目の疲れに悩んでいる皆さん、根本的な原因を取り除かなければ、その疲れに一生悩まされ続けるかもしれません。
眼科ナースという立場から、わかりやすくその対処法をまとめてみました。
ぜひ、ご一読ください。
1.最近よく指摘される「VDT症候群」とは?
お仕事などで、眼を使いすぎての眼精疲労。
特に、最近の傾向として、よく指摘されているのは「VDT症候群」です。
VDT(パソコン・モバイル端末・テレビゲームなど)を長時間使用することにより、目だけでなく、身体や精神にも影響が出る病気とされています。
具体的な例をあげると「眼が疲れる」「見えにくい」「乾燥する」などの症状に加え「肩こりや体の痛み」「しびれ」「イライラ」「うつ状態」などが生じるのだそう。
そもそも、VDTが使用され始めたのは、人類の長い歴史を振り返ってみれば、つい最近の出来事。
長期的にみると、人体にどんな影響が起こるのかは、まだわからないとも言えるのです。
便利な機器ではありますが、必要以上に長い時間使用することは、できれば避けたいですよね。
(関連記事→目の疲れでお悩みの人へ!いますぐできる解消方法から内側から効く食材まで)
2.「VDT症候群」にならないための対策とは?
2-1.姿勢に注意する
背中が背もたれにしっかりと当たり、足の裏全体が床に接するような、高さの椅子を選びましょう。
椅子自体に深く腰をかけて、画面と目の距離を40cm以上にする配慮も必要ですね。
視線は、ちょっとだけ下向きになるくらいの角度が理想です。
できれば、パソコンなどの画面と、一緒にみる資料などとの「眼からの距離」に差がないようセッティングするとよいでしょう。
2-2.照明に注意する
室内は、明暗の差をできるだけ少なくし、画面が反射しにくい位置に、ディスプレイを設置するようにしましょう。
反射防止タイプのものを使用するのもいいですね。
2-3.適度に休みながら、行うこと
10~15分の休憩を、1時間おきくらいにとるのが理想です。
できれば、遠方の景色を眺めたり、数分間目を閉じるなどして、目を休めましょう。
2-4.運動をする
休憩ついでに、軽く体を動かすのも効果的です。
(おすすめ記事→ウォーキングで仕事の効率UP!?ウォーキングダイエットの魅力とは?)
3.眼鏡やコンタクトがあってないことによる「疲れ目」への対策とは?
眼鏡やコンタクトレンズの度数が目にあっていなかったり、そもそも必要なのに眼鏡をかけていなかったりすると、眼が疲れることは、割と知られています。
簡単なようで、改善するのは意外とハードルが高いのがこのタイプです。
でも「まあ、わりと見えるし、いいか」などと古い眼鏡を使い続けている方や、眼鏡をかけずに過ごしている方が多いのではないでしょうか。
この度数の調整をきちんと行うことで、長年悩まされていた眼の疲れが、驚くほど解消されたというケースも少なくありません。
以下のような点に心当たりがある方は、眼科できちんとした眼鏡やコンタクトを作成する必要がありそうです。
では、目の症状別での対策をご紹介します。
3-1.もともと遠視気味だと言われている方
多少の遠視であれば、若い頃は眼鏡を使用しなくても、見える場合が多く、自分が「遠視」であることを意識しない方が多いようです。
しかし、年齢を重ねるにつれて、どんな人にも起こるのが「老眼」という症状。
遠視の方は、この「老眼」が早めに起こる傾向があり、遠くも近くも見えにくい、でも眼鏡は使いたくないという方が多い傾向があります。
しかも適切な眼鏡を使用し始めると、潜伏していた遠視が表面化し、「遠視がすすんだ」と誤解される方も。
それによって、さらに眼鏡を敬遠する事態となり疲れ目の上、頭痛や吐き気を伴い、仕事ができなくなったという方もいました。
眼鏡をかけることによる不自由さは確かに皆無ではありませんが、かけずに過ごすことによる不快な症状を我慢することに勝るとは思えません。
眼科できちんとした視力検査を行い、必要な眼鏡やコンタクトを作成することが、目の疲れを改善する、最短の方法だと言えます。
3-2.近視で、眼鏡やコンタクトを使用。しばらく検診を受けていない方
近視の方は、眼鏡やコンタクトを使用されている方が多く、使用することにあまり抵抗がないようです。
しかし、定期的な検診を受けずに、何年も前に作成した眼鏡を使用し続けたり、同じ度数のコンタクトレンズをネットで購入したりしている方も多い様子。
疲れ目を感じる場合、度数が変わっていたり、もともとの度数があってなかったりすることが考えられますので、やはり検診をお勧めします。
また、年齢を重ねて、老眼の症状が出始めると、眼鏡なら、眼鏡をはずせば見えやすい場合もありますが、完全矯正したコンタクトを入れていると、近くが見えにくく、眼が疲れるという症状が出てきます。
3-3.新しい眼鏡やコンタクトを作成したばかりのケース
新しいコンタクトや眼鏡を作成すると、その見え方に脳が対応するのに時間がかかるケースがあります。
例えば、左右の度数の差が大きかったり、乱視の軸が左右で大きく違っていたり。
もちろん、慣れる必要があるケースもありますが、基本的に眼鏡やコンタクトレンズは、「よく見える」こと以上に「快適に使用できる」ことを重視して処方されるべきもの。
使用してみて、どうも具合が悪い、疲れやすいなどと感じるなら、早めに眼科や眼鏡屋さんで、処方し直してもらうことをおススメします。
眼鏡屋さんによっては、保証期間があり、一定の期間なら、無料でレンズを交換してくれる場合があります。
また、コンタクトレンズであれば、お試し期間を設けてくれるタイプのものもありますので、しばらく使ってみて、調子が悪ければ、度数を変更してもらうことも可能です。
3-4.老眼鏡を使いたくない!という思いに固執しているケース
老眼鏡を使用するのって、抵抗がありますよね。
「もう、そんな年齢なの?」とまわりに思われそうで。
そんな傾向もあって、老眼鏡を使用したくないという方は多いようです。
「老眼」というネーミング自体にも問題がありそうですが・・・
そんな理由から、老眼鏡を使用したくないという思いに固執するあまり、眼精疲労を悪化させるケースも少なくないようです。
遠近両用の眼鏡を使用するという方法もありますが、慣れるのに時間がかかったりそもそも眼鏡をかけること自体が嫌だったりして、結局は使うのを止めてしまう方も。
コンタクトレンズや眼鏡の度数を落とすという方法もありますが、そうすると遠方が見えにくくなりますので、満足感は低下しますよね。
そんな方々には、「遠近両用コンタクトレンズ」は、いかがでしょうか。
ちょっとお値段は高めにはなりますが、慣れればなかなか快適です。
実は私自身も使用しているのですが、注射の針先から、レストランのメニュー、患者様の顔や、遠方の視力表まですっきりと見えます。
同窓会では、メニューが読めない同級生をしり目に、メニューの説明をしたりしてうらやましがられたことも。
ただし、コンタクトレンズの使用ができるのかという点と、人によって合う合わないがあるようですので注意が必要です。
しかも同じ老眼の症状を持つ人であっても、Aのレンズが最適という人もいれば、Aのレンズではまったく見えないがBのレンズなら快適、と言う人もいてレンズの種類によって満足度が全く違う傾向があります。
少し時間と手間はかかりますが、できるだけたくさんの種類の遠近両用コンタクトを取り扱っている眼科で、お試ししてみて購入するのが理想ですね。
3-5.要注意!もともと目の病気がある方は、単なる疲れ目だと甘くみないで
最後に、もともと「緑内障」「糖尿病」や「ドライアイ」などの病気がある方は、「疲れただけ」と思いこんでいると、実は目の病気が進行しているという場合もあります。
「最近、眼が疲れて、見えにくい」といって来院された方が、実は糖尿病で、目の奥の網膜と言う部分が悪くなっており、手術まで行いましたが、視力が回復しなかったという例もありました。
「たかが目の疲れ」と思わず、症状がひどいなら、きちんと診てもらうようにしましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
「VDT症候群」「コンタクトや眼鏡の度数の不適合」「老眼」などが原因であれば、ご本人が重い腰をあげさえすれば、対策はさほど困難ではありません。
しかし、目の病気が潜んでいるとなると、取り返しがつかない事態になる場合もあります。
視力の低下は、車の運転ができなくなったり、遠近感がとれなくなったりして、日常生活に多大な影響をおよぼす一大事です。
最近は、お昼休みや夜間でも診てもらえる病院もありますので、面倒がらずに早めに診てもらってくださいね。
寄稿者
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