外食。
例えば、ラーメン一杯の塩分は約7g。
これでは、1日分の塩分を摂ってしまうことになります。
麺類を食べるときはソースや汁は残しましょう。
タンメンや五目そばなど栄養バランスの良いものを選び、具を多めに摂りましょう。
うどんやそばは残したほうが良さそうです。
主菜たっぷりではない煮魚などの和風定食でも、しょう油の量が多いため塩分の摂り過ぎになります。
漬け物や煮汁は食べないようにしましょう。
丼物も半分は残し、ハンバーガーやお寿司も控えめにしましょう。
3-8.アルコール!節度を保ちましょう
腎臓の障害となる尿酸を増加させて、排泄を妨げるアルコール。
食事もすすんで、エネルギー過多も招きます。
今まで飲んでいたアルコールを禁止すると、楽しみが減ってストレスも溜まりますね。
日本酒なら一合、ワインなどの他のアルコールも食前酒程度の量にしましょう。
(オススメ記事→脂肪肝に良い食事とは?知っておきたい5つのポイント)
プリン体が多く含まれているビールは避けてくださいね。
おつまみは内臓などのプリン体を多く含んでいる珍味などは避けて、低タンパクのものを選びましょう。
また、毎日飲むのもやめましょう。
週に1〜2日の休肝日を設けてくださいね。
急激な腎障害になったり、むくみや脱水症状などがある場合、短期間の禁酒になります。
アルコールは水分の循環を良くしますので、体調が良い時は飲んでも構いません。
でも、節度を守りましょう。
まとめ
クレアチニンが基準値より高い腎障害は、適切な食事療法を医師や栄養士の指導のもとに行ないます。
まず、血液検査や24時間蓄尿検査などの定期検査を行って、検査結果をもとに分析し、必要な薬や食事療法を考えます。
情報提供や軌道修正なども行うでしょう。
随時、総合的な治療対策として、きめ細かなチェックや指導がなされます。
もちろん、自分自身が症状や治療法についてよく理解して、真摯に取り組むことも大切です。

HANA

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