痛みが治まっても我慢は禁物~痛風予備軍・痛風発作の症状と痛風と間違えやすい症状~

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痛風は「風が吹いても痛い」と言われるほどの病気。

「風のようにやってきてまた去っていく」このように、痛みを繰り返しやすい病気でもあります。
今回は痛風の症状を詳しくみていきましょう。

1.痛風予備軍の症状

1-1.高尿酸血症

古くから、著名な政治家や科学者、哲学者に多く見られる痛風。
ルター・ダーウィン・ミルトン・ベーコン・ニュートン・チャーチルなども痛風になりました。

血液中の尿酸が増え過ぎることによって起きる痛風。
尿酸の産生や排泄のバランスが崩れると高尿酸血症になります。

実は、痛風の発作を起こす人の99%に高尿酸血症がみられます。
また、高尿酸血症にも自覚症状はありませんが、約80%は何らかの生活習慣病を併発しています。

肥満や糖尿病、高血圧や高脂血症などの症状がある人。
痛風予備軍とも言われる高尿酸血症は30代男性の約30%という多さですから、油断は禁物ですね。

1-2.高尿酸血症の原因

体内にたまっていく尿酸。
分解できない尿酸は尿と一緒に排泄されます。

全体の約80%が腎臓から尿中へ。
残り約20%は消化管へ排泄されたり、汗と一緒に排泄されます。

健康な成人であれば、体内に約1200mg蓄えられている尿酸。
一般に、尿酸プールと言われています。

一日につくられる尿酸は700mg。
排泄されるのは、同じ量の700mg。

尿酸の産生や排泄がうまくいかず尿酸プールがあふれてしまうことも。
1500mgを超えると尿酸値の正常値を超えてしまいます。

尿酸値は血液から赤血球や白血球などの細胞成分とフィブリノーゲンなどを除いた液体である血清1dlあたりに含まれる尿酸(mg)の値です。

基準値があります。
男性 4.0〜6.5mg/dl。
女性 3.0〜5.0mg/dl。

食事や時間で変動することもありますが、37℃の血清中、尿酸の溶解度は男女ともに7.0mg/dlまでです。

つまり、7.0mg/d以上になると高尿酸血症と診断されます。

1-3.高尿酸血症の3つのタイプとは?

尿酸の産生と排泄のバランスが崩れることによって発症する高尿酸血症。
3つのタイプがあります。

1.排泄低下タイプ
日本人に一番多いのが排泄低下タイプです。
腎臓から排泄される尿酸の量が少なくなって尿酸プールがあふれてしまいます。

2.産生過剰タイプ
近年、増えてきているのが産生過剰タイプです。
尿酸の排泄機能は正常ですが、尿酸が過剰に産生されて尿酸プールがあふれてしまいます。

3.混合タイプ
排泄される尿酸量の低下と産生される尿酸量の過剰によって尿酸プールがあふれてしまいます。

2.痛風の症状

2-1.突然の痛風発作とは?

突然感じる激痛は痛風発作と呼ばれています。
尿酸値が8.5mg/dl以上になると起きやすくなります。

どのようして起きるのでしょうか?
(関連記事→急に激痛!20〜30代の男性に急増している痛風の7つの原因!

体内の血液や組織にある尿酸。
水に溶けにくいため、溶けきれないと結晶化して尿酸ナトリウムになります。

体内では、この結晶が異物と認識されて、排除するため白血球が集まってきます。

そもそも、体の安全のために働く白血球。
主に白血球の炎症細胞が体に有害な細菌やウイルスを攻撃します。

実は、この時に白血球から放出されるのが活性酸素やプロスタグランディンという物質です。

これらの物質が炎症を引き起こす結果、毛細血管が拡張したり、赤みを帯びたりや腫れたり、激しい痛みを感じることになります。

残念ながら、どんなに攻撃されても反応しない尿酸。
遂には白血球の方が自滅してしまいます。

2-2.痛風発作が起きやすい時間帯とは?

健康診断や定期検査などでも分かる尿酸値。
7.0mg/dl以上が続いていても、自覚症状はありませんが、そのまま放っておくと、突然の痛風の症状に悩まされます。

痛風の発作が特に多いのは夜間から明け方です。

はっきりした原因は分かっていませんが、就寝中は血圧が下がって血液循環が悪くなり、体温の低下によって結晶ができやすくなることが考えられます。

2-3.痛風発作が起きやすい部位とは?

痛風の発作が起きやすい部分は足の親指の付け根が70%。
膝から下が90%以上です。

痛風発作の原因となる体内で水に溶けきれなかった尿酸。

尿酸ナトリウム結晶は体中どこでもたまりますが、特にたまりやすい部位の特徴が4つあります。

⒈タンパク質が少ない。
⒉酸性度が高い。
⒊よく動かしたり、負担がかかったりする。
⒋温度が低い。

これらの条件を満たす部位が関節です。

足の親指の付け根以外にも、足の関節や足の甲、アキレス腱やくるぶしがあります。
指や手首肘といった関節に起きることもあります。

2-4.痛風発作の症状とは?

最初は、足の親指の付け根に感じる違和感。
ムズムズ、ピリピリ、ジンジンなど、徐々に痛みが強くなって激痛になります。

その後、足の親指の付け根部分がてかてかと光って、熱を帯びて赤く腫れ上がります。

足を動かしただけで激痛に。
何かが少し当たっても激しく痛み、靴を履くこともできません。

あまりの痛さにこの時点で病院へ行く人が多いでしょう。
動かずにひたすら痛みを我慢すると…。

2、3日激痛が続いた後、痛みが和らいできて、1〜2週間軽い痛みが続きます。

その後、痛みも腫れもすっかりひいてき、少し紫がかってしわができ、1枚薄皮が剥がれたようになるでしょう。

3.痛風発作が繰り返されることによって起きる症状とは?

3-1.多関節炎型・慢性関節炎型

痛みがなくなっても油断は禁物です。
最初の発作できちんとした治療をしなければ、半年あるいは1年後に再び発作が起きてしまいます。

そのまま発作を放置すると、発作の間隔が短くなります。
発作が起きる関節も破壊されていくでしょう。

そして、完治しないまま炎症が残っているうちに、他の部位で発作が起こり始めます。

このような痛風発作を多関節炎型といいます。

そして、いつもどこかの関節に炎症が起きるようになることを慢性関節炎型といいます。

3-2.痛風結節

最初の痛風発作から繰り返される発作。
多関節炎型や慢性関節炎型になると起きやすいのが痛風結節です。

尿酸値が増え続けると、関節部分以外の皮下などにも尿酸結晶がたまって、こぶのようなものができてしまいます。

体のどの部位にもできますが、できやすい部位があります。
足指の関節やくるぶし、肘の後ろや手指の関節、耳などです。

4.痛風・高尿酸血症の合併症とは?

4-1.尿路結石

体のどこにでもたまる尿酸ナトリウム結晶。

腎臓の中にもできることがあり、尿中の尿酸が増加して溶けにくくなるため、尿路の中に結石ができてしまいます。

できた結石が腎臓から尿管を通って膀胱に落ちていきますが、尿管の細い部分で臓器を傷つけることがあります。

そのため、仙痛と呼ばれる激しい腹痛、腰や背中の痛み、血尿の症状がでるでしょう。

4-2.腎不全

尿路結石になった場合、尿の通路がふさがれてしまいます。

尿酸をろ過する機能がある腎臓。

腎機能がますます低下して悪循環になり、最悪の場合、腎不全となることも。

4-3.肥満・高血圧・糖尿病・高脂血症

高尿酸血症や痛風患者に多くみられる肥満。
(おすすめ記事→意外と知らない!生活習慣病の患者数と年間死亡者数、年間医療費とは!?

尿酸の排泄量が低下している人に多いのは皮下脂肪肥満タイプ。
尿酸の産生量が多いのは内臓肥満タイプ。

しかも、肥満以外にも併発しやすい高血圧や糖尿病、高脂血症は動脈硬化の促進など相互に悪影響を及ぼします。

糖尿病と高脂血症は虚血性心疾患や脳血管疾患などの症状につながる危険があります。

また、高血圧は心筋梗塞や脳血障害の発症が高くなるでしょう。

5.痛風に間違えやすい病気6つと違いを判断する方法とは?

痛みや症状が似ているために、痛風と間違えやすい病気が6つあります。

5-1.関節リウマチ

難病の一つである膠原病。
原因がはっきりしない自己免疫疾患の一種です。
発症率は男性:女性が1:3の割合で、女性に多い病気です。

症状は複数の関節が左右対称に腫れて痛んだり、朝にこわばりがあるでしょう。

治療しないとどんどん悪化して、数年の間に関節の変形がみられます。

痛風発作の多くは、左右のどちらか片方が痛みますし、治療しなくても痛みが2、3日で治りますので、違いが分かりやすいでしょう。

ただし、回帰性リウマチの場合は大きな変形がありません。
また、痛みが周期的に起きるリウマチもあります。

痛風かリウマチかは血液検査ですぐに診断できます。

5-2.変形性関節炎

老化現象によって起きます。
関節が変形して、慢性的な痛みが生じます。

指先の関節だけでなく、比較的大きな関節である膝や腰椎にも症状が出るでしょう。

また、関節の動きによって、痛みに変化があります。

痛風は突然の激痛、変形性関節炎は慢性的であるといった痛みの出かたに違いがあります。

5-3.神経痛

痛風と合併しやすい神経痛。
椎間板ヘルニアや腰椎すべり症、変形性脊椎症や脊柱管狭窄症があります。

痛風は患部が熱を帯びたり赤く腫れたりしますが、神経痛にはそのような症状がありません。

5-4.偽痛風

関節部にカルシウムがたまってしまう病気です。
ピロリン酸カルシウムが関節軟骨や半月板を石灰化し、白血球の攻撃によって、腫れや激しい痛みが生じます。

60歳以上の女性に多いでしょう。

偽痛風の症状が現れるのは膝や股関節などの大きな関節です。

痛風との違いは関節液の検査による結晶の形の違いでも診断できます。

5-5.蜂窩織炎

関節に起きる化膿性関節炎です。
ブドウ球菌や連鎖球菌が皮下組織に入り、激しい炎症を起こしてしまいます。

痛風発作を経験していて同じ関節が痛む場合、識別が難しいですが診断方法はあります。

尿酸値が高くないことや抗生物質が効くこと、感染した傷口があることや炎症の症状が全身的に強いことなどです。

5-6.外反母趾

足の親指の関節部分が亜脱臼して炎症が生じます。
女性に多いでしょう。

足の親指が内側に曲がって、付け根部分が外に飛び出してしまいます。

痛風のような痛みがないことが多く、尿酸値が正常であることによっても診断できます。

痛風の症状

まとめ

痛風発作が起きる前に高くなる尿酸値。
高尿酸血症がみられるなら、早めに改善しましょう。

数日で痛みが治る痛風発作。
繰り返していると、何らかの合併症を招いてしまうことも。

働き盛りの30代。
仕事で忙しい毎日ですが、痛みを我慢せずに早めに病院に行きましょう。

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HANA

HANA

いろいろな本を読んで役立つ記事をご紹介しています。調べることによって、新しい情報 を取り入れることができて知識の幅が広がります。実際、幾つか試して不調を改善できま した。実感したことですが、健康に良いと思える情報でも、すべての人に効果が出るわけ ではないということ。人それぞれ持っている体質・症状の個人差や生活スタイルの違いな どがありますので、期待していた効果が現れないとしても当然かもしれません。抱える不 調を治したいという思い、諦めないで改善する努力を続けることが大切だと感じました。 健康であれば日々の生活も楽しくなります。「これは自分に合うかもしれない」と思う情 報をぜひ試してみてください。
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