眼科クリニックの看護師です。
前回まで目の疲れについて紹介してきました。
目の疲れに頭痛を伴う目の病気はいろいろありますが、このくらい我慢できると甘く見ていると、取り返しのつかないことになる場合もあるのですよ。
あなたの眼は大丈夫ですか?
1.もっとも考えられる理由とは?
目の疲れと頭痛を訴える場合、もっとも考えられる理由は「不適切な眼鏡やコンタクトレンズの使用」「老眼との不毛な戦い」の二つに絞られます。
今回は、実際の患者さんのケースを紹介します。
1-1.不適切な眼鏡やコンタクトレンズの使用
眼科で視力検査を行う際は、あなたの目にどのくらいものを見る力があるのかを測定します。
例えば、Aのレンズを入れると1.0、Bのレンズを入れると1.2、Cのレンズを入れると1.5だとすると、検査員がカルテに記載するのは、
「Cのレンズを入れると、1.5見えました」という結果になります。
けれども、実際に眼鏡やコンタクトレンズを作る際に、このCのレンズを入れてしまうと、
「よくみえるけど、疲れる」「よくみえるけど、くらくらして、かけていられない」「よくみえるけど、頭が痛くなる」という状態になることがあります。
これが、いわゆる「きつすぎる眼鏡やコンタクト」であり、眼科用語で言えば「過矯正」という状態なのです。
また、たとえ「過矯正」ではない眼鏡やコンタクトであったとしても、これまで一度も眼鏡やコンタクトを使用したことがなかったり、これまで使用していたものの度数がかなり低く、急に度数をあげたりした場合などにも頭痛が起こる場合があります。
要するに急激な変化についていけず、頭が混乱している状態なのですね。
そのため、本来なら、もっと度数をあげたいけど、頭痛や眼精疲労を起こす可能性を考慮して、弱めの眼鏡を処方することもあります。
患者さんのなかには、このことを理解されておらず、「新しく眼鏡を作ったけど、しばらくしたら見えにくくなって、別の眼鏡屋さんでみてもらったら、かなり弱めの度数だと言われた」と、最初の眼鏡作成を非難されたりする方もいらっしゃいます。
これは決して「弱めの度数を処方した」のではなく、「仕方なく弱めの度数にした」のであり、時間の経過とともにご自身が眼鏡に慣れてきて、さらに強い度数の眼鏡がかけられるようになったということなのです。
頭痛が続くようなら一度、使用されている眼鏡やコンタクトを再確認することが必要ですね。
1-2.老眼との不毛な戦い!
「近視ですよ」「乱視ですよ」とお伝えすると、「わかりました」と納得されるたかがほとんどですが、
「老眼ですよ」とお伝えすると、「そんな年じゃありません!まだ、大丈夫です!」と否定される方の実に多いこと!
老眼を意識する年齢は、統計で44歳6カ月なのだそうです。
特に老眼のはじまりともいえる、この年齢位の方々には、不毛とも言える老眼との戦いによる頭痛が多いように感じます。
よく「近視の人は老眼になりにくい」と言いますが、厳密にはこれは間違い。
「遠視」でも「近視」でも、みな平等に「老眼」は発生します。
ただし近視の人はそれが表面化しにくく、わかりにくいだけ。
「近視」の方が、近視用の眼鏡やコンタクトレンズを使用すれば、もれなく老眼に悩まされるのはこのためです。
老眼による症状を理解していただくために、当院を訪れたある患者さんを例にお話しましょう。
45歳の男性ですが、お仕事でパソコンをよく使用されているとのこと。
軽い近視があって、眼鏡をかけており、日常生活にとくに不自由はありませんでした。
しかし半年くらい前から、夕方近くになると激しい頭痛に悩まされます。
同時にパソコンの文字が見えにくくなり、仕事に支障を来すようになり眼鏡を作り変えたいと眼科を受診されました。
検査の結果、この方の頭痛の原因は老眼だと判明しました。
つまり遠くがよく見える「近視」の眼鏡をかけたまま、近くを見続けている状態がピント合わせにかかわる「毛様体筋」という筋肉を疲労させ、頭痛や肩こりなどを招いていたのですね。
このことをお話すると、「そんな年になったのか・・・・」と一時は落ち込まれましたが、試しに老眼鏡をかけていただくとすっきりとした見え方に納得された様子。
老眼鏡だけを別に作成するとかけかえが面倒ですので、遠近両用タイプの眼鏡を作成し帰宅されました。
さらに1か月後の定期検診では、頭痛も治まり仕事もはかどるようになったとのこと。
「こんなことなら、余計な意地をはらずにさっさと作っておけばよかった」と笑顔で話してくださいました。
いかがでしょうか。
もし心当たりがあるのなら、「老眼鏡なんて!」などと拒否反応を示さずに、一度試してみられるといいのではないかと思います。
「まわりに知られたくない」という思いが強いのであれば、「遠近両用タイプのコンタクトレンズ」を装用するという方法もありますよ。
2.眼痛がひどくなって頭痛に!ちょっと怖い目の病気!
目の痛みが、結果的には頭痛につながっているというケースもあります。
原因としては以下のようなものがあげられます。
2-1.結膜炎
原因はアレルギー性のものから、ウイルスや細菌による感染性のものまで幅広くあります。
目の痛みや痒み、目やにや充血などが主な症状です。
2-2.ドライアイ
目が乾く、痛みがある、ゴロゴロするなどが主な症状です。
目が疲れると訴える方もいらっしゃいます。
2-3.異物やコンタクトレンズなどによる角膜の障害
コンタクトレンズをきちんと消毒せずに使用したり、消毒方法を誤ったり、使用期限を守らないで使用したりなどといったことが原因で、目に障害を起こす場合があります。
たかがコンタクトなどと思って甘く見ていると感染症を起こしてしまい、たとえ治っても角膜に傷が残って、一生見えにくい状態が続くといったケースもあるのです。
また、忘れがちなのが、コンタクトレンズケースの乾燥と定期交換。
このことを話すと「え?ケースって、ずっと同じものじゃダメなの?」と、真顔で質問される方もいらっしゃいます。
目にとっては異物であるという自覚をもっていただきたいですね。
また、登山にいってからどうも目がコロコロすると言って来院された方は、目の中に植物の種が飛び込んでいたというケースもありました。
特に心当たりがなくても、知らない間に異物が入っている場合があり、放置しておくとこちらも重篤な感染症を起こす場合も。
異常を感じたら、やはり速やかに眼科で診てもらった方がよいでしょう。
3.頭痛を引き起こす、もっとも怖い眼科の病気とは?
「頭痛」を引き起こすもっとも恐ろしい眼科の病気は「緑内障」です。
目の中の「房水」という水が出口を失い、眼球の後ろ側にある視神経を圧迫する病気で、放置すれば確実に「失明」に至ります。
この病気のもっとも恐ろしい点は「頭痛」「吐き気」などの症状が起こった際に、緑内障だと気づかれず脳神経外科や内科を受診し対応が遅れてしまい、視力の回復が望めなくなってしまうこと。
最善の策はあらかじめ眼科を受診し、自分自身の目が「緑内障」である、もしくは「緑内障発作」を起こしやすい目であるという事実を把握しておくこと。
これを理解しておけば発作を予防できますし、最悪発作が起こった場合でも、早急に適切な対処ができます。
自覚症状があらわれにくいこの病気。
やはり、眼科できちんと検査をうけるのがもっとも安全な対策であるといえます。
まとめ
いかがでしょうか。
眼科疾患が原因の頭痛のレベルもさまざまで、一般的には頭痛の程度がひどいほど症状も深刻であると言えます。
根本的な解決のためには、やはり眼科できちんと診察を受けて原因を究明することが基本ですね。
「検査が多い」「待ち時間が長い」「その割に診察時間が短い」などという耳の痛いご意見もありますが、実際に「もっと早く対応しておけば」と後悔される方を何人もみてきました。
ぜひ、大切なご自身のために眼科に足を運んでいただきたいと思います。
寄稿者
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