肝臓と同様、「沈黙の臓器」と呼ばれる膵臓。
膵臓の病気の多くは、飲酒が原因です。
20〜30代の生活習慣が膵臓に負担をかけていることもよくあります。
病気の発見が遅れがちなため「知らないうちに症状が悪化していた…」というケースも珍しくありません。
膵臓の病気にならないために予防方法を知っておきましょう。
1.膵臓の病気になりやすい人とは?
膵臓の病気は遺伝によるものも考えられますが、最も多い原因はお酒に起因するものです。
急性膵炎の場合は約半数、慢性膵炎の場合は約80%弱にもなります。
特に、お酒を飲む時にほとんど食事を摂らなかったり、揚げ物や肉料理など脂っぽい食事を好んだり、甘いものを多く摂る食事が続いたりしている人は要注意です。
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また、職場や家庭で過度のストレスをためてしまう人や運動をほとんどしない人、睡眠の時間が不規則な人や喫煙する人も膵臓に悪影響を与えてしまうでしょう。
一般的に、急性膵炎や慢性膵炎が多くみられるのは40代の働き盛りです。
膵臓がんは60代から多くみられるようになり、高齢者になるほど発症のリスクは高くなります。
膵臓の病気は検査でも発見が難しく、気付いた時には進行しているというケースが少なくありません。
というのも、膵臓は胃や十二指腸に囲まれて体の奥深くに位置していて、初期症状は特にないからです。
また、20〜30代になると仕事が忙しくなって、不規則な生活をしてしまったり、運動不足になりがちだったりします。
膵臓は頑張り続けるため、忙しくてそのままにしていると徐々に弱っていくでしょう。
「治療が遅れてしまった…」というのを避けるために一年に一度、特定の定期検診を受けることが大切です。
2.膵臓の主な病気とは?
膵臓の役割は体の中で食べ物を消化するための消化液をつくったり、血糖の調整に不可欠なホルモンを分泌することです。
一旦、病気になると生活に大きな支障が及びますし、命のに関わることもあります。
ここからは、膵臓の主な病気である急性膵炎・慢性膵炎・膵臓がんの原因や症状、対処法についてご紹介します。
2-1.急性膵炎の原因・症状・対処法とは?
急性膵炎の原因は膵液に含まれる酵素の一つが膵臓そのものを消化してしまうことです。
膵臓で作られる膵液には炭水化物・タンパク質・脂質を分解する消化酵素が含まれていますが、その中でもタンパク質の消化酵素であるトリプシンはタンパク質でできている膵臓を消化しないように、膵臓内にある間は消化酵素を持ちません。
消化能力を発揮するのは、十二指腸へ流れて胃液や腸液と混ざり合って活性化したときです。
ただし、飲酒や胆石の影響を受けると、膵臓内で膵液が活性化して膵臓自体を消化してしまうため、急性膵炎が起きてしまいます。
急性膵炎の症状には軽症と重症があります。
軽症で最も多いのは腹部の激痛です。
胃やおへその上あたりが立っていられないほど痛むでしょう。
突然起こることもありますが、多量の飲酒や脂っぽい食事の後などに起こることもよくあります。
腸の働きも悪くなるため、吐き気や嘔吐も起こります。
背中を丸めると痛みが和らぐのが特徴です。
日頃から、食欲不振や腹部の不快感がある人は要注意。
また、重症になると発熱や冷や汗、呼吸困難や頻脈、血圧低下が起こります。
この場合、早急な処置を受けるため専門病院へ行きましょう。
油断しがちなのは症状が激しくなかったり、時間が経つと症状が治まってしまう時です。
一旦治っても急に悪化することもありますので、症状があった場合は消化器内科や消化器外科で受診することをおすすめします。
治療は軽症の場合は長くて2週間前後、重症の場合は3ヶ月〜6ヶ月くらいかかるでしょう。
2-2.慢性膵炎の原因・症状・対処法とは?
慢性膵炎の主な原因は、10年以上続く飲酒です。
通常、大量のアルコールを摂ると膵液の内容物が変化して粘着質になります。
膵管の流れは滞り詰まってしまうため、膵液が膵臓そのものを消化して炎症が起こります。
繰り返し起こる膵臓内の炎症で膵臓の機能を果たす細胞組織は硬くなって萎縮し、繊維質になって元に戻ることはありません。
このように慢性膵炎は膵臓の細胞が破壊されて本来の機能が低下する病気です。
慢性膵炎の症状は膵臓の機能が維持できている初期症状と著しく低下している後期症状に分けられます。
初期の典型的な症状は腹痛や腰痛、背中の痛みです。
また、食欲不振や腹部の不快感、吐き気や嘔吐もあります。
初期症状が治まると、下痢や脂肪便、体重の減少など後期にみられる症状が起こるでしょう。
慢性膵炎の特徴は進行するにつれて腹痛は治り、他の症状が現れた時には回復が難しいほど悪化していることです。
腹痛や食欲不振などは珍しいものではありませんし、しつこい腹痛や便の異常が長く続いても、「胃腸の調子が悪いだけ…」と思う人も多いでしょう。
しかし、長く続く時は要注意です。
一度検査を受けてみることをおすすめします。
慢性膵炎は急性膵炎と同様、専門病院での治療を受けなければなりません。
残念ながら、完治することは難しいと言われています。
2-3.膵臓がんの原因・症状・対処法とは?
「がんの王様」と呼ばれるほど、治療が難しい膵臓がん。
膵臓がんは膵臓にできる悪性腫瘍のすべてを含みます。
できる場所は膵臓の頭部・体部・尾部の3つに分けられており、最も多いのが60%の膵頭部です。
膵頭部は胆管が通っているため、膵臓がんができると胆管が狭くなって胆汁の流れが悪くなり、黄疸が起きやすくなります。
他の症状は腹痛や背中の痛み、倦怠感や腹部膨満感、食欲不振や体重の減少などです。
特に、腹部や背中の痛みが徐々に強くなったり、痛みが長く続くことで腹部が張って硬くなることもあります。
さらに膵臓がんが進行すると、お腹に水がたまる腹水や消化管からの出血なども起こるでしょう。
一方、膵体部や膵尾部に膵臓がんができると黄疸はみられません。
そのため発見が遅くなって、診断された時にはすでに手術ができないといったケースもよくあります。
他の症状は腹部や背中の痛み、腰痛や腹部の不快感、下痢や便秘、体重の減少や糖尿病の悪化などです。
しかし、別の疾患の症状と見分けにくいことが多いため、悪化して腹部の腫瘤や腹水が起きることも少なくありません。
膵臓がんの治療は切除手術療法・化学放射線療法・化学療法の3つから、がんの進行度に合わせて選択されます。
がんの治療は人それぞれですから、自分のライフスタイルや家庭の事情をよく考慮し、医師と相談して決めましょう。
一人で抱え込まず周囲の助けを借りるなら、自分の希望に沿った生活を送ることもできます。
3.膵臓の病気の予防法とは?
膵臓病の原因として最も多いのは飲酒ですから、飲む時は適量を心がけてください。
厚労省が定める適度な飲酒量は1日アルコール20gです。
日本酒1合、ビール中瓶1本、ウイスキーダブル1杯に相当しますが、人それぞれ「酔い」の程度は異なりますので、楽しむ程度にしましょう。
また、膵臓の消化機能を助けるために、毎日栄養バランスの良い食事を1日3回規則正しく摂ることが大切です。
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基本は主食や汁物、主菜や副菜など一汁二菜です。
丼類や麺類など一品料理や、膵臓を傷めてしまう脂っぽい料理、味の濃い料理は避けた方が良いですね。
脂質が低く消化の良い食べ物を選んでも、食べ過ぎは肥満につながります。
また、食塩を摂りすぎると血管が傷ついて膵臓に負担がかかってしまいます。
減塩を心がけましょう。
軽い運動を毎日続けることや自分に合ったストレス解消法を見つけること、質の良い睡眠をとることも必要です。
また、喫煙も膵臓がん発症のリスクを高めるので禁煙しましょう。
まとめ
慢性膵炎になりやすい人は仕事熱心なタイプと言われています。
一生懸命仕事を頑張る反面ストレスをためやすく、飲酒をストレス解消法にすることも多いからです。
毎日の不摂生や急性膵炎にみられる症状の積み重ねが少しづつ膵臓を破壊していきます。
早めに自分の体と向き合って改善し、手遅れになるのを防ぎましょう。
HANA
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