アロマの健康効果は医学的に認められていて、21個もあげられます。
フランスでは医療行為のひとつにもなっており学術的にも明らかです。
植物の香りは心と身体に多角的に働いて、身体の不調を改善してくれるでしょう。
今回はアロマのメカニズムや効果を詳しくご紹介します。
1.アロマテラピーとは?
香りや匂いは鼻などを通して、身体や心に影響を与えます。
予定の詰まった合間に、ひと息つくコーヒーの心地よい香り。
仕事で頑張った後、空腹のときのステーキの美味しそうな匂い。
意外にもアロマは一瞬立ち上る香りでさえ心が穏やかになります。
「良い香り」だけではなく、アロマのさまざまな香りには全て意味があるのです。
リフレッシュやリラクセーション、美しさや健康管理に役立つでしょう。
アロマテラピーでは植物の香りとして、精油(エッセンシャルオイル)を用います。
精油がもっている人の心や身体に働きかける力は、人が本来もっている自然治癒力を引き出します。
自然治癒力とは健康を維持してけがや病気を治す力です。
しかも心と体の部分的にではなく、全体に作用してホリスティック(全体的)に働きかてくれます。
研究が進んでいる現在、医療施設や介護、スポーツなどでも予防医学として、また西洋医学を補う治療法(代替療法)としても活用されています。
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2.数千年の歴史をもつアロマテラピー
1990年代から急速に普及してきたアロマテラピーですが、日本では古くから香りの文化は始まっていました。
香りについての記述で最も古い文献は「日本書記」にあります。
「推古天皇3年(595年)に淡路島に香木が漂着した」という記述です。
古代エジプトでは紀元前4500年頃すでに香水が使われており、紀元前3000年頃からは植物の浸出液が医薬品や化粧品、芳香剤として利用されていました。
古代ギリシャの医師で「医学の父」とも呼ばれていたヒポクラテス。
「健康への道は毎日アロマバスに入り、アロママッサージを受けることだ」と述べていたほど、ハーブによる処方箋を何百も記しています。
西洋だけでなく中国やインドでも、芳香植物が治療に利用されていました。
3.アロマテラピーの誕生とは?
アロマテラピーという言葉を生み出したのは、フランス人化学者ルネ・モーリス・ガットフォセです。
20世紀初めリヨン近郊で育ちました。
ガットフォセは当時使われていた化学薬品よりも、数多くの殺菌効果が高い精油があることを証明しています。
有名なエピソードは化学実験中に起きた事故です。
研究室でさまざまな実験をしているとき爆発が起きました。
腕と頭に負った壊疽性(えそせい)の大火傷、その部分にラベンダーの精油を塗ったところ、驚くほどの早さで傷が癒えて傷跡も残りませんでした。
自らの体験から精油の薬理効果に注目し、本格的な精油の研究に取り組みます。
1937年、「アロマテラピー」という本を著しました。
4.アロマテラピーの効果の4つの定義とは?
健康管理や美容分野、生活の他の分野でも活用できるアロマテラピーは自然療法です。
基本的に4つの定義があります。
⒈ リラクゼーションやリフレッシュに香りの効用を楽しむ
⒉ 美と健康を増進する
⒊ 身体や精神の恒常性の維持と促進をはかる
⒋ 身体や精神の不調を改善して、正常な健康を取り戻す
※恒常性とは体内や環境の変化に関わらず、体内環境を一定の範囲で維持する仕組みのことです。
5.アロマテラピーの21の健康効果とは?
複数の成分が含まれているアロマテラピーの精油。
多くの人に同じような作用がある一方、個人や状況に応じて異なる作用もあるでしょう。
病気や不快症状など、古くから治療に活用され実証されています。
5-1.風邪・インフルエンザ
季節によって流行することが多い風邪やインフルエンザ。
仕事が忙しく、ゆっくり休むことができない人が多いでしょう。
一般に風邪やインフルエンザに感染するかどうかは、病原菌の強さと抵抗する免疫力との関係で決まると言われています。
精油がもっている抗菌力は感染の原因となっている細菌を除去してくれます。
また免疫力を増強してくれるため、感染に対する抵抗力を保つことができます。
5-2.花粉症
アレルギーの一種である花粉症。
遺伝的な要因のほか、チリやカビやダニなどのハウスダストがきっかけとなってアレルギー症状が発症します。
規則正しい食生活や心理的に穏やかに過ごすことなども大切です。
精油はイライラした気持ちを鎮めたり、皮膚や粘膜を消炎する作用があります。
空気をきれいに保つこともできるでしょう。
5-3.アトピー性皮膚炎
増えている大人になってから発症するアトピー性皮膚炎。
根本的な治療方法が見つかっていません。
体質など遺伝的な要因のほか、加工食品などの食生活やストレスが関係しています。
季節によって悪化したり軽減したりするでしょう。
肌荒れや炎症など皮膚に起きている炎症。
精油は症状をやわらげたり、かゆみを止める作用があります。
5-4.不眠症
過剰なストレスや運動不足などが招く不眠症。
睡眠はその日のストレスによる心身のダメージを回復させるため、質の良い睡眠が大切です。
(おすすめ記事→職場&家で戦うあなたに!しっかり睡眠でストレス解消とダイエット)
精油は過敏になっている神経を鎮めて穏やかにしてくれます。
血液循環を良くして筋肉をほぐし、自律神経のバランスを調整してくれるでしょう。
5-5.冷え性
「万病のもと」と言われている冷え性。
大きな原因はストレスや食生活、運動不足などです。
大抵、筋肉が弱くなって体の隅々にまで血液が巡っていません。
特に上半身はのぼせて、下半身は冷えている人が多いでしょう。
精油は心身の緊張をほぐしてストレスを鎮めます。
トリートメント法は血液循環を促して、筋肉を鍛えることもできるでしょう。
5-6.胃潰瘍
ストレスによって増加する胃酸の分泌。
胃粘膜への血流が悪くなり、十分な酵素や栄養分が届きにくくなって、粘膜が弱くなります。
胃の表面は胃酸によって損傷を受けるでしょう。
快いと感じる精油の作用は心身の緊張をほぐします。
気持ちが穏やかになって胃酸の攻撃が止まり、血流が回復するでしょう。
5-7.高血圧・動脈硬化
生活習慣病の一つである高血圧や動脈硬化。
ストレスや食生活の乱れ、運動不足や飲み過ぎなどの生活習慣が原因です。
精油は食事や運動、休養など正しい生活リズムを取り戻すために有効に働きます。
ストレスによる神経の緊張を鎮めて、心が安らぐでしょう。
全身をリラックスさせることができます。
5-8.膀胱炎・尿道炎
泌尿器系の感染症で多いのが膀胱炎や尿道炎。
過度のストレスによる体の抵抗力の低下や下半身の冷えが原因です。
食事の質を高めてゆっくり休養し、免疫力を回復させることが大切です。
精油は抗菌作用や利尿作用があります。
痛みによる気分の抑うつを緩和する効果もあるでしょう。
5-9.便秘・過敏性腸症候群
自律神経によって自動的にコントロールされている胃や腸。
強いストレスにさらされると影響を受けます。
(おすすめ記事→慢性化しやすい大腸炎!ストレスや乱れた食生活でできる腸の潰瘍とは!?)
他の原因として水分や食物繊維の摂取不足、腹筋力の低下もあるでしょう。
特に、過敏性腸症候群は過剰なストレスで消化器の運動を司る自律神経が不調になり、下痢や便秘を繰り返したり、ひどい下痢になったりします。
精油は精神的な緊張をほぐしたり、痛みを鎮める作用があります。
精油を使ってお腹をマッサージすることで、香りが脳を刺激すると同時に精油が皮膚から浸透してリラックスできるでしょう。
5-10.下痢
下痢になる原因として考えられるものが2つあります。
悪いものを食べた時に起きる食あたりと、強いストレスによって自律神経が変調し、胃腸の働きが乱れるときです。
食あたりは毒素を排泄しようとする体の正常な機能があります。
精油のもつ抗菌作用消炎作用、鎮痙作用や収れん作用が腸の粘膜を修復してくれるでしょう。
ストレスの場合は体を温めて心を落ち着かせ、自律神経を整える効果がある精油が良いでしょう。
5-11.痔・静脈瘤
静脈に過度の負担がかかることによる痔や静脈瘤。
長時間続く同じ姿勢や運動不足、便秘など排便時の力みによって引き起こされます。
精油の有効成分が毛細血管を修復して丈夫にします。
利尿作用や鎮静作用、止血作用も効果的です。
5-12.前立腺炎・前立腺肥大
「男性の更年期の一つ」とも言われる前立腺炎や前立腺肥大。
加齢に伴うホルモン分泌が関係しています。
症状に個人差がありますが、50代から多くなるでしょう。
精油に含まれている植物性のホルモン様作用や利尿作用が役立ちます。
血液循環を促して痛みや不快感をやわらげることもできるでしょう。
5-13.神経痛
神経の炎症による痛みが原因の神経痛。
坐骨神経痛や顔面神経痛などがあります。
原因として考えられるのは血液循環の滞りや冷え、必要な栄養素や新鮮な酵素が神経に供給されていないことです。
精神的な状態も関係しているでしょう。
神経伝達物質の生成に関与している精油は鎮痛作用や抗うつ作用があります。
毛細血管を強くして血液の流れを良くし、神経に栄養が届くように作用する精油もあります。
精神安定作用のある精油は痛みによる精神的なつらさをやわらげてくれるでしょう。
5-14.頭痛
すぐにでも解消したい頭痛。
頭痛の原因の中には専門医の診断が必要なものもあります。
通常の頭痛はストレスによる精神的な緊張から、筋肉が収縮することによって起きるでしょう。
精油は眼の疲れからくる頭痛や風邪のひき始めの頭痛、のぼせや蓄膿症からくる頭痛などにも作用します。
5-15.肩こり・腰痛・筋肉痛
現代病のひとつになっている肩こりや腰痛、筋肉痛。
心理的ストレスや運動不足による筋力の低下、いつも同じ姿勢で仕事をする人に多いでしょう。
精油は血液循環を高めて、老廃物や痛みの物質の排泄を促してくれます。
また代謝を高めたり疲労を回復してくれるでしょう。
鎮痛作用や排泄作用もあるため、心と身体に同時に働きかける有効な対処法です。
(人気記事→肩こりは意識的にストレッチを!!リラックスできて仕事効率もアップ!)
5-16.痛風・関節炎・リウマチ
症状が似ている痛風や関節炎、リウマチ。
他の疾病が関係している場合もあります。
必ず専門医の診断を受けて、医師の管理のもとでセルフケアを行いましょう。
原因として遺伝的要因や食生活、心理的なものも考えられます。
精油には痛風の痛みの原因物質である尿酸を体外へ排泄する作用があるものや、関節などの結合組織を強化して炎症を抑える作用があります。
血液を浄化して体質改善する働きや、新陳代謝を高める働きの精油もあります。
5-17.水虫・ガンジダ症
白癬菌や真菌などの感染によって発症する水虫やガンジダ症。
体の抵抗力の低下や、患部の湿り気や汚れによって菌が増殖することが原因です。
精油の中には抗菌力が強いものや、免疫系を司る白血球の活動を活発にするものがあります。
また精油の成分が皮膚の内部にまで浸透するため効果を発揮します。
5-18.食べすぎ・飲みすぎ・お腹の張り
仕事で忙しく、急いで食べる食事が多くなってしまう働き盛り。
消化不良を起こしたり、食べるときに一緒に飲み込んでしまう空気のせいでお腹が張ってしまいます。
また消化液の分泌が不十分なため、食事で摂った栄養素が体内で活用されにくくなるでしょう。
精油の香りは脳の食欲中枢に信号を送るため、消化のリズムを整えてくれます。
胃腸の働きを促進したり、肝臓の働きを活性化してくれるでしょう。
5-19.気力・体力の衰え
心身のリズムの不調とも言われる気力や体力の衰え。
溜まるストレスによる不眠や消化器系の低下、更年期障害や季節的な体調の乱れによって生じます。
精油の香りは脳を刺激して消化器の機能を回復させたり、体のエネルギー代謝を高めてくれます。
心身をリフレッシュ・リラックスさせて、睡眠や食事、運動のリズムを良くしてくれるでしょう。
5-20.更年期障害
ホルモンの変調によって起きる更年期障害。
内分泌系と自律神経系は関係が深いため、自律神経の変調も起きています。
気分の動揺や抑うつ、のぼせや発汗異常などの症状がみられるでしょう。
精油の香りは内分泌系と自律神経系の両方に信号を送るため効果的な対処法です。
抗酸化作用や強壮作用、鎮静作用などで心身を安定させることができるでしょう。
5-21.記憶力減退・老人性認知症
ハードワークによる疲労や加齢などで起きる脳の機能の低下。
集中力が鈍ったり、ケアレスミスが多くなってしまいます。
精油の香りは脳に直接信号を送るため、脳内の活動を高めてくれるでしょう。
記憶力や集中力の低下、老化を防ぐ働きがあります。
6.アロマテラピーの代表的な2つのメカニズムとは?
驚くほど多くの症状に効果があるアロマテラピー。
精油がさまざまな経路で心身に作用して働きます。
そのメカニズムは大きく分けて2つあります。
⒈ 嗅覚器から電気的信号が脳へ伝わる経路
⒉ 皮膚・呼吸器・消化器から血液循環で身体へ伝わる経路
それぞれの経路に違いがあります。
6-1.嗅覚器から脳へ伝わる経路とは?
鼻の嗅上皮にある多数の嗅細胞で受容される香りは電気的信号(インパルス)に変換されます。
さらに嗅刺激として香りの情報が嗅細胞から、脳の大脳辺縁系と視床下部へ送られます。
大脳辺縁系や視床下部に伝わった香りの情報は、自律神経の働きを調節して恒常性を維持します。
海馬や扁桃体などが含まれている大脳辺縁系は身体の基本的な機能を司っています。
記憶の処理に関わっている海馬は学習や体験によって獲得した記憶を貯蔵している部位です。
感情や欲求に関わっている扁桃体は外部からの刺激に対して快や不快、恐怖などの情動反応を起こす部位です。
視床下部は呼吸や食欲、性欲などを支配しています。
体調全体に影響を与える自律神経系の働きを調整しています。
体温調節や内臓の働き、ホルモンを分泌する内分泌系の働きに関わっている部位です。
6-2.皮膚・呼吸器・消化器から身体へ伝わる経路とは?
バリア機能を備えている皮膚の表皮は細菌やウイルスや異物などがたやすく体内に侵入しないように、皮脂膜や角質層で保護しています。
そのためほとんどの物質が表皮ではね返されて、皮膚内部に入り込むことはできません。
一方、分子構造が小さく油脂に溶けやすいアロマの精油成分は、例外的に表皮を通り抜けて皮膚内部へ浸透していきます。
精油成分の一部は皮膚表面の皮脂腺や汗腺からも吸収されます。
100種類以上の成分が含まれているアロマの精油。
呼吸と同時に香りを嗅いだとき、精油の一部が体内に吸収されます。
体内に吸収された精油の成分は身体の組織や器官をめぐって体内に取り込まれ、必要な物質に変換されます。
最終的に肝臓などで代謝されて体外へ排出されるでしょう。
口から喉や食道、胃や小腸など消化器の粘膜や血管に入る精油成分は血液循環で身体へ伝わります。
ただし、口から摂取するといっても精油を飲んだり、他の食品と一緒に摂ったり、うがいすることは避けましょう。
肝臓や腎臓に毒性を及ぼす危険が高くなるからです。
まとめ
心身の不調を和らげたり病気の治療にもなるアロマテラピー。
患部だけを治療する対処療法とは違って全身のバランスを整えてくれます。
仕事のイライラや興奮を鎮めて気分を落ち着かせたり、疲れた内臓の働きやホルモンのバランスを調整したり、ハードワークの肉体疲労を緩和するなど広範囲に作用します。
やる気を起こし、活力を向上させ、日常生活を豊かに潤してくれるでしょう。
HANA
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