高血圧は病気ではありません。
しかし、何よりも困るのは動脈硬化が促進し、いわゆる生活習慣病と言われるさまざまな病気の合併症を招いてしまうことです。
最近は、働き盛りの若い人にも増えていて、原因もさまざまです。
心あたりがある方は早めに対処しましょう。
1.高血圧の原因とは?
一般的に、加齢によって高血圧が多くなると言われています。
個人差はあるものの、歳をとると身体のさまざまな部分に老化を感じる人は少なくありません。
血管が老化すれば、動脈硬化が進み血圧は上昇し、心臓や腎臓が老化すると、機能が低下して血圧も高くなります。
しかしながら、高血圧年齢は体質や生活習慣などで大きな差が出るものです。
高血圧は原因別にみると2種類に分けられます。
① 一次性高血圧症
② 二次性高血圧症
2.一次性高血圧症とは?
高血圧症の患者の約80%以上を占めているのが一次性高血圧症です。
本態性高血圧症、または原発性高血圧症とも言われています。
残念ながら、原因ははっきり特定できていません。
体のどこにも異常がないのに、血圧だけが高くなっているのです。
よくあるプロセスは10〜20代くらいからゆっくり上昇し始め、30代で兆候がみられて、40〜50代で高血圧があらわれ、60代くらいから老化によって逆に下降していくといった感じです。
自覚症状もなく、定期検診などで偶然発見されるケースが大半。
そのため、検診などに行かない人は発見するまでかなりの時間を要したり、自覚しないまま一生を過ごしたりすることになるでしょう。
特に、病気ひとつしたことがない中高年の人に発見の遅れが多くみられます。
2-1.一次性高血圧症の要因とは?
一般的に原因不明とされていますが、高血圧と関係が深く、血圧を上昇させる要因がいくつかあります。
⚪︎腎臓の異常
⚪︎心臓や血管の異常
⚪︎内分泌系の異常
⚪︎脳神経系の異常
⚪︎加齢による血管の老化
⚪︎塩分の多い食事
⚪︎肥満
⚪︎喫煙
⚪︎飲酒
⚪︎ストレス
⚪︎運動不足
⚪︎遺伝など
これらの要因が複合的に重なることで、高血圧症を招くことがあると言われています。
3.二次性高血圧症とは?
一次性高血圧症に比べて数が非常に少ない二次性高血圧症。
続発性高血圧症とも言われています。
原因が特定されており、その原因をとり除くと比較的速やかに血圧値が改善されることが多いでしょう。
しかしながら、ごく短期間で血圧が急激に上昇する悪性高血圧症になると、合併症を起こして死に至るといったケースもあります。
3-1.二次性高血圧症の原因とは?
二次性高血圧症の原因は病気や薬の副作用などです。
原因となる病気は以下のとおりです。
⚪︎腎臓の病気
⚪︎血管や心臓の病気
⚪︎内分泌系の病気
⚪︎脳や中枢神経系の病気
⚪︎その他の病気(糖尿病や痛風、高脂血症や妊娠中毒症など)
また、よく知られている血圧を上昇させる薬の副作用には以下のものがあります。
⚪︎非ステロイド消炎鎮痛剤
⚪︎ある種の抗生物質
⚪︎漢方薬の甘草(かんぞう)
⚪︎経口避妊薬
二次性高血圧症は関係する病気が完治したり、原因となる薬を変えたり、中止したりすると、上昇していた血圧が正常に戻ることがよくあります。
しかしながら、病気の種類によっては長期の治療を必要としたり、血圧がコントロールしにくかったりするなどのケースもあるでしょう。
4.高血圧と肥満の関係とは?
生活習慣病の要因となっており、高血圧の大敵と言われている肥満。
肥満の人が必ず高血圧になるというわけではありませんが、実際に高血圧症患者の4〜5割に肥満がみられています。
肥満すると血圧が高くなる理由が2つあります。
1つは心臓に負担がかかるという点です。
肥満になると体重が増加するため、その分余計に酸素を消費してしまいます。
心臓は血液に強い圧力をかけて、全身に送り出さなければならず、血圧が上昇してしまうでしょう。
2つ目は合併症が起きて悪化するという点です。
肥満は血管にコレステロールなどの脂質が蓄積されるため、動脈硬化が促進されて高血圧も進みます。
そこに糖尿病や心臓病などが合併すると、相乗効果でますます血圧の上昇が起きてしまうでしょう。
毎日に必要なエネルギー以上の栄養を摂り過ぎたり、忙しくて運動不足になったりしている人に多くみられます。
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5.高血圧と塩分の摂り過ぎの関係とは?
ナトリウムと塩素の化合物である食塩。
高血圧に関係しているのはナトリウムです。
通常、血圧は心臓から押し出される血液量と血管の抵抗に左右されるのですが、ナトリウムはこの両方に大きく働きかける性質があります。
そのため、塩分を摂り過ぎて血液中のナトリウムが必要以上に多くなると、細胞組織の活動が低下。
腎臓は水分で薄めようとして水分の再吸収を活発にし、血液量を増大させるため、血圧が上昇してしまうのです。
また、ナトリウムは血液壁に作用して感受性を高め、血圧を上昇させるホルモンの分泌を促進するため、血圧の上昇を招くことになります。
味付けの濃いものが好きな人や調味料をたくさんかけて食べる人、ファーストフードやインスタント食品などをよく食べる人に多いでしょう。
6.高血圧とストレスの関係とは?
高血圧と関係があるのは解消されない慢性的なストレスです。
慢性的なストレスとは疲労や苦痛、悩みや不安などによって興奮したり、緊張したりする状態が長く続いている状態。
脳の自律神経中枢は血圧をコントロールするため心臓に働きかけて心拍数を上げると同時に、血液中に昇圧物質を放出して血管を収縮させるため、血圧が上昇してしまいます。
高血圧は動脈硬化を促進するため悪循環となって、さらに血圧を上げることになるでしょう。
責任感が強く何事も手を抜かない人や何でも引き受けて頑張ってしまう人、夜遅くまで残業することが当たり前になっている人は血圧が高めの人が多いでしょう。
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7.高血圧と遺伝の関係とは?
両親や家族に高血圧の人が多い場合は、高血圧症になる確率が高いと言われています。
実際、アンジオテンシン変換酵素と呼ばれる遺伝子の異常は、高血圧症と深い関係があることも分かっています。
子供が高血圧症になる確率は以下のとおりです。
⚪︎両親とも高血圧の場合……約2分の1(44〜73%)
⚪︎片方の親が高血圧の場合……約4分の1(16〜57%)
⚪︎両親が高血圧症ではない場合……両親とも高血圧症の場合の約10分の1(4〜18%)
一方、中には両親や血縁者に高血圧が多い場合でも、血圧があまり高くならない場合もあります。
そのため、高血圧そのものが遺伝するというよりも、高血圧になりやすい体質が遺伝するという見方が一般的になっています。
確かに、生活環境や食習慣が同じであれば、高血圧を招くことが多くなりますし、遺伝的体質の他にさまざまな要因が重なるほど、高血圧になる確率は高まるでしょう。
8.若い人に増えている高血圧の原因とは?
近年目立っているのは、高血圧でもないが正常でもない、どちらかといえば高血圧症予備軍と言われる20〜30代の若い人です。
高血圧の可能性が高く、要注意血圧と言われています。
安心して油断しているとすぐに高血圧になってしまう危険性があるでしょう。
この場合、高血圧になる原因として環境や生活スタイルが関係しています。
⚪︎増えている夜型生活
⚪︎不規則な日常生活
⚪︎豊かになり過ぎた食生活
⚪︎進む機械化
また、そのような生活環境の中では心にストレスを抱えるため、血圧が高くなることが多いでしょう。
例えば、ストレスを生み出す要因として以下のようなものがあります。
⚪︎「流行に遅れたくない」という過敏症
⚪︎「競争に負けた…」という劣等感
⚪︎「この薬がないと…」という不安症
⚪︎「眠りたくても眠れない」という不眠症
⚪︎さまざまなアレルギー症状
⚪︎原因不明の倦怠感など。
【参考文献】
「血圧が高いといわれた時に読む本」/百村伸一 著/主婦と生活社
「もう高血圧なんか怖くない」/太田怜 監修/株式会社 みずうみ書房
「薬に頼らすに血圧を下げる方法」/加藤雅俊 著/アチーブメント出版 株式会社
「NHK きょうの料理 生活習慣病の食事シリーズ③ 高血圧の食事」/本多京子 著/日本放送出版協会
「健康へのパスポートシリーズ 高血圧」/猿田享男 著/東洋出版 株式会社
まとめ
高血圧はさまざまな病気を引き起こします。
若くても油断は禁物です。
日常の生活を見直し、高血圧チェックを心がけましょう。
HANA
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