引き締まった身体を手に入れたい、溜まってしまった体脂肪を落としたい。
そんな目標を持ってトレーニングに励んでいても、なかなか成果が出ないという方も多いはず。
そんな方にぴったりのトレーニングが「スロー・トレーニング」です。
特別な道具なども不要、さらに今までの筋トレよりもはるかに効果を挙げられると注目されているトレーニング法をご紹介します。
1.スロー・トレーニングとは?
たとえばスクワットを行うとき、ひざを曲げて腰を落とし再び元のポジションに戻るまで、どれぐらいの時間をかけていますか?
通常は1秒、長くても2秒程度が標準ではないでしょうか。
「スロー・トレーニング」とは、文字通り「ゆっくり」筋力トレーニングを行うトレーニング方法です。
日常的に筋力トレーニングを行っている人なら誰でも簡単にできる方法です。
例えばスクワット、ひざを曲げて腰を落としてから元のポジションに戻るまでを動作を、スロー・トレーニングでは通常の4倍程度の時間をかけて行います。
普段はひざを曲げて元に戻るまで2秒程度という人の場合なら、スロー・トレーニングでは4秒程度かけて腰を落としていき、落ち切ったところで1秒程度静止、再び4秒かけて元のポジションに戻します。
これはスクワットだけでなく、ほかの筋トレにも応用が可能です。
腕立てや腹筋、背筋、そのほかダンベルやウエイトを使ったトレーニングでも同様に、4倍程度の時間をかけて「ゆっくり」とすべての動作を行います。
逆に言えば「ゆっくり」と動作を行うだけなので、筋力トレーニングの特別な知識がなくても普段の動作が分かっていれば誰でも簡単にチャレンジが可能です。
何かを買い足したりする必要もないため、非常に取り組みやすいトレーニング方法ということができるでしょう。
2.なぜスロー・トレーニングが効果的?
2-1.メリット1 短時間で筋肉に刺激を与えられる
スロー・トレーニングのメリットのうち、最も大きなものは「短時間でも効果が上がる」という点です。
「スローなのに短時間」とは、一見矛盾しているように聞こえるかもしれません。
しかし実際にやってみれば分かるように、たとえば今まで腹筋を100回やっていた人が同じ動作に4倍の時間をかけてみた場合、いつものように100回の腹筋ができるかというと、そうではありません。
おそらく、20回程度で音を上げてしまうはずです。
さらにスロー・トレーニング20回のほうが通常の速度で100回腹筋を行うよりも、はるかに負荷が大きい筋肉を使っていると感じるでしょう。
単純に計算すると、これまで1回の動作1秒かけていたとすると100回で100秒。
これに対して、4倍の時間を使ったとしても20回で80秒。
トレーニング全体で約20秒の時間を短縮したことになります。
もちろんこれは数字の上だけの問題ですが、スローな動きであってもスロー・トレーニングのほうが負荷が高く、またトレーニング時間が短時間で済むということは間違いありません。
では、なぜゆっくりと動作を行ったほうが負荷が高まるのでしょうか。
これは実は、筋肉の動きに関係しています。
筋肉は素早く動かすと動いている間は収縮していますが、動作を終えたとたんに拡張し緊張した状態から解き放たれます。
しかし筋肉をゆっくり動かした場合には動かしている間中、筋肉は緊張状態を強いられます。
言い換えれば、筋肉にはテンションがかかり続けている状態なのです。
通常であれば、筋肉は緊張した状態から解放されることでポンプの役割を果たして血流を活性化します。
同時に乳酸などたまった疲労物質の排出を促進しますが、緊張した状態ではその間ずっと筋肉に圧がかかり続けるため、乳酸などの疲労物質は筋肉の中にとどまり続けます。
いわば、非常に長い距離を走っているときと同様の状態です。
すると脳と筋肉は、激しい運動を長時間続けているときと同様の反応を起こします。
脳が筋肉の中の乳酸に反応して、脳下垂体から筋肉を補修するための物質を放出し始めるのです。
この物質は「成長ホルモン」と呼ばれるものです。
成長ホルモンは成長期にもっとも多く分泌されるもので、筋肉を太くし体脂肪の燃焼を促す物質です。
成長ホルモンは加齢とともに分泌量が衰えるものですが、ゼロになってしまうことはなく僅かながら分泌は続けられます。
筋肉を太くし体脂肪の燃焼を促すということは、ダイエットのためにもっとも必要な要素です。
つまりスロー・トレーニングを行うことは筋肉を太くするだけでなく、ダイエットに必要な成長ホルモンを促すという効果も期待できるのです。
ちなみに成長ホルモンは、別名「若返りホルモン」と呼ばれているものです。
筋肉や体脂肪だけでなく、肌の新陳代謝にも作用します。
そのためスロー・トレーニングを行うことは、30代を超えて衰えたるみがちな肌にも効果があると言えるでしょう。
2-2.メリット2 基礎代謝が高くなる&体脂肪が燃える
体脂肪を燃やすためにもっとも効果的なトレーニングといえば有酸素運動!
というのは、ダイエットや筋力トレーニングに取り組んだことがある人であれば誰もが知っていることです。
なぜ有酸素運動が体脂肪の燃焼に効果的かといえば、身体は酸素を取り込みながら運動を続けると、まず血中や体内に蓄積された糖質から優先的に燃料として利用するからです。
そして糖質を使ったあと、身体に溜まった脂肪がエネルギー源となります。
そのため体脂肪の燃焼を起こすためには、ジョギングやウォーキングのように脂肪が燃え始めるまで運動を継続する必要があります。
通常の筋力トレーニングでは無酸素運動なので、身体の中の糖質が主な燃料として使用される間に動作が終わってしまい、体脂肪の燃焼にはあまり効果がありません。
それが筋力トレーニングはダイエットには不向きとも言われている理由の1つです。
しかしスロー・トレーニングの場合は、筋肉に持続的に負荷がかかり続けるため有酸素運動と同様に身体は糖質だけでなく、体脂肪もエネルギー源として利用します。
(人気記事→BCAAは筋トレに絶対欠かせない!!無駄な筋トレをしないためにアミノ酸BCAAを摂ろう)
それだけでなくスロー・トレーニングを続けると長い時間体勢をキープしなければいけないため、大きな筋肉だけでなくそこにつながる細かい筋肉も鍛えられることになります。
その結果、全体の筋肉量が増加し基礎代謝が高くなり、自然と太りにくい身体を手に入れることができます。
2-3.メリット3 他のトレーニングに比べて安全
筋力トレーニングを始めた頃、つい頑張りすぎて筋肉や関節を痛めてしまったという経験はありませんか?
特に重めのウエイトを使ったときなど腰や首などを痛めがちなものです。
しかしスロー・トレーニングの場合には、身体を壊してしまったり、痛めてしまったりという心配はほとんどありません。
というのもスロー・トレーニングの場合には、重いウエイトなどはほとんど使用することはありません。
筋肉を太くしたいといった場合には、持ち上げられる重さの80%のウエイトを使うなどのトレーニングが一般的ですが、スロー・トレーニングの場合にはできるだけ長時間、筋肉を緊張させられるかどうかが重視されます。
そのため、数回しか持ち上げられない重さのウエイトを使うことはむしろ逆効果です。
必要以上に筋肉と関節に負荷がかかることはありません。
さらに筋肉や関節を痛める場合には、無理な重さを持ち上げようとして反動を利用するといった理由も挙げられますが、スロー・トレーニングでは反動を利用しなければいけない重さを扱う必要もないため、結果的に非常に安全にトレーニングを進めることができます。
またスロー・トレーニングは同じ動作を繰り返し行うため、常に自分のフォームが正しいかどうかチェックすることができます。
どのようなトレーニングであってもフォームが乱れると筋肉に正しい負荷がかからず、その分を他の部位がフォローすることで怪我に発展することも少なくありません。
スロー・トレーニングの場合には、常に正しいフォームを意識して筋肉を鍛えることが可能になります。
2-4.メリット4 コストがかからない
新しいトレーニング方法を行うときには、どうしても気になるのがコストの面です。
新しい器具や道具を購入したりといった出費はなかなか馬鹿にはできないものです。
またどれだけ効果的であっても、ジムなどで行わなければならないとなると、時間的な制約も関わってきます。
しかしスロー・トレーニングの場合、余計な出費は必要ありません。
ただ普段の筋力トレーニングの動作をゆっくりと行うだけなので、新しい道具などを購入する必要はありません。
また加圧トレーニングのようにジムでなければできないということもないため、常に自分のスケジュールに合わせてトレーニングを進めることができます。
実はスロー・トレーニングのルーツは、加圧トレーニングにあります。
(おすすめ記事→思わぬ健康効果が…?加圧トレーニングでダイエット!)
加圧トレーニングは、外側からベルトやチューブなどで血管を締めて、筋肉の血流を阻害するものです。
筋肉の血流を阻害することで疲労物質である乳酸の排出をストップし、成長ホルモンの分泌を促し短い時間で筋肉を太くし、体脂肪の燃焼をサポートします。
スロー・トレーニングの場合、外側からベルトやチューブで筋肉の血流を止めるのではなく、常に筋肉を緊張させることで成長ホルモンの分泌を促します。
つまり加圧トレーニングが外からの力を利用するのに対して、スロー・トレーニングは自分で動くことで乳酸を溜めていくということです。
その結果、成長ホルモンが分泌されるということに変わりはありません。
確かに加圧トレーニングは効果的なトレーニング方法ですが、専用の器具が必要でジムに行くか、自前で高い機材を購入しなければ行えないトレーニングです。
一方スロー・トレーニングであれば自宅で自分の都合のいいときに、加圧トレーニングと同じ効果を手に入れられるということになります。
3.具体的なスロー・トレーニングのメニュー作り
それでは、実際の具体的なスロー・トレーニングのメニューについてみていきましょう。
と言っても、通常と同じトレーニングを時間をかけて行えばスロー・トレーニングの効果を得ることができるため、まったく新しいメニューを考える必要はありません。
今までトレーニングを続けてきた人は、それと同じメニューを4倍以上の時間をかけて行うだけで十分です。
しかしスロー・トレーニングに向いた筋トレ、向かない筋トレもありますので気をつけましょう。
ここでは、どのような筋トレがスロー・トレーニングに向いているかご紹介します。
4-1.動作の大きなトレーニングはスロー・トレーニング向き
スロー・トレーニングは通常の動作を時間をかけて行うトレーニングです。
そのため動きの幅の小さな動作よりも、時間を掛けられる余裕のある動作の大きなトレーニングがスロー・トレーニングに向いていると言えるでしょう。
その代表がスクワットです。
腰を完全に落としきるフルスクワットでも、途中で止めるハーフスクワットでも十分に動作に掛ける動きの幅と時間があるため、スロー・トレーニングに最適のトレーニングと言えるでしょう。
(人気記事→引き締まったボディに若返り効果も!今すべきスクワットのすすめ!)
このときに注意したいのが、動作が完全に止まる時間を作らないこと。
慣れないうちは腰を落とし元のポジションに戻って来るまでの間、完全にひざが固まってしまったり、反対にひざを伸ばしたときにひざがロックしてしまったりしますが、この時間を作らないように滑らかに動作を連続して行うようにしましょう。
また、動きの幅があるという点では、腕立て伏せも効果的です。
こちらも通常の4倍以上の時間をかけて行うと、十分にスロー・トレーニングの成果を得ることができます。
(おすすめ記事→腕立て伏せの効果を上げる4つのポイントとは!?)
ただし腕立て伏せはスクワット以上に関節が固まったり、伸びきったりしやすいので注意しましょう。
5.できるだけ低負荷のトレーニングを選ぶ
スロー・トレーニングはゆっくり動作を行いますが、乳酸が溜まり続けるために見た目以上にハードなトレーニングです。
そのため、通常のスピードで30回以上は続けられるといったトレーニングを選びましょう。
スロー・トレーニングは長く続けることに意味があるため、数回しかできないという動作では効果が半減します。
新しいトレーニングの場合は、通常の速度で動作に慣れてからスロー化するとよいでしょう。
まとめ
誰でも簡単に取り組むことができる上に、通常のトレーニングよりもはるかに効果的なスロー・トレーニング。
最初はかなり疲労感を感じるかもしれませんが、それも身体が進化している証しです。
できるだけ長く続けることで、体脂肪を燃焼させて、理想の身体に近づけるはずです。
T.Ttally
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