骨盤矯正や骨盤トレーニングといえば、女性向けといったイメージがありませんか。
しかし骨盤を鍛えることは男性にとっても非常に重要だったのです。
身体のパフォーマンスが向上するだけでなく、ダイエットにも効果的です。
今回は男性のダイエットにも有効な骨盤トレーニング法をご紹介します。
1.そもそも「骨盤」とは?
骨盤という身体の部位を聞く機会は多いと思いますが、実際に骨盤がどこにあり、どういう役割を果たしているのか説明できる人は少ないかもしれません。
実は骨盤というのは一つの骨ではありません。
骨盤は腸骨、恥骨、座骨の寛骨、仙骨、尾骨などから構成された骨の集合です。
骨盤は大腿骨と背骨の間に位置して、身体を安定させる役割を担っています。
この骨盤のうち、腸骨、座骨、恥骨は生まれた頃はそれぞれ三つの骨ですが、思春期を過ぎて身体が完成する頃には一体化して一つの寛骨となります。
また仙骨も同じように5つの骨が一体化したものです。
尾骨も細かい骨が固まってできたものですが、この数は人によって異なり一般的には3~6つの骨が集合したものと言われています。
さらに腸骨、座骨、恥骨が寛骨となるときに接合した部分は大腿骨と接合した部分で、一般的には股関節と言われています。
つまり、股関節の可動域や動きの滑らかさは骨盤の働きによるものです。
骨盤は、いわばいくつもの骨の集合体なので、個人によって形に差があるのが特徴です。
さらに女性の場合には、骨盤に守られる形で子宮があるため、男性とは形が大きく異なります。
ときどき誤解している人もいるようですが、骨盤は女性だけにあるものではなく、形は違っても男性も持っています。
そしてこの骨盤を支えているのが骨盤底筋と呼ばれるものです。
骨盤底筋は骨盤の最も下の部分で骨盤を支えるほか、姿勢を安定させるという働きを担っています。
2.骨盤がゆがむ原因と影響
ダイエットや健康に興味がある人なら、一度は「骨盤がゆがむ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
この骨盤がゆがむというのはどのような状態なのでしょうか。
前述のとおり、骨盤はいくつもの細かい骨が集まってできているものです。
しかし、寛骨のように集まった骨がしっかり癒着している場所もあれば、パズルのピースのようにわずかなすき間を残してはまっているだけの場所もあります。
問題は、このしっかりと固まっていない場所です。
人間の身体はもともと左右均等ではありません。
どんな人でも、右と左ではわずかに形が違うものです。
その違いは生まれたときはわずかなものですが、成長するにしたがって利き手の違いや歩き方の癖などが生まれるため、左右差は少しずつ大きくなってきます。
その左右差を最終的に受け止めるのが骨盤なのです。
骨盤は自分の形を少しずつ変えることで、できるだけ左右差が少ないように調整を行っています。
これは骨盤が立体的な構造を持っているから可能なことなのですが、やがて骨盤は形を変えたまま戻らなくなったり、固まってしまったりすることがあります。
これがいわゆる「骨盤がゆがむ」という状態。
さらに、いつも同じ側の足を組んでいる、立っているときにどちらかの足に体重をかけている、荷物を持つ手がいつも左右で決まっているという場合、さらに骨盤がゆがんでしまいます。
また、この骨盤のゆがみには、骨盤を支える骨盤底筋も関係しています。
通常であれば、身体の中央にある骨盤は骨盤底筋によって支えられていますが、骨盤底筋は身体の内部にあるインナーマッスルで、意識しなければなかなか使うことができません。
特にインナーマッスルは細かい筋肉なので、他の大きな筋肉の動きにどうしても頼りがちになってしまいます。
さらに加齢などによっても衰えやすいだけでなく、骨盤がゆがむことで余計に使えなくなり、衰えが加速してしまいます。
インナーマッスルである骨盤底筋が衰えると、影響が現れるのがお腹です。
骨盤底筋は内臓を支えている腹横筋と密接な関係がありますが、骨盤底筋が衰えると腹横筋も衰え、あるべき位置に内臓を保てなくなってしまうのです。
そうすると内臓が下垂、どれだけ腹筋を鍛えてもぽっこりとお腹が突き出てしまうということになってしまいます。
そのほか、骨盤底筋の衰えは血行不良を引き起こしますが、その血行不良は全身の筋肉の代謝量を下げてしまい、運動しても痩せない、食べていないのに太るといった結果を促してしまいます。
つまり、骨盤底筋を鍛えて骨盤を正しい位置に戻すことは、内臓を支えるインナーマッスルに刺激を与え、全身の代謝をアップさせることにつながるのです。
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また骨盤のゆがみはリンパの循環にも悪影響を与えます。
リンパが正しく循環しないと、老廃物を運ぶことができなくなり、いわゆる水太りの状態になってしまいます。
3.骨盤のゆがみを知る
骨盤底筋を鍛えると同時に、まずやっておきたいのは骨盤のゆがみの状態を把握することです。
自分の骨盤がどのようにゆがんでいると意識するだけでも、普段の生活の中で骨盤を矯正することにつながります。
3-1.骨盤のゆがみ方のタイプ
骨盤のゆがみ方には、一般的に3つのタイプがあると言われています。
まず一つが前後のゆがみタイプ。
通常、骨盤はまっすぐになっているものですが、猫背や反り腰といったクセがある人の場合、骨盤が前後どちらかに傾いたまま固定されてしまいます。
そうすると腰が反って尻を突き出す「出っ尻」の状態になったり、腹筋に力を入れることができないため下腹部が緩んで前に出たりといった体型のゆがみも引き起こします。
二つ目のタイプは骨盤が左右に開いてしまうタイプ。
骨盤は通常はハートの形をしているものですが、筋力の低下がすると足を締めていることができず、股関節が緩んだ状態になってしまいます。
これが骨盤が開いているという状態で、O脚や腰痛の原因になります。
三つ目が左右のどちらかが上がっているタイプ。
これは普段の身体の使い方のクセがそのまま固まってしまったもので、左右の筋肉バランスが大きく崩れているため、肩こりや腰痛、ひざ痛の原因になってしまいます。
そのほか、筋トレしても正しいフォームがとれないため、左右のバランスがおかしくなり、ケガの原因になることもあります。
3-2.自分の骨盤のゆがみ方タイプをチェック
骨盤のゆがみを意識するためにはいくつかのチェックポイントがあります。
・鏡を利用する
最も簡単なのが、鏡を利用する方法です。
風呂上りなど、鏡の前に立ってみると、どちらかのウエストのくびれの位置が違うのが分かります。
そのくびれの位置のずれがそのまま骨盤の高さの違いを反映しています。
正面からだけでなく、横向けにも立ってみましょう。
すると腰が反っていたり、お腹が突き出していたりという場合があります。
これもそのまま骨盤の前後の傾きを反映しているので、もし左右差や前後差がある場合、気が付いたときにそれをまっすぐな位置に整えるだけでも、骨盤のゆがみは解消されていきます。
(おすすめ記事→身体を整えるには股関節ストレッチ!健康的な5つの効果!)
・普段の姿勢をチェックする
骨盤がゆがんでいると、自分ではまっすぐ立っているつもりでもどちらかの足に負担がかかっているものです。
電車の中で立っているときなど、左右どちらかの足に体重をかけていないか、足を組んで座っているとき、いつも決まったほうが上になっていないかをチェックしてみましょう。
いつも決まった側に体重をかけている場合、そちらの骨盤が下がっている可能性があります。
また自分ではわからないという人は、仰向けになって足をまっすぐ揃えて寝転んでみましょう。
そのとき、足の開く角度はどうなっていますか?
もし足が90度を超えて開きすぎている場合、骨盤も開いている可能性があります。
さらに片方だけ開いていると言う場合は、骨盤も片方だけが開いていると考えられます。
その他、靴のかかとをチェックするというのもわかりやすい方法です。
もしどちらかの足のかかとだけが減っていると言う場合は、そちらの骨盤が下がっていることが考えられます。
これら骨盤のゆがみをチェックして、自分で意識するだけでもゆがみがかなり解消されることがあります。
4.骨盤底筋を鍛えるためのエクササイズ
骨盤のゆがみを矯正するためには、骨盤底筋を鍛えなおすことも重要です。
骨盤底筋を鍛えることはゆがみを直すだけでなく、新しくゆがみが発生することを防止してくれます。
骨盤底筋をストレッチして、鍛えるためのエクササイズを紹介します。
4-1.骨盤回し
骨盤底筋を鍛えるためには、まず骨盤底筋がどこにあるのかを意識する必要があります。
そのために役に立つのが骨盤回しです。
まず足を肩幅に開いて、腰に手を当てて腰を右に回していきましょう。
この時に重要なことが骨盤の動きを意識すること。
通常は骨盤の前傾や後傾、左右の高さの違いなどを意識する機会はほとんどないものですが、腰を回す動きには骨盤の動きがすべて含まれています。
右側に10回回したら、今度は同じ回数だけ逆に回します。
慣れてきたら、回転する半径を大きくしたり小さくしたり、8の字を描いてみましょう。
骨盤の動きを確認できるだけでなく、固まりがちな骨盤底筋を始め、周辺のインナーマッスルのストレッチにも役立ちます。
4-2.ヒップリフト
まず仰向けの状態で寝転び、ひざを立てます。
通常のヒップリフトではこのときにお尻を上げていきますが、骨盤底筋を鍛え得るときには、まずここで骨盤底筋に意識を向けましょう。
ゆっくり息を吸いながら、お尻と肛門を締めていきます。
これ以上締めることができないというところまで来たら、その状態で10秒キープ。
今度はゆっくり息を吐きながら力を緩めます。
これを5セット繰り返したら、次に同じように肛門を締めながらゆっくりお尻を上げていきます。
ここで重要なのは足の力で身体を持ち上げないこと。
あくまでもお尻と背中を意識して行います。
さらにここでもお尻を締めながら身体を持ち上げるのを忘れないこと。
また、腰をそり過ぎるのも逆効果なので注意しましょう。
4-3.ヒップアブダクション
ヒップアブダクションはお尻の横を鍛える筋トレですが、これも骨盤底筋のトレーニングに応用できます。
通常のヒップアブダクションの場合、横向きに寝転び、上に来た足を持ち上げますが、骨盤底筋に効かせたい場合には、足を持ち上げたら、その状態で前後に動かします。
このとき、股関節とそこから骨盤につながっている部分を意識しましょう。
またヒップリフトと同様、足の力を使うというよりも、腹筋で足を動かすイメージを持ちながらトレーニングを行うと骨盤底筋に効果的です。
同時に、お尻を締めることを忘れないようにしましょう。
4-4.スクワット
お尻に力を入れる、肛門を締めるということも難しい場合には、スクワットが効果的です。
骨盤底筋に効かせるスクワットの場合はハーフスクワットがおすすめです。
(人気記事→腹筋の100倍の効果!?朝のスクワットで簡単ダイエット)
というのも、フルスクワットの場合は運動強度が上がってしまうので、どうしても大腿四頭筋やハムストリングスに注意が向かってしまいますが、ハーフスクワットであればそれほど運動強度は高くないため、骨盤底筋を意識することが簡単です。
骨盤底筋に効くハーフスクワットは、通常のものと同じく、足を肩幅に開き、つま先とひざは正面に向けて行います。
その後、太ももと床が水平になるまで腰を落としていきますが、落としきった後の体勢でキープ。
その状態でお尻の筋肉を締めてみましょう。
ただ単に直立したままの状態で行うよりも、骨盤底筋の働きを意識できるはずです。
10秒程度お尻を締めたらゆっくりと元の状態に戻します。
キープする時間が長いため、最初は出来る範囲で行いましょう。
また、腰痛などがある場合は無理をしないように気を付けましょう。
4-5.フロントスクワット
骨盤は骨盤底筋や靭帯を介して股関節と連動しています。
そのため、股関節を意識するトレーニングは骨盤底筋にも効果的です。
中でもフロントスクワットは片足ずつ行うトレーニングで、同時にインナーマッスルを刺激するため、骨盤底筋を鍛えるためには有効です。
フロントスクワットは、まず肩幅に足を開いた状態から、片方の足を踏み出しますが、このときできるだけゆっくりとした動作で行うのがポイントです。
ゆっくりと足を踏み出している間、身体を安定させるため骨盤底筋が働いています。
さらに前に踏み込み、元の体勢に戻るときも、同じようにゆっくりと動作を行いましょう。
ここで左右にふらつくのであれば、骨盤底筋が弱っている証拠です。
まとめ
骨盤は普段意識することの少ない場所ですが、健康にもダイエットにも大きな影響を与えます。
インナーマッスルを鍛えるのは最初はなかなか難しいものと感じますが、トレーニングを重ねるとすぐに効果を実感できるので、ゆっくりでもできるだけ長く続けることが重要です。
T.Ttally
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