本当に痛風?痛風の検査と治療法とは?

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あまりの激痛のため経験した人しか分からないと言われている痛風の痛み。
病院で受診するとまず行われるのは、本当に痛風かを診断する検査。

確定した後、症状に合わせた治療が行われます。
今回は、具体的な検査と治療をご紹介します。

1.痛風発作が起きたときの4つの方法とは?

痛風の痛みは激痛のため、あまりのショックで気が動転する人も多いようです。
(関連記事→尿酸値が関係する!痛風を予防する7つの方法とは?

痛み止めを飲んだり、患部をマッサージするなど素人判断は避けましょう。
痛風発作が起きた場合、4つの方法があります。

1-1.患部を冷やす

関節に炎症が起きて熱を持っていますので、とにかく冷やしましょう。

氷や水、湿布薬を使うことができます。

1-2.患部を心臓よりも高くする

静脈のうっ血を防ぐため患部を心臓よりも高くしましょう。

痛みが和らぎます。

1-3.安静にする

眠ることもできないほどの激しい痛み。

患部を動かさないようにしましょう。
歩き回ったりせず、じっとしているのが一番です。

1-4.早く受診する

なるべく早く病院へ行きましょう。
内科や整形外科で診てもらうことができます。

ベストなのは、痛風の専門医を探して治療を受けることです。

大きな病院では、診療科目の専門家によって、細かく分けられているでしょう。

2.痛風の診断基準3つとは?

病院に行くと、まず病名が痛風かを明確に診断する必要があります。

診断基準は米国リウマチ学会によって定められており、3つあります。

⒈尿酸結晶が関節液中に存在すること

⒉痛風結節に尿酸結晶があること

⒊次の11項目のうち6項目以上該当する
①炎症が24時間以内にピークに達する
②痛風発作が以前にも2回以上あった
③症状が1か所だけの関節にあらわれる
④関節が赤くなる
⑤足の親指の付け根の関節に痛みや腫れがある
⑥片側の足の親指の付け根の関節に発作があらわれる
⑦片側の足首の関節に発作が起こる
⑧痛風結節と疑われるようなコブがある
⑨尿酸値が高い、または高尿酸血症である
⑩関節が非対称的に腫れる
⑪発作が完全に良くなる

2-1.一般に用いられる診断基準は3番

1・2・3の診断基準のうち、一般に用いられるのは3です。

1の診断基準は発作の患部に注射針を刺して、関節液を採取する方法です。

これは、発作が起きている時に行わなければならないという難しさがあります。
また、かなりの苦痛も伴います。

そのため、実際は尿酸値などが正常で、痛風と確定することが難しい場合などに行われます。

2の診断基準は結節の組織を調べる生検を行う方法です。

採取した結節を顕微鏡で調べて、尿酸の結晶が見つかった場合、痛風結節になります。
ただし、この方法は一般的には行われていません。

誰にでも痛風結節ができるとは限りませんし、特に最初の発作の時にできないことが多いからです。

3の診断基準は診察や問診、血液検査などによって行われます。

初めての発作が起きた場合、医師は発作の状況や生活状況、家族の病歴などを詳しく尋ねるでしょう。

特に、痛風かリウマチかを判断するのは「④関節が赤くなる」です。
リウマチの場合、患部が赤く腫れることはないからです。

3.病名の確定を行う検査3つとは?

痛風を確定するには、3つの検査をします。
⒈痛風かどうかの検査

⒉尿酸値と高尿酸血症の原因を調べる検査

⒊合併症を調べる検査

くわしくみてみましょう。

3-1.痛風かどうかの検査

尿酸の状態を調べるための痛風の検査。
血液検査と尿検査から始まりす。

血液検査では尿酸値の測定を行い、腎機能障害など合併症の有無を検査します。
採取した血液から血清を分離させ、血清中の尿酸の量を測定します。

1dlの血清中に何mgの尿酸があるかを数値で示したものが尿酸値です。

痛風患者であっても高い数値を示すはずの尿酸値が高くないことがあります。
変動することが多い尿酸値。

年齢や性別、食事や運動、その日の体調や精神状態、明け方や夕方などの時間帯などが関係します。

一時的に検査前に節制などして尿酸値を下げることもあるでしょう。

そのため、日を変えて同じ時間に3回くらい検査して平均値をだします。

平均尿酸値が7.0mg/dl以上だと高尿酸血症と診断されます。

3-2.尿酸値と高尿酸血症の原因を調べる検査

痛風発作を起こす人に多い高尿酸血症。
尿検査では高尿酸血症のタイプを分類し、腎機能の働きを明確にします。

高尿酸血症のタイプを分類するには、3つの測定方法で尿酸クリアランスとクレアチニン・クリアランスの検査を行います。

⒈1日の全尿量と尿酸排泄量

⒉外来診療で実際的な60分法

⒊一回の採尿と採血で行うスポット法

3つのうち一般的に行われているのは、60分法の測定方法です。
検査前3日からプリン体を多く含む食品や飲酒の摂取を制限します。

検査当日起床後は絶食し、コップ2杯の水を飲みます。

検査時はまず300mlの水を飲みます。
30分後に排尿。
60分後に採血。
90分後に尿すべてを採取。

その結果、尿酸生産量や尿酸クリアランス、クレアチニン・クレアランスを算出します。
(関連記事→腎臓の異常を見つけるクレアチニンクリアランスの基準値と計算式とは!?

算出された測定結果から、高尿酸血症の3つのタイプのうちどれかが分かります。

⒈生産過剰タイプ
尿酸排泄量…0.51mg/Kg/時以上
尿酸クリアランス…6.2ml/分以上

⒉排泄低下タイプ
尿酸排泄量…0.48mg/Kg/時以上
尿酸クリアランス…6.2ml/分未満

⒊混合タイプ
⒋尿酸排泄量…0.51mg/Kg/時以上
⒌尿酸クリアランス…6.2ml/分未満

ただし、治療を始めると改善される尿酸値。
一度タイプを分類しても、その後の経過とともに変化することがあるでしょう。

3-3.腎機能など合併症の有無を調べる検査とは?

1.尿路結石
高尿酸血症の合併症として起きやすい尿路結石。

体内の尿酸プールがあふれ出して、腎臓にある尿酸が凝固し結晶になります。
ただし、実際の結石は成分がさまざまなため尿酸のみではありません。

尿沈渣で尿路結石の有無を検査します。
尿沈渣とは尿沈渣では尿中の血液成分や細菌、尿路結晶などを顕微鏡で調べる検査です。
結晶は徐々に大きくなりますが、尿沈渣ではまだ小さいうちの尿酸の結晶を見つけることができるでしょう。

2.腎機能障害
痛風の合併症で起こりやすい腎臓の機能障害。
高尿酸血症が長期間続くと招きやすくなります。

通常、尿は腎臓で作れますが、尿酸の結晶が腎臓に付着してしまうからです。

血液中の老廃物の量を測定して腎機能を調べます。
血液中の老廃物に含まれるのは、尿素窒素・クレアチニン・窒素化合物。

腎臓でろ過された後、尿として一定量が排出されますので、老廃物の量を測定するなら腎臓の排泄機能が分かるでしょう。

血液中の尿素窒素の正常値…8.0〜20mg/dl。

腎臓の排泄能力を反映しやすいと言われているクレアチニン。
筋肉内に発生する老廃物です。

血液中のクレアチニン値の基準値から腎機能が分かります。

筋肉量の違いによる個人差がありますが、一日に作られるクレアチニン量はほぼ一定ですから、腎臓の排泄機能が分かりやすいでしょう。

ただし、クレアチニンの数値は腎機能がかなり低下しなければ高くならないため、腎機能の検査も行うことになります。

・血中クレアチニンの基準値

1.2mg/dl未満…ほぼ正常。

1.2〜2.0mg/dl…やや低下。
高血圧管理などが必要でしょう。

2.0mg/dl以上…さらに低下
腎機能の障害が進行しています。

6.0mg/dl以上…かなり低下。
人工透析が必要になることもあるでしょう。

4.痛風の3つの治療目的とは?

痛風の治療は3つの大きな治療目的で行われます。

4-⒈痛風発作の発症を抑える

痛風発作によって起きる激痛。
まず、激痛を抑えるための薬物治療が行われます。

服用する薬は2種類。
発作の前兆が見られた時に服用する薬と発作が起こった時に服用する薬です。

4-2.尿酸値を下げる

痛風発作が治まった後に行うのは痛風の原因となっている高くなった尿酸値を下げることです。

治療は薬物療法や食事療法、運動療法などの生活改善を目的としたものです。

痛風のタイプや症状の程度に合わせて、3〜6ヶ月くらい行います。

4-3.合併症を予防する

痛風になると招きやすい合併症。
尿路結石や腎障害、高脂血症や糖尿病、高血圧症などがあります。

治療は薬物療法や食事療法などですが、尿酸値のコントロールは一生続けていく必要があります。

5.痛風の治療法とは?

5-1.痛風の発作を抑える治療〜コルヒチン抗炎症薬

激しい痛みの痛風発作。
関節のムズムズ感やピリピリとした痛みなどの前兆があります。

前兆を感じたら、すぐに抗炎症薬コルヒチンを服用しましょう。

飲むタイミングが早いほど効き目も高くなりますが、本格的な激痛になってから服用してもあまり効果がありません。
通常、服用は1日に1錠です。

大量に服用すると起きる副作用。
脱毛やひどい下痢、腹痛や嘔吐、骨髄の働きの低下などです。

5-2.痛風発作が起きているときの治療〜非ステロイド系抗炎症薬

起きてしまった痛風発作。
服用するのは非ステロイド系抗炎症薬です。

ジクロフェナックやフェンブフミン、ナプロキセンやインドメタシンなどがあります。

コルヒチンよりも副作用が少ないですが、まれに胃腸障害などを起こすことがありますので、必ず医師の指示に従いましょう。

内服薬の他に座薬などいろいろなタイプがあります。

5-3.痛風発作が治まった後の治療〜尿酸値を下げる薬

痛風発作の痛みが緩和された後に行うのは、原因となっている尿酸値を低下させる治療です。
そのまま放っておくと、腎障害や糖尿病などの合併症を招くからです。

尿酸値を下げる薬は尿酸排泄促進薬と尿酸合祭阻害薬の2種類あります。

尿酸排泄促進薬とは、体内で合成される尿酸の排泄を促す尿酸排泄促進薬。
プロベネシドやブコローム、ベンズブロマロンがあります。

腎臓の糸球体でろ過された尿酸が、尿細管で再び再吸収されるのを抑えてくれます。
尿酸の排泄が悪く血液中の尿酸が増えてしまい、上昇した尿酸値を下げる必要のある人に使用されるでしょう。

ただし、尿中へ排泄される尿酸が増えて、尿酸の結晶が腎臓に付着してしまい、腎障害を招くことも。
医師の処方量をきちんと守りましょう。

尿酸合成阻害薬とは、体内で合成される尿酸の働きを抑える尿酸合成阻害薬。

唯一使用されているアロプリノールがあります。
副作用として、軽い肝機能障害や湿疹がありますが心配ありません。
一般的に副作用が少なく、長期間飲み続けても心配のない薬だからです。

それでも、ごくまれに起きるのが再生不良性貧血や劇症肝炎。

特に、腎障害のある人は副作用が起きやすいため注意しましょう。

6.尿酸値を上げる薬の種類と注意点とは?

30代から多くなる生活習慣病。

実は、生活習慣病で服用している薬の中に、尿酸値を上昇させる原因になるものが5つあります。

⒈降圧利尿剤…サイアザイド系

⒉利尿薬…フロセミド

⒊抗結核薬…ピラジナミド・エタンブトール

⒋消炎鎮痛薬…アスピリンなどの少量のサリチル酸

⒌パーキンソン病治療薬…レボドパ

痛風による合併症を予防するためには尿酸値を低下させる薬を飲みますので、医師とよく相談して適切な薬を選んでもらいましょう。

7.高尿酸血症タイプ別の3つの選択基準とは?

高尿酸血症には排泄低下タイプ・産生過剰タイプ・混合タイプの3つあります。

それぞれのタイプに合わせて、尿酸値を下げる薬が処方されるでしょう。

尿酸値を下げる効果と副作用の両面から決められた3つの選択基準があります。

⒈排泄低下タイプに使用されるのは尿酸排泄促進薬。

⒉産生過剰タイプに使用されるのは尿酸生成抑制薬。

⒊混合タイプに使用されるのは尿酸排泄促進薬・尿酸生成抑制薬のいずれか。

8.尿酸値を下げた後の治療〜合併症を予防する

痛風発作が治まった後に行う尿酸値のコントロール。
次は、痛風や高尿酸血症による合併症を予防する治療を行います。

大抵、痛風などの生活習慣病を発病した場合、他の病気も併発していたり、発病しかかっていたりします。

痛風や高尿酸血症の診断を受けた場合、早急に合併症を予防する対策も行う方が良いでしょう。

尿中に異常に多くなる尿酸量は尿路結石や腎障害などを招きます。

他にも、高脂血症や糖尿病、高血圧症があります。

さらに、動脈硬化症である虚血性心疾患や脳血管障害もあります。

それぞれの病気の専門医に診てもらって治療を行う必要があるでしょう。

8-1.痛風の合併症〜尿路結石の治療法

痛風や高尿酸血症の合併症として多いのが尿路結石。
尿路管理を行いましょう。

尿の酸性度をpH6.0〜7.0に保って、1日の尿量を2000cc以上にします。

もともと、水に溶けにくい尿酸は酸性に傾くとさらに溶けにくくなるからです。

酸性になった尿を弱酸性に戻すために尿アルカリ剤を服用します。

この薬はクエン酸カリウムやクエン酸カリウム・ナトリウム配合剤で、ウラリット錠などがあります。

また、水分をたっぷり摂りましょう。
尿量を多くして尿中の尿酸を薄め、結石をできにくくするためです。

水分の補給は水やお茶、麦茶などで行い、ビールや糖分の多いジュースは避けましょう。

8-2.痛風の合併症〜腎障害の治療法

痛風が原因で起こる腎障害は痛風腎と呼ばれています。

尿酸をコントロールしなければ、最悪腎不全になる可能性があるでしょう。

尿酸生成抑制薬を服用して、pH6.0〜7.0になるよう尿路管理を行います。

血中尿酸値を下げるため食事は低プリン食にしましょう。
また、アルコールや糖分を含まない水分をたっぷり摂取しましょう。

9.治療薬を使用するときの注意点とは?

薬の誤った使用法や無知識によって起きる副作用。
自分勝手に量をあんばいすることがないようにしましょう。

痛風の治療では医師が一人ひとりの病状に合った薬を選んで処方します。
症状に応じて使用される痛風の薬。

痛風発作の前兆はコルヒチン
痛風発作が起こったら非ステロイド系抗炎症薬
痛風発作が治まったら尿酸コントロール薬

また、医師は薬の効果が最も上がるように服用量や回数などを決めるでしょう。

薬の飲み忘れや薬を飲む量や時間を間違うと、薬のリバウンドが起きたり症状の改善が難しくなります。

尿酸値が不安定になったり、腎障害を招いたりしないためにも、医師の処方通りに服用しましょう。

さらに、痛風や高尿酸血症の治療は長期になります。
薬が効いて尿酸値が下がり安定して症状が改善しますが、薬の服用をやめるとたちまち高尿酸血症に後戻りしてしまうことも。

病気と一生つきあう気持ちで根気強く続けましょう。

痛風の治療

まとめ

痩せていてあまりお酒を飲まない人でも痛風になる人がいます。

古くからある痛風体質と言えるでしょう。
尿酸値が高くなったら、薬で治療することになります。

一方、メボリックシンドロームになりやすい人やなった人は知らない間に尿酸値が高くなっています。
脂肪が内臓にたまることが原因です。

尿酸値が高いことは生活習慣病として捉えることができるでしょう。

痛風発作が現在ある人は発作治療が優先になり、発作が治まったら尿酸値と全身の管理になります。

痛風発作がない人は上昇している尿酸値の対策を行います。

最初に感じた激しい痛みは2、3日で治ることが多い痛風。
治療を受けずに放置する人がいます。

また、治療を続けていても、症状が改善されると治療をやめてしまう人がいます。
痛風発作を繰り返さないために、医師の指示を守って根気強く治療することが大切です。

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HANA

HANA

いろいろな本を読んで役立つ記事をご紹介しています。調べることによって、新しい情報 を取り入れることができて知識の幅が広がります。実際、幾つか試して不調を改善できま した。実感したことですが、健康に良いと思える情報でも、すべての人に効果が出るわけ ではないということ。人それぞれ持っている体質・症状の個人差や生活スタイルの違いな どがありますので、期待していた効果が現れないとしても当然かもしれません。抱える不 調を治したいという思い、諦めないで改善する努力を続けることが大切だと感じました。 健康であれば日々の生活も楽しくなります。「これは自分に合うかもしれない」と思う情 報をぜひ試してみてください。
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